突然ですが地球の自転がどのように証明されたか知っているか?地球の自転の証明はある実験によってされた。それが「フーコーの振り子」です。

レオン・フーコーは1851年にフランスのパリでこの実験を行った。大きな振り子を1日中揺らしていると、振り子の揺れる向きが変化するというものです。これをまねた振り子は現在世界中の多くの科学館に展示され、この実験の再現を見ることができる。

今回はそんなフーコーの振り子の実験について科学館職員のたかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

不思議な現象を解き明かす科学が好きで理系に進んだリケジョ。大学で化学を学び、今は科学館で働く実験好き。

自転とは?地動説とは?

自転とは?地動説とは?

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地球は太陽の周りを回っています。これを公転と呼びますね。そして1日1回地軸(北極点と南極点を結んだ直線)を中心に回っています。これが自転です。

地球が公転しているという地動説ニコラス・コペルニクスが唱えガリレオ・ガリレイやアイザック・ニュートンによって知られるようになりました。それまでは地球が中心という天動説が信じられていたのです。ちなみに地動説を初めて唱えたのはコペルニクスではありません。紀元前に古代ギリシャの天文学者アリスタルコスによって地動説が考えられていました。しかしこれが大衆に受け入れられることはなかったのです。

コペルニクスは1543年出版の「天体の回転について」で地動説を主張しています。そしてガリレオ・ガリレイもこの説を支持しますが、ローマ教皇庁に受け入れられずに宗教裁判で裁かれることなりました。この裁判で有罪となったガリレオがつぶやいたのが有名な「それでも地球は回っている」です。そしてその後、地動説はアイザック・ニュートンが万有引力を発見したことをきっかけに民衆から受け入れられるようになりました。

公転や天動説・地動説についてはこちらの記事で確認してくださいね。

「フーコー」とは?「振り子」とは?

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さて、いよいよ本題のフーコーの振り子について勉強していきましょう。

フーコーとは

地球が自転していることは今では常識ですね。しかし、地球が自転していることがいつどうやって証明されたか知っている人は少ないでしょう。地球が自転していることを実験によって証明したのはフランスのレオン・フーコーで1851年のことです。

ジャン・ベルナール・レオン・フーコーは1819年9月18日にフランスのパリで出版業者の父のもとに生まれました。病弱な少年で家庭教師から勉強を学んだそうです。最初は外科医を目指していましたが、血液恐怖症などの影響で断念しています。手先が器用な少年で、模型などを上手に作っていたそうです。

1830年末頃から同じフランス出身の物理学者と親しくなり、物理に興味持つようになりました。その後フーコーは科学記事の執筆で生計を立てるようになります。そして太陽の表面の写真撮影に初めて成功し、さらに光速度測定装置の開発も行いました。

この太陽の動きを追うカメラの装置として振り子を用いたことがフーコーの振り子につながったのです。フーコーは振り子の揺れの向きが一定であることが地球の自転の証明に使えると考えたのでした。

最初は自宅で実験をしていたフーコー。満足のいく結果が出たところでパリ天文台長のフランソワ・アラゴーの協力の元、たくさんの科学者の前で公開実験を行ったのです。そしてフランスの科学者達に地球が自転していることを証明しました。

\次のページで「振り子とは」を解説!/

振り子とは

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振り子とはどんなもののことをいうのでしょうか。振り子と言えばひもの先端におもりをつけたものを思い浮かべる人が多いでしょう。コトバンクで調べると振り子とは「一定の周期で、一定の軸または天の周りを運動する物体」と定義されています。

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振り子は左右に振れているときに位置エネルギーを持っています。そして重力によって下(地面)に引き付けられた加速するのです。そして位置エネルギーが運動エネルギーへと変化し、一番下でひもが垂直となった時にスピードが最速となります。その後、今度は徐々におもりの位置が高くなり、運動エネルギーが位置エネルギーへと変化するのを繰り返すのです。

位置エネルギー、運動エネルギーについてはこちらの記事を確認してくださいね。

フーコーの振り子とは

フーコーは長さ67mの糸と28㎏もある真鍮の球体のおもりを用意し、高い天井からつるしました。その振り子の動く範囲に砂が盛られ、振り子の下がかすることでその位置の変化がわかるようしたのです。そして振り子は徐々に動く方向が変化し、砂に8の字のような軌道を少しずつずれながら右に回転しているように動きました。

その後このフーコーの振り子はイタリアやイギリス、ドイツなどでも行われたのです。

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宇宙からの観測者と地球の観測者の視線を考えるのに上の図を見てみてください。

一番左の図で振り子は観測者から見ると左右に揺れています。観測者がそのままの場所で振り子の観察を続けたとき、地球の自転によって振り子の見え方が徐々に変化していくのです。そして2番目の場所まで自転した観測者からは手前と奥で揺れているいうに見えます。

さらにその後も地球上の観測者からの見え方は徐々に変化しますが、宇宙から見ている観測者にはずっと左右に揺れているように見えるのです。

\次のページで「フーコーの振り子と向き、時間」を解説!/

フーコーの振り子と向き、時間

フーコーの振り子の動きは北半球では時計回りとなり、南半球では反時計回りとなります。赤道の上でやると振動の向きは変わりません。赤道では振り子の触れる向きと地球の自転の方向が一致するからです。

フーコーの振り子は北極では時計回りに24時間南極では反時計回りに24時間で一周します。そして赤道に近づくほど1周にかかる時間は長くなり、例えばフーコーの振り子がある名古屋市科学館は約1.7日かかるそうです。

この振り子が1周にかかる時間は次の式で求めることができます。

24時間/sinθ

例えば緯度が90度の北極点、南極点がθ=90でsinθ=1、赤道がθ=0でsinθ=0となるのです。

ここで見られる!フーコーの振り子

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フーコーが実際に使った振り子はフランス国立工芸院付属のパリ工芸博物館に展示されています。そしてフーコーの振り子は日本でも全国にあるいろいろな科学館や、中学校、高校、大学で展示されているのです。なんとディズニー・シーにもフーコーの振り子があります

日本で最初にフーコーの振り子が展示されたのは国立科学博物館です。なんと戦前の1934年から展示されています。科学館やディズニーシーに行ったときにはぜひその動きを観測してみましょう。

地球の自転を証明したのはフーコー

公転に比べて証明されるのが遅かった自転。地球の自転を実験的に証明したのはフーコーでした。フーコーは巨大な振り子の挙動によって地球の自転を証明したのです。

フーコーの振り子は日本のいろいろなところで見ることができます。大人気テーマパークにあるとは意外ですね。ぜひ自分の目で観察してみてくださいね。

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物理

3分で簡単「フーコーの振り子」地球の自転を証明した?科学館職員がわかりやすく解説

突然ですが地球の自転がどのように証明されたか知っているか?地球の自転の証明はある実験によってされた。それが「フーコーの振り子」です。

レオン・フーコーは1851年にフランスのパリでこの実験を行った。大きな振り子を1日中揺らしていると、振り子の揺れる向きが変化するというものです。これをまねた振り子は現在世界中の多くの科学館に展示され、この実験の再現を見ることができる。

今回はそんなフーコーの振り子の実験について科学館職員のたかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

不思議な現象を解き明かす科学が好きで理系に進んだリケジョ。大学で化学を学び、今は科学館で働く実験好き。

自転とは?地動説とは?

自転とは?地動説とは?

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地球は太陽の周りを回っています。これを公転と呼びますね。そして1日1回地軸(北極点と南極点を結んだ直線)を中心に回っています。これが自転です。

地球が公転しているという地動説ニコラス・コペルニクスが唱えガリレオ・ガリレイやアイザック・ニュートンによって知られるようになりました。それまでは地球が中心という天動説が信じられていたのです。ちなみに地動説を初めて唱えたのはコペルニクスではありません。紀元前に古代ギリシャの天文学者アリスタルコスによって地動説が考えられていました。しかしこれが大衆に受け入れられることはなかったのです。

コペルニクスは1543年出版の「天体の回転について」で地動説を主張しています。そしてガリレオ・ガリレイもこの説を支持しますが、ローマ教皇庁に受け入れられずに宗教裁判で裁かれることなりました。この裁判で有罪となったガリレオがつぶやいたのが有名な「それでも地球は回っている」です。そしてその後、地動説はアイザック・ニュートンが万有引力を発見したことをきっかけに民衆から受け入れられるようになりました。

公転や天動説・地動説についてはこちらの記事で確認してくださいね。

「フーコー」とは?「振り子」とは?

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さて、いよいよ本題のフーコーの振り子について勉強していきましょう。

フーコーとは

地球が自転していることは今では常識ですね。しかし、地球が自転していることがいつどうやって証明されたか知っている人は少ないでしょう。地球が自転していることを実験によって証明したのはフランスのレオン・フーコーで1851年のことです。

ジャン・ベルナール・レオン・フーコーは1819年9月18日にフランスのパリで出版業者の父のもとに生まれました。病弱な少年で家庭教師から勉強を学んだそうです。最初は外科医を目指していましたが、血液恐怖症などの影響で断念しています。手先が器用な少年で、模型などを上手に作っていたそうです。

1830年末頃から同じフランス出身の物理学者と親しくなり、物理に興味持つようになりました。その後フーコーは科学記事の執筆で生計を立てるようになります。そして太陽の表面の写真撮影に初めて成功し、さらに光速度測定装置の開発も行いました。

この太陽の動きを追うカメラの装置として振り子を用いたことがフーコーの振り子につながったのです。フーコーは振り子の揺れの向きが一定であることが地球の自転の証明に使えると考えたのでした。

最初は自宅で実験をしていたフーコー。満足のいく結果が出たところでパリ天文台長のフランソワ・アラゴーの協力の元、たくさんの科学者の前で公開実験を行ったのです。そしてフランスの科学者達に地球が自転していることを証明しました。

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