この記事では「無い袖は振れない」について解説する。

端的に言えば無い袖は振れないの意味は「実際にないものは、どうにもできない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

中高生に英語や数学など、指導経験豊富なライター要を呼んです。一緒に「無い袖は振れない」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/要

塾講師を5年していた経験がある。留学経験があり、学生時代は留学生と英語でコミュニケーションを取っていた。日本語とは違った英語の感覚をわかりやすく伝える。

「無い袖は振れない」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「無い袖は振れない」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「無い袖は振れない」の意味は?

「無い袖は振れない(ないそではふれない)」には、次のような意味があります。

1.実際にないものはどうにもしようがない。持っていないものは出せない。

出典:goo辞典「無い袖は振れない」

「無い袖は振れない」は、『持っていないものやないものは、出せない。どうにもできない。』という意味があります。

多くの場合は、お金に対して用いられる言葉です。お金を援助したい気持ちはあっても、実際にお金がないから出せないという状況を表しています。

「無い袖は触れない」という言葉が、なぜ「持っていないものは出せない」という意味になるのかは、語源で見ていきましょう。

「無い袖は振れない」の語源は?

次に「無い袖は振れない」の語源を確認しておきましょう。

江戸時代において、袖が長い振袖は、子供や女性が着ていました。現在でもそうですよね。

江戸時代初期には、女性が恋愛感情を表にだすことは恥ずかしいと考えられていました。そんな中、踊り子は言い寄ってくる男性からの愛に対して、袖を振って返事をしていたのです。愛を受け入れるなら袖を左右に、愛を拒否するなら袖を前後に振っていました。

そんな踊り子様子を、一般の女性がマネをして、女性が袖を振ることは求愛のサインとして変化したのです。そして、結婚すると、女性が着る着物の袖は短くなります。結婚すると袖が短くなってしまうため、どんなに魅力的な男性から求愛されても、返事が出来ません。愛を受け入れたくても、長い袖がないから振れないという様子から、「無い袖は振れない」という言葉が誕生したのです。

「無い袖は振れない」という表現が、お金に使われるようになったのは、江戸時代での財布を入れておく場所がきっかけになります。当時は、着物のたもとにお金を入れていました。そのため袖がないという事は、お金を持ち運ぶための袖がないため、お金を持っていないという様子を表すようになったのです。

「お金を払いたくない」という意味ではなく、「お金を出したいけれど出せない」というニュアンスになります。

\次のページで「「無い袖は振れない」の使い方・例文」を解説!/

「無い袖は振れない」の使い方・例文

「無い袖は振れない」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.いくら頼まれても、無い袖は振れないよ。
2.借金を返済したくても、無い袖は振れないんです。
3.ぜひ手に入れたい商品だが、無い袖は振れないので買えないな。

1つ目の例文は、お金を借りたいと頼まれた時のものです。「貸してあげたい」「支援したい」という思いはあっても、『お金はないから無理だ』とはっきりと断る際に使えます。

2つ目の例文は、借りたお金を返したくても『お金がないから返せない』という状況を表していますね。「返そう」という思いはあっても、返すためのお金がないという意味です。

3つ目の例文は、商品を購入したいという場合に、自分の意思を伝えている表現になります。「欲しい」と思っているものの、『お金がないから買えない』という状況ですね。

例文からもわかるように、お金に関する事に対して使われる事が多いです。また、「貸したい」「返したい」「買いたい」という思いがあるけれども『お金がない』という状況を表しています。細かいニュアンスですが、ぜひ覚えておいてくださいね。

「無い袖は振れない」の類義語は?違いは?

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「無い袖は振れない」の類義語には、以下のようなものがあります。

1.「鼻血も出ない」(はなぢもでない)
2.「素寒貧」(すかぴん)
3.「無い物は無い」(ないものはない)

今回は、「鼻血も出ない」について見ていきましょう。

「鼻血も出ない」

「鼻血も出ない」は、『お金を使い切ってしまったため、全くない』という意味があります。

「鼻血も出ない」という様子は、「出すものは全て出し切った」という様子を表しているのです。そこから転じて、持っていたお金をすべて使い果たした状況を意味します。

「無い袖は振れない」と同じように、「お金がない」という意味です。しかし、「無い袖は振れない」には、「出したいが」お金がないというニュアンスが含まれていました。また、「鼻血も出ない」は、『持っていたお金を使い切った』というニュアンスが含まれています。そのため、お金がないという状況は同じでも、その際の気持ちや状況が異なるという訳です。

「無い袖は振れない」の英訳は?

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「無い袖は振れない」というのは、日本での独特の言い回しです。着物のたもとにお金を入れていたのは、日本人だけですからね。

そのため、英語では「無い袖は振れない」と同じような意味を持つフレーズがいくつかあります。日本でのことわざと同様に使われているので、覚えていましょう。

「無い袖は振れない」という決まりフレーズ

「無い袖は振れない」の意味『ないものはどうにもならない』という状況を表すフレーズには、以下のようなものがあります。

1.I cannot give what I have not got.
持っていないものを与える事は出来ません。
(持っていないものは、どうにもならない。)

2.You cannot get blood out of a stone.
石から血を取ることは出来ません
(どんなに頑張っても、出来ないという結果は変えられない)

3.Nothing comes from of nothing.
無い物からは何も生まれない。
(ないところからは、何も生じない。)

4.An empty bag will not stand upright.
空っぽの袋は、まっすぐに立たない。
(ないものはどうにもならない。)

どのフレーズも、日本におけることわざのような表現です。「無い袖は振れない」とほとんど同じ意味で用いられています。

\次のページで「「無い袖は振れない」を使いこなそう」を解説!/

「無い袖は振れない」を使いこなそう

この記事では「無い袖は振れない」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「無い袖は振れない」は、江戸時代の振袖の求愛サインや、お金を持ち運ぶ様子がもとになった言葉です。「持っていないお金は出せない」という意味になります。

お金以外に対して用いられることは、ほとんどありません。使い方には注意が必要です。

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国語言葉の意味

「無い袖は振れない」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「無い袖は振れない」について解説する。

端的に言えば無い袖は振れないの意味は「実際にないものは、どうにもできない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

中高生に英語や数学など、指導経験豊富なライター要を呼んです。一緒に「無い袖は振れない」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/要

塾講師を5年していた経験がある。留学経験があり、学生時代は留学生と英語でコミュニケーションを取っていた。日本語とは違った英語の感覚をわかりやすく伝える。

「無い袖は振れない」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「無い袖は振れない」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「無い袖は振れない」の意味は?

「無い袖は振れない(ないそではふれない)」には、次のような意味があります。

1.実際にないものはどうにもしようがない。持っていないものは出せない。

出典:goo辞典「無い袖は振れない」

「無い袖は振れない」は、『持っていないものやないものは、出せない。どうにもできない。』という意味があります。

多くの場合は、お金に対して用いられる言葉です。お金を援助したい気持ちはあっても、実際にお金がないから出せないという状況を表しています。

「無い袖は触れない」という言葉が、なぜ「持っていないものは出せない」という意味になるのかは、語源で見ていきましょう。

「無い袖は振れない」の語源は?

次に「無い袖は振れない」の語源を確認しておきましょう。

江戸時代において、袖が長い振袖は、子供や女性が着ていました。現在でもそうですよね。

江戸時代初期には、女性が恋愛感情を表にだすことは恥ずかしいと考えられていました。そんな中、踊り子は言い寄ってくる男性からの愛に対して、袖を振って返事をしていたのです。愛を受け入れるなら袖を左右に、愛を拒否するなら袖を前後に振っていました。

そんな踊り子様子を、一般の女性がマネをして、女性が袖を振ることは求愛のサインとして変化したのです。そして、結婚すると、女性が着る着物の袖は短くなります。結婚すると袖が短くなってしまうため、どんなに魅力的な男性から求愛されても、返事が出来ません。愛を受け入れたくても、長い袖がないから振れないという様子から、「無い袖は振れない」という言葉が誕生したのです。

「無い袖は振れない」という表現が、お金に使われるようになったのは、江戸時代での財布を入れておく場所がきっかけになります。当時は、着物のたもとにお金を入れていました。そのため袖がないという事は、お金を持ち運ぶための袖がないため、お金を持っていないという様子を表すようになったのです。

「お金を払いたくない」という意味ではなく、「お金を出したいけれど出せない」というニュアンスになります。

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