この記事では「落花狼藉」について解説する。

端的に言えば落花狼藉の意味は「物が散乱することや女性に乱暴をはたらくこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「落花狼藉」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「落花狼藉」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「落花狼藉」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「らっかろうぜき」です。まずは正確な意味をつかんでから、語源や使い方などを詳しく見ていきますよ。

「落花狼藉」の意味は?

「落花狼藉」には、次のような意味があります。意味は大きく二つあるので、それぞれについてまずは国語辞典の意味からチェックしていきましょう。

1.花がばらばらに散ること。転じて、物が乱雑に散らばっていること。
2.花を乱暴に散らすこと。転じて、女性や子供に乱暴をはたらくこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「落花狼藉」

「落花」は花が散って地面に落ちたもののこと、「狼藉」は無秩序に散らかっているようすのことで、おおかみが寝たあとは草が散らかっていることからきた表現です。

意味の一つは、花がばらばらに散ったようすのことで自然とそうなったことを表しています。もう一つの意味は、意図的に花を散らかすことで、花を女性に見立てて女性に乱暴をはたらくことも表すようになりました。

「落花狼藉」の語源は?

次に「落花狼藉」の語源を確認しておきましょう。

「落花狼藉」は、平安時代に大江朝綱(おほえのあさつな)によって書かれてた漢詩『惜残春』に由来します。大江朝綱は漢詩の才にすぐれており、『和漢朗詠集(わかんろうえいしゅう)』にも採録されるほどです。

『惜残春』には「落花狼藉風狂後」とあり、「春の嵐が吹き荒れた後、落下は地上に乱れ散り…」という意味となっています。春の終わりを惜しむ七言律詩です。

\次のページで「「落花狼藉」の使い方・例文」を解説!/

「落花狼藉」の使い方・例文

「落花狼藉」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。文法的な側面からもチェックしていきますよ。

1.廃校となった母校を訪ねると、かろうじて建物はあったが落花狼藉のありさまだった。
2.どんなことが起きようとも、女性や子供に対し落花狼藉に及ぶ行為はあってはならない。

例文1.は一つ目の意味として、母校が建物は残っていても周囲が散らかった状態であったことを表しています。例文2.は二つの目の意味で使われており、どんなことがあっても女性や子供に乱暴をするようなことがあってはいけないという文です。

文法的に見た使い方としては、「落花狼藉の…」と「落花狼藉に…」となっており四字熟語をそのまま名詞として使っています。こういった使い方が一般的です。

「落花狼藉」の類義語は?違いは?

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それでは、「落花狼藉」の類義語についての説明です。類似した意味を持つ四字熟語がいくつかあるので、一緒に詳しく見ていきましょう。

「乱暴狼藉」

「落花狼藉」の類義語には、「乱暴狼藉(らんぼうろうぜき)」があります。意味は、粗野な言動をしたり、無法な行為をはたらいたりすることです。その行為は、荒々しく支離滅裂であり、秩序を乱すようなものだというニュアンスが含まれています。

「落花狼藉」では花を女性に見立てての狼藉であったのに対し、「乱暴狼藉」は支離滅裂で無秩序ということです。そのため、「乱暴狼藉」は「落花狼藉」の意味を含めた広い範囲を表すものと考えることもできます。

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「杯盤狼藉」

もう一つの類義語には、「杯盤狼藉(はいばんろうぜき)」があります。酒宴のあとの杯や皿などが乱雑に散らかっているようすという意味です。「杯盤」は杯や皿のこと、「狼藉」は「落花狼藉」と同じく物が散乱していることを表しています。

和製四字熟語の「落花狼藉」の類義語ですが、「杯盤狼藉」は『史記(しき)』に由来する中国で生まれた言葉です。「杯盤狼藉」は、淳于髠(じゅんうこん)が斉の威王(せいのいおう)を諌めたときの話に登場しますよ。

「落花狼藉」の対義語は?

次に、「落花狼藉」の対義語についての説明です。状況や場面はさまざまですが、「落花狼藉」と対になるような四字熟語を見ていきましょう。

「整理整頓」

「落花狼藉」の対義語には、「整理整頓(せいりせいとん)」があります。意味は、物がきれいに片付いている状態のことです。「理」はすじをとおして整えるという意味、「頓」には整えて落ち着けることという意味があります。

「落花狼藉」の一つ目の意味の物が散らかっていることに対して、「整理整頓」は片付いている状態ということなので、ちょうど反対の意味になっていますね。

「品行方正」

もう一つの対義語には、「品行方正(ひんこうほうせい)」があります。心や行いが正しく立派であり模範的であるという意味です。「品行」は行いやふるまいのこと、「方正」のほうは心や行いが正しくきちんとしていることを表しています。

こちらは「落花狼藉」の二つ目の乱暴をはたらくことに対して、「品行方正」は模範的な行いという意味なので、対義語と考えることができますね。

「落花狼藉」の英訳は?

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最後に、「落花狼藉」の英訳についての説明です。「落花狼藉」には大きく二つの意味があるので、それぞれに合う表現を一緒にチェックしていきましょう。

「Things are in disorder」

「落花狼藉」の英訳には、「Things are in disorder」があります。直訳すると「物が散乱している」で、「落花狼藉」の一つ目の意味に近い表現です。「disorder(無秩序、混乱、乱雑)」の前に「wild(荒れた、自然のままの)」や「utter(完全な、全くの)」を付け加えると意味が強調されます。

また、「落花狼藉」の二つ目の意味に近い表現となると、「violate(犯す、不敬をはたらく、冒涜する、暴行を加える)」がありますよ。

\次のページで「「落花狼藉」を使いこなそう」を解説!/

「落花狼藉」を使いこなそう

今回の記事では「落花狼藉」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「落花狼藉」の基本の意味は、物が散乱していることと女性や子供に乱暴をはたらくことです。「落花狼藉」のほかに類義語の「乱暴狼藉」「杯盤狼藉」など、「狼藉」という表現がいくつか出てきました。これらの言葉を時代劇で耳にしてきたという人もいるかもしれませんね。ただ、現在は時代劇も減少傾向、時代とともに言葉が移り変わっていくかもしれません。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「落花狼藉」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「落花狼藉」について解説する。

端的に言えば落花狼藉の意味は「物が散乱することや女性に乱暴をはたらくこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「落花狼藉」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「落花狼藉」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「落花狼藉」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「らっかろうぜき」です。まずは正確な意味をつかんでから、語源や使い方などを詳しく見ていきますよ。

「落花狼藉」の意味は?

「落花狼藉」には、次のような意味があります。意味は大きく二つあるので、それぞれについてまずは国語辞典の意味からチェックしていきましょう。

1.花がばらばらに散ること。転じて、物が乱雑に散らばっていること。
2.花を乱暴に散らすこと。転じて、女性や子供に乱暴をはたらくこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「落花狼藉」

「落花」は花が散って地面に落ちたもののこと、「狼藉」は無秩序に散らかっているようすのことで、おおかみが寝たあとは草が散らかっていることからきた表現です。

意味の一つは、花がばらばらに散ったようすのことで自然とそうなったことを表しています。もう一つの意味は、意図的に花を散らかすことで、花を女性に見立てて女性に乱暴をはたらくことも表すようになりました。

「落花狼藉」の語源は?

次に「落花狼藉」の語源を確認しておきましょう。

「落花狼藉」は、平安時代に大江朝綱(おほえのあさつな)によって書かれてた漢詩『惜残春』に由来します。大江朝綱は漢詩の才にすぐれており、『和漢朗詠集(わかんろうえいしゅう)』にも採録されるほどです。

『惜残春』には「落花狼藉風狂後」とあり、「春の嵐が吹き荒れた後、落下は地上に乱れ散り…」という意味となっています。春の終わりを惜しむ七言律詩です。

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