
3分で簡単「酸性雨」どんな雨?原因やその影響は?科学館職員がわかりやすく解説
環境問題は化学や現代社会の試験問題にも出てくるな。新聞やテレビのニュースで目や耳にしたことがあるやつもいるでしょう。環境問題のひとつが酸性雨です。酸性雨とはその名の通り酸性の雨のことである。酸性雨は生き物の暮らしや文化財などにも影響をもたらす。
そんな酸性雨について、原因や環境に及ぼす影響を科学館職員のたかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか
高校は化学部、大学は工学部化学科のリケジョ。不思議な現象を解き明かす科学が好きで理系に進んだ雨のにおいが好きな科学館職員。
環境問題とは?

環境問題とは人間の活動によって地球の環境にもたらされる問題のことです。産業革命以降、人間の生活が豊かになったもののその代償として自然環境が犠牲となってきました。工場や車、家庭からの排気ガスやごみによって大気や水が汚染されたからです。また開発のために森林伐採が行われました。伐採が行われた土地では植物は簡単に育たず砂漠化が起こったのです。また光合成をおこなうことで生物の呼吸に必要な酸素を作り出す木々が無くなったことで、地球温暖化も進みました。
環境問題には次のようなものがあります。
地球温暖化:温暖化効果ガスによって地球に注がれた熱がこもり、地球の温度が上昇する現象
オゾン層の破壊:紫外線を防ぐ役割をするオゾン層がフロンガス(エアコンや冷蔵庫の冷媒)によって破壊され、生物に紫外線による悪影響が与えられる現象
大気汚染:大気中の有害物質によって人の健康や生物に影響が出る現象
砂漠化:開発によって植物が育ちづらい環境になること
酸性ってなんだっけ?

酸性とはどんな性質だったでしょうか?水溶液は水素イオン濃度によって酸性、中性、塩基性に分類されます。水素イオン濃度はpH(ペーハー、ピーエッイチ)で表されるのです。pH7が中性でそれより低いと酸性に、それより高いと塩基性となるのでしたね。
酸性と言えば塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、クエン酸が、アルカリ性と言えば水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニアなどがあげられます。酸性と塩基性を適切な量混ぜ合わせる(中和)と中性となるのです。pHはリトマス試験紙、pH試験紙、pHメーターなどで測ることができます。
アジサイの花の色が青や赤になるのもこのpHの影響です。アジサイの花に含まれる色素が土壌のpH によって構造が変化し、色が変わります。
酸性、pHについてはこちらの記事で確認してくださいね。
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酸性雨

それではまず酸性雨とはどんなものか確認していきましょう。酸性雨とは大気汚染によってな雨が酸性になってしまう事です。ちなみに酸性の雪(酸性雪:さんせいせつ)や酸性の霧(酸性霧:さんせいむ)もあります。pH5.6以下の雨が酸性雨となるのです。
ちなみに、もし大気汚染などがなかったとしても雨はpH7の中性にはなりません。空気中にある二酸化炭素などが溶けた時点でpHは5.6くらいになります。この二酸化炭素などが溶けた状態も酸性寄りになった雨を酸性雨となるのです。
最初に酸性雨が確認されたのは産業革命のイギリス。産業革命によって技術が進歩し石炭やコークスを利用が増えました。そして大量に排出されるようになった排気ガスによって酸性雨が降るようになったのです。
酸性雨の原因

image by Study-Z編集部
人間の化石燃料の使用や火山活動によって生じる二酸化硫黄(SO2)、窒素酸化物(NOx)が酸性雨の原因となっています。これらは大気中で硫酸や硝酸となって雨水に溶けるのです。
二酸化硫黄は刺激臭のある気体で、亜硫酸ガスとも呼ばれています。化石燃料を燃やした時の他、火山活動によっても排出される物質です。二酸化硫黄は酸化されることで硫酸となり、酸性雨を引き起こしています。
窒素酸化物とは窒素と酸素の化合物の総称です。一酸化窒素やに二酸化窒素などが窒素酸化物の仲間となります。窒素酸化物は酸性雨だけでなく、光スモッグ、温暖化、オゾン層の破壊などの環境問題の原因となっているのです。
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