この記事では「盗人猛猛しい」について解説する。

端的に言えば盗人猛猛しいの意味は「盗みを働いて平気でいること、悪事を注意されても開き直ること」ですが、その他にもより幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

営業マネージャーとして勤務し、カナダでの留学を経てライターとして活動中のナガタナミキを呼んです。一緒に「盗人猛猛しい」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ナガタ ナミキ

外資企業の営業マネージャーとして勤務し、相手に伝わる会話表現やコーチングスキルについて学ぶ。カナダでの留学を経て、言葉の持つニュアンスや響きを大切にするライターとして現在活動中。

「盗人猛猛しい」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「盗人猛猛しい(ぬすっとたけだけしい)」の意味や語源・使い方を確認していきましょう。

「盗人猛猛しい」の意味は?

「盗人猛猛しい」には、次のような意味があります。

盗みをしながら平気でいたり、悪事をとがめられて逆に居直ったりすることをののしっていう語。ぬすびと猛々しい。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「盗人猛猛しい」

「盗人猛猛しい」とは、盗みや悪事をはたらいておきながら、その後に平気な顔をしている様子をいいます。たとえば誰かを傷つけたのに、謝りもせず、周囲に責められれば逆に開き直ってしまうような状態です。通常なら誰しも多少の罪悪感を感じるものですが、「盗人猛猛しい」人物には悪いことをしたという自覚・罪の意識がなく、誠実さが欠けています。

意味を理解する上で重要なポイントは、「悪事をはたらいても平気でいること」「他人に指摘・非難されると開き直ること」の二点です。実際にこのような人物がいれば、腹立たしく許せない気持ちになるのではないでしょうか。「盗人猛猛しい」には、ひどい態度への軽蔑・罵りの意味も込められています。

※「盗人」の読み方は(ぬすっと)または(ぬすびと)です。

「盗人猛猛しい」の語源は?

次に「盗人猛猛しい」の語源を確認しておきましょう。

\次のページで「「盗人猛猛しい」の使い方・例文」を解説!/

「盗人」
・泥棒、盗賊のこと

「猛猛しい」
・勇ましく強い
・図太い、図々しい

「盗人猛猛しい」の語源を理解する上で重要なキーワードは「猛猛しい」です。上記で確認したように、猛猛しいには大きく分けて二つの意味がありますが、ここでは特に「図々しい」様子を表す言葉として使われています。しかし一体なぜ、「勇ましさ・正義感」をも表す「猛猛しい」がこの慣用句に使われているのでしょうか。

「盗人猛猛しい」は江戸時代から慣用句として広まったといわれています。当時の盗賊たちは、金銭を盗むためなら殺しもためらわない残酷な者が多く、捕まれば間違いなく死罪となる悪人でした。そんな彼らにとっては自らの悪事に対する罪悪感や反省は無意味であり、「どうせ捕まれば死ぬのだから」と開き直っていたそうです。この態度が非常に図々しく、同時に堂々としていたことが「盗人猛猛しい」の意味に繋がったとされています。

「盗人猛猛しい」の使い方・例文

「盗人猛猛しい」の使い方を例文を通して確認していきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.不正が発覚したにも関わらず、堂々とインタビューに答えるとは実に盗人猛猛しい

2.喧嘩のきっかけとなった生徒に話を聞くと、言い訳ばかりで反省の色が全く見えず、その態度はまさに盗人猛猛しいものであった。

3.仕事上で重要なルールを破った部下を注意をすると、「皆これくらいやっている」とひどい開き直りの言葉が返ってきた。これほど盗人猛猛しい性格をしていたとは知らず、驚いた。

4.田舎では人と人との距離が近く、噂や陰口もすぐに広まるが、最近はインターネットの普及によってどこにいても情報が筒抜けだ。不正の告発や本人の特定も容易となっているので、もしもパワハラなどを行って平気な顔をしている盗人猛猛しい人物がいれば制裁を受けることになるだろう。

「盗人猛猛しい」は、現代では大きな犯罪を犯した人物に対してだけでなく、より広義での悪事・小さな不正などに対しても使われます。ひどいことをしておきながら平気な顔をしている、そんな人物に対する軽蔑の気持ちを込めて「盗人猛猛しい」とたとえることが可能です。

\次のページで「「盗人猛猛しい」の類義語は?」を解説!/

「盗人猛猛しい」の類義語は?

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それではここで「盗人猛猛しい」の類義語を確認しましょう。

「厚顔無恥」

「厚顔無恥(こうがんむち)」とは、図々しく恥知らずな様子を表す四字熟語です。「厚顔」とは文字通り分厚い皮の面(顔)のことですが、転じて図々しさ・厚かましさを意味します。「無恥」とは恥じる心が無いことです。恥知らずともいいます。

※「紅顔」「無知」と書くのは誤りですので注意しましょう。

「面の皮が厚い」

「面の皮が厚い(つらのかわがあつい)」とは、恥を恥とも思わないことです。先にご紹介した「厚顔無恥」とも共通していますが、たとえ他人に非難されたとしても動揺せず、むしろ図々しく厚かましい態度をたとえています。

「厚かましい」

「厚かましい」とは、自分の行動や態度に対する慎みがないことです。慎みとは簡単に言えば謙虚さですが、「厚かましい」にはそれがないため、非常に図々しく遠慮がないことを表します。

「臆面もない」

「臆面(おくめん)もない」とは、気後れや動揺が全くない様子のことです。転じて、図々しい状態を表します。「臆面」とは動揺した態度やおどおどした表情のことで、自信のなさ・心のひるみが現れたものです。

\次のページで「「太々しい」」を解説!/

「太々しい」

「太々しい(ふてぶてしい)」とは、開き直った図々しい様子のことです。間違ったことをしても悪びれもせずにいるような態度のことで、その神経の図太さが伺えます。

「盗人猛猛しい」の英訳は?

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最後に「盗人猛猛しい」の英語表現を確認しましょう。

「The guilty are audacious」

The guilty are audacious とは、英語のことわざで「罪を犯す者とは大胆で図々しい」ことを意味します。the guilty とは犯罪者・罪そのものを示しており、audacious とは大胆で図々しい様子のことです。「盗人猛猛しい」のニュアンスに非常に近い表現といえますね。

「盗人猛猛しい」を使いこなそう

この記事では「盗人猛猛しい」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「盗人猛猛しい」に関して
罪を犯した後でも平然としていること
他人に罪を指摘されると開き直り、怒ること
江戸時代の盗賊たちの堂々とした、図々しい振る舞いが語源
類義語には「厚顔無恥」など
が確認できましたね。

なかなか日常会話で使うことはないかもしれませんが、江戸時代に広まったとされる「盗人猛猛しい」は、現代にもはびこる理不尽さへの怒りや軽蔑の気持ちを含んだ、普遍的な言葉なのです。

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【慣用句】「盗人猛猛しい」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「盗人猛猛しい」について解説する。

端的に言えば盗人猛猛しいの意味は「盗みを働いて平気でいること、悪事を注意されても開き直ること」ですが、その他にもより幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

営業マネージャーとして勤務し、カナダでの留学を経てライターとして活動中のナガタナミキを呼んです。一緒に「盗人猛猛しい」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ナガタ ナミキ

外資企業の営業マネージャーとして勤務し、相手に伝わる会話表現やコーチングスキルについて学ぶ。カナダでの留学を経て、言葉の持つニュアンスや響きを大切にするライターとして現在活動中。

「盗人猛猛しい」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「盗人猛猛しい(ぬすっとたけだけしい)」の意味や語源・使い方を確認していきましょう。

「盗人猛猛しい」の意味は?

「盗人猛猛しい」には、次のような意味があります。

盗みをしながら平気でいたり、悪事をとがめられて逆に居直ったりすることをののしっていう語。ぬすびと猛々しい。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「盗人猛猛しい」

「盗人猛猛しい」とは、盗みや悪事をはたらいておきながら、その後に平気な顔をしている様子をいいます。たとえば誰かを傷つけたのに、謝りもせず、周囲に責められれば逆に開き直ってしまうような状態です。通常なら誰しも多少の罪悪感を感じるものですが、「盗人猛猛しい」人物には悪いことをしたという自覚・罪の意識がなく、誠実さが欠けています。

意味を理解する上で重要なポイントは、「悪事をはたらいても平気でいること」「他人に指摘・非難されると開き直ること」の二点です。実際にこのような人物がいれば、腹立たしく許せない気持ちになるのではないでしょうか。「盗人猛猛しい」には、ひどい態度への軽蔑・罵りの意味も込められています。

※「盗人」の読み方は(ぬすっと)または(ぬすびと)です。

「盗人猛猛しい」の語源は?

次に「盗人猛猛しい」の語源を確認しておきましょう。

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