
2.夜に光る塗料の仕組み

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光るものの中には自然のものとそうでないものがありましたね。蛍光灯やおもちゃには光らせるための塗料が使われています。この塗料をそれぞれの性質によって分類したものが「夜光塗料」「蓄光塗料」「蛍光塗料」です。

時計やおもちゃ、絵画作品などに使われていることがあるから身近なもので探してみよう。
2-1.夜光塗料

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夜光塗料(やこうとりょう)は夜光る塗料の意味であり、現在では夜光塗料イコール蓄光塗料(次に解説)という認識となっています。暗いところで光らせたいものがあったとき、夜光塗料を使っても蓄光塗料を使っても問題ありません。しかし厳密にはこの2つは全く異なるもので、一昔前はしっかり区別されていました。
夜光塗料はただ塗るだけで光るという塗料です。ではそのエネルギーはどこから出ているのでしょうか。
答えはラジウムなど放射性物質です。1910年代後半から約20年にわたり、ラジウムを含む夜光塗料を時計の文字盤に塗っていた時代がありました。当時人体への悪影響はないとされていたものの、この仕事に従事していた女性たちの多くが放射線中毒や癌によって亡くなっています。現在では放射線の危険性が広く知られ、同様の塗料が使用されることはなくなりました。また、この時代の時計や夜光塗料が塗られたものがもし残っていたとしても、すでに放射能が減っているのでご安心くださいね。
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彼女たちがいてくれたおかげで放射線の危険性を知ることができたんだ。ちなみにラジウム温泉という温泉があるが、これはラジウムが崩壊してできた別の物質(ラドン)を含む温泉のことだから安心してくれよな。
2-2.蓄光塗料

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部屋の照明用リモコンや時計の文字盤が夜光っているのを見たことはありますか?これに使われているのが蓄光塗料(ちっこうとりょう)で、明るいときに受けた光を蓄えることで暗いときに光るという性質をもっています。
ここで重要になるのは紫外線を含む光です。蓄光塗料は太陽光に含まれる紫外線、紫外線ライト、紫外線を含む照明等の光エネルギーを塗料から発する光エネルギーに変えることで発光します。
簡単に原理を説明しましょう。塗料に紫外線を当てる(光エネルギーを受ける)と、塗料の中に含まれる電子がエネルギー過多の状態になって不安定化します。これが励起状態(れいきじょうたい)です。すると次は余分なエネルギーを放出して元の状態(基底状態 きていじょうたい)に戻ろうとします。このとき、放出するエネルギーを光エネルギー(可視光)に変換するために光って見えるのです。そしてこの変換は一定の時間をかけて行われるため、昼間に蓄光して夜に光るという長時間の発光が楽しめますよ。

ということは最初に日光などで紫外線を受けなければ光ることができないということだな。紫外線を受けた分だけ光ることができるから光の持続時間にも限界がある反面、長時間の発光も可能ということなんだ。