今回は「塗料の種類」について詳しく勉強していこう。

夜光るものといってもその種類は様々で、自然な光と人工的な光がある。人工的なものには塗料が用いられていることがあるんです。

そこで今回は光る塗料の種類、3つについて化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.光といえば…?

「光」と聞いて、あなたはどんなものを思い浮かべるでしょうか。太陽光や可視光、紫外線、赤外線といった化学の授業でよく聞くものを考えた人も多いでしょう。これらは主に昼間の景色をイメージする人が多そうですね。しかし今回解説するのは「夜に見える光」がテーマです。夜の光といえば、どんなものが挙げられますか?

1-1.夜光るもの

1-1.夜光るもの

image by Study-Z編集部

夜の光といえば「街のネオンやオフィスビルや住宅街の灯り」「月や星」「夏の風物詩 蛍」「自転車や歩行者用の反射板」「夜に光るおもちゃ」「ウミホタルやホタルイカなどの海の生物」こういったものが考えられるでしょう。もちろんこれ以外にもたくさん光るものはありそうですね。

では、これらを「光の種類(光り方の種類)」によって分類してみるとどうなるでしょう。なぜ光るのか、考えてみたことがありますか?

1-2.光るものはなぜ光る?

先ほどの例について考えてみましょう。

「街のネオンやオフィスビルや住宅街の灯り」というのは、蛍光灯などの照明器具に電気を流すことで光りますね。これには蛍光管内の塗料と紫外線の存在が大きく関わっています。次に「月や星」ですが、これはそれが恒星なのか惑星なのか、衛星なのかによっても異なりますね。冬の星座・オリオン座に輝くペテルギウスは自ら光を放つ恒星です。一方で地球のお隣にある惑星である金星や火星、地球の衛星である月は太陽の光を反射することで光ります。「蛍」「ウミホタルやホタルイカなどの海の生物」は、体内で発光物質と発光を手助けする発光酵素をつくり出すことによって光る生物です。「自転車や歩行者用の反射板」車や自転車の灯りを反射することで光りますよね。そして「夜に光るおもちゃ」は、ある塗料が日中に太陽の光を吸収することで夜に光ります。小さい頃、こんなおもちゃやキーホルダーを持っていませんでしたか?

さて、このように同じ「光るもの」でも原理が異なるのがわかりましたね。ここからは塗料を例に、さらに掘り下げて考えてみましょう。

\次のページで「2.夜に光る塗料の仕組み」を解説!/

2.夜に光る塗料の仕組み

image by iStockphoto

光るものの中には自然のものとそうでないものがありましたね。蛍光灯やおもちゃには光らせるための塗料が使われています。この塗料をそれぞれの性質によって分類したものが「夜光塗料」「蓄光塗料」「蛍光塗料」です。

2-1.夜光塗料

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夜光塗料(やこうとりょう)は夜光る塗料の意味であり、現在では夜光塗料イコール蓄光塗料(次に解説)という認識となっています。暗いところで光らせたいものがあったとき、夜光塗料を使っても蓄光塗料を使っても問題ありません。しかし厳密にはこの2つは全く異なるもので、一昔前はしっかり区別されていました。

夜光塗料はただ塗るだけで光るという塗料です。ではそのエネルギーはどこから出ているのでしょうか。

答えはラジウムなど放射性物質です。1910年代後半から約20年にわたり、ラジウムを含む夜光塗料を時計の文字盤に塗っていた時代がありました。当時人体への悪影響はないとされていたものの、この仕事に従事していた女性たちの多くが放射線中毒や癌によって亡くなっています。現在では放射線の危険性が広く知られ、同様の塗料が使用されることはなくなりました。また、この時代の時計や夜光塗料が塗られたものがもし残っていたとしても、すでに放射能が減っているのでご安心くださいね。

2-2.蓄光塗料

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部屋の照明用リモコン時計の文字盤が夜光っているのを見たことはありますか?これに使われているのが蓄光塗料(ちっこうとりょう)で、明るいときに受けた光を蓄えることで暗いときに光るという性質をもっています。

ここで重要になるのは紫外線を含む光です。蓄光塗料は太陽光に含まれる紫外線、紫外線ライト、紫外線を含む照明等の光エネルギー塗料から発する光エネルギーに変えることで発光します。

簡単に原理を説明しましょう。塗料に紫外線を当てる(光エネルギーを受ける)と、塗料の中に含まれる電子がエネルギー過多の状態になって不安定化します。これが励起状態(れいきじょうたい)です。すると次は余分なエネルギーを放出して元の状態(基底状態 きていじょうたい)に戻ろうとします。このとき、放出するエネルギーを光エネルギー(可視光)に変換するために光って見えるのです。そしてこの変換は一定の時間をかけて行われるため、昼間に蓄光して夜に光るという長時間の発光が楽しめますよ。

\次のページで「2-3.蛍光塗料」を解説!/

2-3.蛍光塗料

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蛍光塗料(けいこうとりょう)が光る原理は蛍光灯が光る原理と似ています。蛍光塗料は蛍光灯の中に塗られている蛍光物質が塗料になったもので、電気エネルギーなしで効率よく発光するように作られていると考えてもいいでしょう。

蛍光灯も蛍光塗料も、蓄光塗料同様に紫外線によって物質内の電子が励起し、その後基底状態に戻る過程で可視光に変換されることで発光しています。蓄光塗料と異なるのは、紫外線から可視光への変換が直ちに行われるということです。蓄光塗料はエネルギーを蓄えることで長時間の発光が可能でしたね。一方で蛍光塗料を塗ったものは、紫外線ライトなどを当てているときは鮮やかに光るものの、そのライトが切れてしまえば光もなくなってしまうのです。ライトを常設できる場所であればこの問題はクリアできるため、絵画やボディペインティングなどのアートのためにより鮮やかな発色を求める場合には蛍光塗料が向いていそうですね。

身近な光る塗料について知ろう

夜は昼の明るい光とは全く異なる光の景色が見られますよね。暗い夜だからこそ明るい光が際立ち、雰囲気が出るというものです。そんな夜に見られる光には自然なものと人工的なものがあります。人工的な光にはいくつかの塗料が用いられていることが多いでしょう。それが「夜光塗料」「蓄光塗料」「蛍光塗料」です。

蓄光塗料は昼間に受けた紫外線を蓄えることで夜に光を放つもの、蛍光塗料は紫外線に反応して光るものでしたね。これらの夜光る塗料全般を指して夜光塗料とする場合もありますが本来は夜もずっと光を放ち続けるもの、つまりは放射性物質(ラジウムやトリチウム)を含むものがこれに当たります。現在では放射性物質が使われた時計などの製品は希少な存在ともいえるでしょう。現存しているものに関しては安全性が確認されてはいるものの、放射性物質となり得る事実から、蓄光塗料などで代用が進んでいます。身の回りのどんなものでこれらの塗料が使われているのか、ぜひ探してみてくださいね。

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化学理科生活と物質

3分で簡単「夜光・蓄光・蛍光」の違い!光る塗料の種類・仕組みを元塾講師がわかりやすく解説

今回は「塗料の種類」について詳しく勉強していこう。

夜光るものといってもその種類は様々で、自然な光と人工的な光がある。人工的なものには塗料が用いられていることがあるんです。

そこで今回は光る塗料の種類、3つについて化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.光といえば…?

「光」と聞いて、あなたはどんなものを思い浮かべるでしょうか。太陽光や可視光、紫外線、赤外線といった化学の授業でよく聞くものを考えた人も多いでしょう。これらは主に昼間の景色をイメージする人が多そうですね。しかし今回解説するのは「夜に見える光」がテーマです。夜の光といえば、どんなものが挙げられますか?

1-1.夜光るもの

1-1.夜光るもの

image by Study-Z編集部

夜の光といえば「街のネオンやオフィスビルや住宅街の灯り」「月や星」「夏の風物詩 蛍」「自転車や歩行者用の反射板」「夜に光るおもちゃ」「ウミホタルやホタルイカなどの海の生物」こういったものが考えられるでしょう。もちろんこれ以外にもたくさん光るものはありそうですね。

では、これらを「光の種類(光り方の種類)」によって分類してみるとどうなるでしょう。なぜ光るのか、考えてみたことがありますか?

1-2.光るものはなぜ光る?

先ほどの例について考えてみましょう。

「街のネオンやオフィスビルや住宅街の灯り」というのは、蛍光灯などの照明器具に電気を流すことで光りますね。これには蛍光管内の塗料と紫外線の存在が大きく関わっています。次に「月や星」ですが、これはそれが恒星なのか惑星なのか、衛星なのかによっても異なりますね。冬の星座・オリオン座に輝くペテルギウスは自ら光を放つ恒星です。一方で地球のお隣にある惑星である金星や火星、地球の衛星である月は太陽の光を反射することで光ります。「蛍」「ウミホタルやホタルイカなどの海の生物」は、体内で発光物質と発光を手助けする発光酵素をつくり出すことによって光る生物です。「自転車や歩行者用の反射板」車や自転車の灯りを反射することで光りますよね。そして「夜に光るおもちゃ」は、ある塗料が日中に太陽の光を吸収することで夜に光ります。小さい頃、こんなおもちゃやキーホルダーを持っていませんでしたか?

さて、このように同じ「光るもの」でも原理が異なるのがわかりましたね。ここからは塗料を例に、さらに掘り下げて考えてみましょう。

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