「天資英明」
もう一つの類義語には、「天資英明(てんしえいめい)」があります。生まれつきすぐれていて賢明な資質を備えていることやその人のことという意味です。「天資」は生まれながらにして天から与えられた資質のこと、「英明」はすぐれていて賢いことやそのようすのことを表しています。
「英明」の部分には、才知がすぐれているだけでなく、別途物事の道理にもすぐれているという意味合いもあるので、「生知安行」とは意味が近いと言えますね。
「生知安行」の対義語は?
次に、「生知安行」の対義語についての説明です。正反対の意味の対義語やキーワードのとらえ方によっては対義語となる表現について二つ用意したので、一緒に見ていきましょう。
「人之性悪」
「生知安行」の対義語には、「人之性悪(じんしせいあく)」があります。意味は、人間の本来の性質は悪であるということです。
これは『荀子(じゅんし)』の冒頭の四字であり、人は生まれながらにして、利益を好んだり、妬み憎んだり、美声美色を好んだりすることから、悪の性質を持つものだとしています。それでも、努力などによって善へなることができるので、学ぶことが大切だとして『荀子』の第一篇は「勧学」となっていますよ。
「同声異俗」
もう一つの対義語には、「同声異俗(どうせいいぞく)」があります。生まれながらの性質は同じであり、環境や教育によって人物に差が出るという意味です。生まれたばかりの赤ちゃんの泣き声は誰も同じであるが、成長していくと風俗や週間を異にするということがもとになっています。
生まれながらに人道を身につけている「生知安行」に対し、「同声異俗」では生まれたときは同じだということなので、対義語として紹介をしました。
「natural moral sense」
「生知安行」の英訳には、「natural moral sense」があります。直訳すると「生まれながらの道徳心」です。「natural」は自然という意味から「生まれ持った」という意味もあります。
ほかには、「moral sense」の代わりに「conscience(良心、道義心)」を使っても、ほぼ同じような意味を表すことができますよ。
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