この記事では「手を焼く」について解説する。
端的に言えば、手を焼くの意味は「うまく処理できなくて困る」です。日常生活やビジネスシーンで耳にしたこともあるでしょう。この機会に意味と使い方をきちんと学んでおこう。
日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んです。「手を焼く」の意味をチェックし、例文や類義語などを見ていきます。

ライター/ユーリ

日本放送作家協会会員。シナリオ、エッセイをたしなむWebライター。時代によって変化する言葉の面白さ、奥深さをやさしく解説する。

「手を焼く」の意味・例文と使い方

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さっそく「手を焼く」の意味をチェックし、例文で使い方を見ていきましょう。

「手を焼く」の意味

まず、辞書で「手を焼く」の意味をチェックしましょう。

うまく処理できなくて困る。てこずる。もてあます。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「手を焼く」

「手」と「焼く」は小学生でも知っている簡単な言葉ですが、どちらも国語辞典をみると非常にたくさんの意味を持っていることがわかりますよ。「手」には「手数」「手間」という意味があります。「手のこんだ細工」「手のかかる子ども」といった使い方をしますね。また「焼く」には「あれこれ気を使う」「扱いなどで悩む」という意味があります。「世話を焼く」などといいますね。

「手を焼く」は、気を使い手間もかけて扱いに悩むことなので「うまく処理できなくて困る」「てこずる」「もてあます」という意味なのです。

「手を焼く」の例文と使い方

次は例文を使って「手を焼く」の使い方を見ていきましょう。

1.大学で幼児教育を学び、保育士として10年のキャリアがある彼女だったが、自分の子どもの子育てでは予想外に手を焼いていた。
2.メンターとして何人もの後輩の成長を見守ってきた彼だったが、今年の新入社員にはほとほと手を焼いているようだ。
3.親戚一同で数年に一度旅行に出かけているが、親戚は札幌、仙台、名古屋に住んでいるので、不公平にならないように宿泊先を決めるのに毎回手を焼いている。

\次のページで「「手を焼く」の類義語」を解説!/

最初の例文は、子育ての知識も経験もあるのに、自分の子どもの子育てでは苦戦しているという意味です。2番目の例文は、後輩の育成で経験豊富な彼なのに、今年の新入社員には困っているという意味ですね。

3番目の例文は、みんなに不公平にならないように旅行先を決めるのにとても気を使うという意味です。「手を焼く」子育てや人材育成などのシーンでよく使われる言葉ですが、何かの物事に対応するのが困難な場合にも使われますよ。

「手を焼く」の類義語

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「手を焼く」と同じような意味あいの言葉には、どのような言葉があるのでしょうか。

「てこずる」:処理に困る

「てこずる」「処理に困る」という意味です。語源は諸説あり、「手子摺る」と書いたり「梃子摺る」と書いたりしますよ。「手子」は手助けする人のこと。手伝いの人をわずらわせることが「手子摺る」の語源。「梃子」はテコの原理のテコですね。大きかったり重かったりしてテコの支点がずれることが「梃子摺る」の語源と言われています。

「持て余す」:取り扱い方や処置に困る

「持て余す」「取り扱い方や処置に困る」「手に負えない」という意味です。よく「暇を持て余す」といいますね。これは「時間がありすぎてどう過ごせばよいのかわからない」という意味ですよ。

「始末に負えない」:手に負えない

「始末」には「物事のはじめと終わり」「物事の最終的な状況」「倹約」などとともに「物事の締めくくりをつける」「処理」の意味があります。「始末に負えない」「手に負えない」「処理できない」「どうしようもない」という意味です。「始末が悪い」という表現もありますよ。

「手を焼く」の反対語

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「手を焼く」と反対の意味あいの言葉には、どのような言葉があるのでしょうか。

「手がかからない」:手間がかからない

「手がかからない」「面倒な手数をかけない」「手間がかからない」という意味です。「手がかからない子ども」は「親のいいつけを素直に聞く子ども」という意味ですね。

手がかからない子どもは、聞き分けがよく大人しいなどよいイメージがありますが、親の期待に応えようとして自分の気持ちを抑えてしまう「いい子症候群」に陥る場合もあるとか。一概に育児に手を焼くことが悪いこととも言えないようです。

「手を焼く」の英訳

次は英語で「手を焼く」をどのように表現するか見ていきましょう。

「can't handle」:手を焼く

「can't handle」で「手を焼く」という意味です。

\次のページで「「not know what to do with」:手を焼く」を解説!/

I can't handle this class.
このクラスに手を焼いている。

「handle」には「人や問題などを扱う」「事を処理する」「解決する」「対処する」などの意味があります。「can't 」がつくと「解決できない」「対処できない」ので、「can't handle」「処理できない」「手を焼く」という意味になりますよ。

「not know what to do with」:手を焼く

「not know what to do with」は「手を焼く」「持て余す」という意味です。

I do not know what to do with the child.
子どもに手を焼いている。

「not know what to do with」は、何をしたらよいかわからないということなので「手を焼く」「持て余す」という意味です。「I do not know what to do with myself.」は「身を持て余している」という意味ですね。

「手を焼く」を使いこなそう!

この記事では、「手を焼く」の意味を調べ、使い方や類義語などを解説しました。

「手」には「手数」「手間」という意味があり、「焼く」には「あれこれ気を使う」「扱いなどで悩む」という意味があります。「手を焼く」は、「うまく処理できなくて困る」「てこずる」「もてあます」という意味です。

手間暇がかかることは極力避けて、何でもサクっと手軽にすませることが好まれる昨今ですが、子育てや人材育成など、今も昔も労力をかけて取り組まなければならないこともあります。「手がかかる子ほどかわいい」という言葉もありますね。「手を焼く」のは大変なことですが、いつかその経験が手を焼いた相手のためにも、自分自身のためにも役立つときがくると信じて、「手を焼く」を使いこなせるようになりましょう。

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国語言葉の意味

なぜ「手を焼く」というの?意味・使い方・類義語などを日本放送作家協会会員がわかりやすく解説

この記事では「手を焼く」について解説する。
端的に言えば、手を焼くの意味は「うまく処理できなくて困る」です。日常生活やビジネスシーンで耳にしたこともあるでしょう。この機会に意味と使い方をきちんと学んでおこう。
日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んです。「手を焼く」の意味をチェックし、例文や類義語などを見ていきます。

ライター/ユーリ

日本放送作家協会会員。シナリオ、エッセイをたしなむWebライター。時代によって変化する言葉の面白さ、奥深さをやさしく解説する。

「手を焼く」の意味・例文と使い方

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さっそく「手を焼く」の意味をチェックし、例文で使い方を見ていきましょう。

「手を焼く」の意味

まず、辞書で「手を焼く」の意味をチェックしましょう。

うまく処理できなくて困る。てこずる。もてあます。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「手を焼く」

「手」と「焼く」は小学生でも知っている簡単な言葉ですが、どちらも国語辞典をみると非常にたくさんの意味を持っていることがわかりますよ。「手」には「手数」「手間」という意味があります。「手のこんだ細工」「手のかかる子ども」といった使い方をしますね。また「焼く」には「あれこれ気を使う」「扱いなどで悩む」という意味があります。「世話を焼く」などといいますね。

「手を焼く」は、気を使い手間もかけて扱いに悩むことなので「うまく処理できなくて困る」「てこずる」「もてあます」という意味なのです。

「手を焼く」の例文と使い方

次は例文を使って「手を焼く」の使い方を見ていきましょう。

1.大学で幼児教育を学び、保育士として10年のキャリアがある彼女だったが、自分の子どもの子育てでは予想外に手を焼いていた。
2.メンターとして何人もの後輩の成長を見守ってきた彼だったが、今年の新入社員にはほとほと手を焼いているようだ。
3.親戚一同で数年に一度旅行に出かけているが、親戚は札幌、仙台、名古屋に住んでいるので、不公平にならないように宿泊先を決めるのに毎回手を焼いている。

\次のページで「「手を焼く」の類義語」を解説!/

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