3分で簡単「ローレンツ変換」特殊相対性理論の要を理系ライターがわかりやすく解説
特殊相対性理論とはガリレオ変換が間違っていて、正しくはローレンツ変換であるという理論のことです。ローレンツ変換とはどのようなものであるか学んでみよう。
今回は物理学科出身のライター・トオルさんと解説していきます。
ライター/トオル
物理学科出身のライター。広く科学一般に興味を持つ。初学者でも理解できる記事を目指している。
ガリレオ変換
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特殊相対性理論によってローレンツ変換が正しいとされるまでは、ガリレオ変換が正しいと考えられていました。ニュートン力学はガリレイ変換が正しいとしていますし、実際、日常生活においてはガリレイ変換が正しいように見えます。まずはローレンツ変換を学ぶ前にガリレオ変換について復習しましょう。
ガリレオ変換.その1
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ニュートン力学においては上記の慣性の法則とよばれる法則存在しいます。しかし、静止とか等速運動という言葉は「何に対して」静止しているのか、あるいは等速運動をしているのかを言わなければ意味不明です。つまり、物体の位置を示す座標としてどのような座標系をとるのか示さないと成立しません。
日常の運動を記述する場合は、大抵地面に固定した座標系を採用しています。そしてこの座標系で、近似的ではありますが慣性の法則がなりたっているのです。
ガリレオ変換.その2
しかし地球は自転し、かつ太陽の周りを公転しており、その効果により厳密には慣性の法則は成り立っていません。さらに太陽系も銀河系のなかで回転運動をしており、その銀河系自体も運動しています。いったいどの座標系を採用すれば厳密に慣性の法則が成立しているのでしょうか。
しかし、宇宙の中で私たちがどうような運動をしているかが完全にわからないと、慣性の法則が成立している座標系がわからないというのでは何もわかりません。そこでニュートン力学では、慣性の法則が成立している座標系を慣性系と定義しています。
ガリレオ変換.その3
ある座標系で等速運動している物体は、その座標系に対して等速運動している座標系でもやはり等速運動しています。したがって、慣性系に対して等速運動している座標系でも慣性の法則が成立しているはずです。つまり、慣性系に対して等速運動している座標系はすべて慣性系であり無限に存在していることになります。
そして無限に存在している慣性系は平等同格であり、特別な座標系というのはまったくありません。
ガリレオ変換.その4
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上記がニュートンの第二法則であり、それを式で表したのが1式です。ここでmは質点の質量、xは質点の座標、tは時間でfは質点に働く力になります。この座標系をx系と呼びましょう。この式は別の慣性系座標x’で表現しても同じ2式になるはずです。ここでは簡単のため図のようにx’系はx系に対して速度vでx軸方向に運動している座標系としましょう。
するとその座標変換は3式となるはずです。この二つの慣性系の間を結ぶ座標変換をガリレイ変換と呼びます。この3式を1式に代入すると2式がでてくるのがわかるでしょう。このように物理法則がどの座標系でも同じ形になることを相対性原理と呼びます。
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