この記事では「頭打(あたまう)ち」について解説する。
端的に言えば、頭打ちの意味は「上昇を続けていた物事が限界に達して、これ以上は上がらなくなる」ことです。一般的にも使われる言葉ですが、実は金融・証券の専門用語なんです。類義語や反対語にも証券用語が出て来るぞ。
日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んです。一緒に「頭打ち」の意味や語源をチェックし、使い方や類義語などを見ていきます。

ライター/ユーリ

日本放送作家協会会員。シナリオ、エッセイをたしなむWebライター。時代によって変化する言葉の面白さ、奥深さをやさしく解説する。

「頭打ち」の意味・語源・例文と使い方

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さっそく「頭打ち」の意味と語源を確認し、例文で使い方を見ていきましょう。

「頭打ち」の意味

まずは辞書で「頭打ち」の意味をチェックしましょう。

1 物事が限界に達してこれ以上には向上しえない状態になること。
2 上昇を続けてきた相場が、それ以上上がらなくなること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「頭打ち」

「頭」はたくさんの意味を持っている言葉です。「からだの首から上の部分」という意味以外に「上端」「てっぺん」「相場の最高点」「天井」などの意味があります。1は「これまで上昇を続けていた物事が限界に達して、これ以上は上がらなくなる」ことです。2は証券用語で「上昇し続けていた相場がそれ以上は上がらなくなる」ことを意味しています。

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「頭打ち」の語源

金融業界で「上昇し続けていた相場がそれ以上は上がらなくなる」ことを「頭打ち」という言葉で表現します。これが相場だけでなく、一般的な場合にも使われるようになったと考えられていますよ。「頭打ち」は「相場が上限に達してこれ以上は上昇しない」というニュアンスのある言葉ですが、実際の相場では、新たな買いの材料が出てくると再度上昇局面に入る場合もあります。

「頭打ち」の例文と使い方

次に「頭打ち」の例文で使い方を見ていきましょう。

1.いくら勉強してもテストの点数は頭打ちで、学年で上位10番に入ることができない。
2.新工場を稼働して増産体制に入る予定だったが、景気に陰りが出ており、製品の需要が頭打ちになる懸念が出てきた。
3.A社の株価は上場以来ずっと右肩上がりだったが、最近伸びが鈍化しており、そろそろ頭打ちに近づいているようだ。

最初の例文は、成績が一定以上に上がらないという意味です。2番目の例文は、製品の需要が増えない可能性があるという意味ですね。3番目の例文は証券用語としての「頭打ち」を使った例文です。一般的な意味で使う場合も証券用語として使う場合も、共通しているのは「限界に達してそれ以上は上がらなくなる」ことですよ。

「頭打ち」の類義語

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「頭打ち」と似たような意味を持つ言葉には、どのような言葉があるのでしょうか。証券用語の中に類義語がありますよ。

「伸び悩み」:一定程度で停滞している

「伸び悩み」「上昇、向上、進展したいことが思ったように伸びず、一定程度で停滞している」という意味です。「頭打ち」のように上限に達したニュアンスはなく、もう少し伸びそうなのに伸びないというニュアンスですよ。証券用語としても「伸び悩み」という言葉があり、その場合は「一定のところまで上昇した相場がそれ以上高くならない」という意味で使われています。

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「横ばい」:目立った変動がない状態

「横ばい」の元の意味は「カニなどが横にはって歩くこと」です。転じて「物価や相場などが目立った変動がない状態にある」という意味で使われるようになりました。「横ばい」も証券用語として使われており、「相場が上がりも下がりもせず同じ状態が続く」という意味です。

「足踏み」:同じ状態が続く

「足踏み」の元の意味は「同じ場所で両足を交互に踏むこと」です。これだとずっと同じ場所にいて前進も後退もしませんね。そこから転じて「物事の進行が止まっており、同じ状態が続いている」という意味になりました。

「頭打ち」の反対語

「頭打ち」と反対の意味を持つ言葉には、どのような言葉があるのでしょうか。

「青天井」:ずっと上昇し続ける

「青天井」とは空を天井に見立てていう言葉で、「青空」という意味です。上限がないというところから転じて「相場がずっと上昇し続ける」という意味になりました。「青天井」も証券用語なのです。ちなみに相場が上昇しているときの高値の水準のことを「天井」といい、最高値のことを「大天井」といいますよ。

「底打(そこう)ち」:それ以上下がらない

「底打ち」は「底を打つ」ともいいます。「相場や物価が下落して最安値になる」という意味です。「底打ち」も証券用語で、「相場が一番下まで下がり、下げ止まったこと」を指します。「底入れ」ともいいますよ。「頭打ち」が上限に達してそれ以上は上がらなくなるのに対し、「底打ち」は下限まで下落してそれ以下に下がらないので反対語と言えるでしょう。

\次のページで「「頭打ち」の英訳」を解説!/

「頭打ち」の英訳

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英語では「頭打ち」はどのように表現するのでしょうか。

「hit a peak」:頂点に達する

「hit」は「打つ」「ぶつかる」などの意味があり、「peak」は「頂点」「最高点」「峠」などの意味があります。日本語でも「混雑がピークに達する」などの使い方をしますね。「hit a peak」「頂点に達する」「頭打ちになる」というです。

「reach the ceiling」:頭打ちになる

「reach」には「達する」「届く」「及ぶ」などの意味があります。「ceiling」は「天井」「最高限度」という意味です。「reach the ceiling」は直訳では「天井に達する」で、「頭打ちになる」という意味の慣用句ですよ。「ceiling」の代わりに「limit(限度)」を使った「reach the limit」という表現もあります。

「頭打ち」を使いこなそう!

この記事では、「頭打ち」の意味や語源を調べ、使い方や類義語などを解説しました。

「頭打ち」は、一般的には「これまで上昇を続けていた物事が限界に達して、これ以上は上がらなくなる」こと、証券用語では「上昇し続けていた相場がそれ以上は上がらなくなる」ことを意味しています。

相場にしても成績にしてどこかに上限はあるものです。いつか「頭打ち」になることは避けられないですが、何か新たな材料があれば再び上昇することもありますよ。また物事が下落していくのはつらいことですが、底を打てばそれ以下に下がることはなく、あとは反転して上昇するだけともいえます。いつか局面は変わるもの。伸び悩みのときも横ばいのときもあきらめずにがんばりましょう。

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国語言葉の意味

実は証券用語!「頭打ち」の意味・語源・使い方・類義語などを日本放送作家協会会員がわかりやすく解説

この記事では「頭打(あたまう)ち」について解説する。
端的に言えば、頭打ちの意味は「上昇を続けていた物事が限界に達して、これ以上は上がらなくなる」ことです。一般的にも使われる言葉ですが、実は金融・証券の専門用語なんです。類義語や反対語にも証券用語が出て来るぞ。
日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んです。一緒に「頭打ち」の意味や語源をチェックし、使い方や類義語などを見ていきます。

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「頭打ち」の意味・語源・例文と使い方

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さっそく「頭打ち」の意味と語源を確認し、例文で使い方を見ていきましょう。

「頭打ち」の意味

まずは辞書で「頭打ち」の意味をチェックしましょう。

1 物事が限界に達してこれ以上には向上しえない状態になること。
2 上昇を続けてきた相場が、それ以上上がらなくなること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「頭打ち」

「頭」はたくさんの意味を持っている言葉です。「からだの首から上の部分」という意味以外に「上端」「てっぺん」「相場の最高点」「天井」などの意味があります。1は「これまで上昇を続けていた物事が限界に達して、これ以上は上がらなくなる」ことです。2は証券用語で「上昇し続けていた相場がそれ以上は上がらなくなる」ことを意味しています。

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