この記事では「雄心勃勃」について解説する。

端的に言えば雄心勃勃の意味は「心が盛んに沸き立ってくるようす」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「雄心勃勃」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「雄心勃勃」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「雄心勃勃」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「ゆうしんぼつぼつ」で、とくに宗教などの用語ということではありません。まずは正しい意味を確認したあと、語源などの情報や使い方についても注目していきますよ。

「雄心勃勃」の意味は?

「雄心勃勃」には、次のような意味があります。基本的な意味のあと、四字熟語の漢字それぞれの意味合いも含めてチェックしていきましょう。

1.雄々しい勇気が盛んに湧いてくるさま。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「雄心勃勃」

「雄」は「おおしい、いさましい、ひいでる、まさる、すぐれた人物」などの意味があり、「雄心」は雄々しい心や勇ましい精神のことを表しています。「勃」のほうは「おこる、急におこる、勢いが盛んなようす」などの意味で「勃発」「勃興」などの熟語がある漢字です。「勃勃」と「勃」を重ねることで、盛んに起こるようすのことを表しています。

もちろん、意味合いとしてはプラスイメージの表現であり、これからなにかに立ち向かうときや新しい局面を迎えるときなど、いつもとは違う場面を目前にしたときによく使われますよ。

「雄心勃勃」の使い方・例文

「雄心勃勃」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。とくに、文法的な観点から、品詞としての使い方にもチェックしていきますよ。

\次のページで「「雄心勃勃」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.日本の一部の意気盛んな若者からは、雄心勃勃とした気持ちが感じられる。
2.ベンチャー企業を立ち上げるには、能力とは別に雄心勃勃たるものが必要だ。

例文1.は、近年は草食系の若者も増えていると言われていますが、そんな中にも意気盛んな若者もいるということを表しています。例文の2.のほうは、独立して何かを立ち上げるには、能力に加えてそれ相当の気持ちや決意のようなものを持っていることも条件だということです。

文法的な観点から見てみると、例文1.は「雄心勃勃と…」と四字熟語をそのまま名詞として使っており、例文2.では「雄心勃勃たる…」と連体詞として使っています。「…タル」という表現は、文語では形容動詞のタリ活用として扱われますが、口語では連体詞として扱うのが基本です。

「雄心勃勃」の類義語は?違いは?

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それでは、「雄心勃勃」の類義語についての説明です。「雄心勃勃」とよく似た意味の類義語はいくつかあるので、一緒に詳しく見ていきましょう。

「勇気凛凛」

「雄心勃勃」の類義語には、「勇気凛凛(ゆうきりんりん)」があります。意味は、失敗や危険もかえりみず勇敢に物ごとに立ち向かうようすのことです。「凛」は厳しく引き締まっているようすを表し、「凛凛」で勇ましくりりしいようすを表しています。

逆境を迎えたときや責任感に後押しされたときなど、平時のようすとは違ったスイッチが入ったような状態のことです。もともとの性質もありますが、ある場面を経験することで今までにない自分が発揮されることもありますよね。

「一人当千」

もう一つの類義語には、「一人当千(いちにんとうせん)」があります。非常に実力があることやきわめて勇気があることという意味です。「一人、千に当たる」と読み下し、一人の力が千人の力に相当するというのがもとの意味合いになっています。

また、「一騎当千(いっきとうせん)」という四字熟語も同じような意味で、一人の騎兵で千人を相手にできるということがもとになっていますよ。武勇に限らず、学識や経験、手腕などがすぐれている場合にも使われる表現です。

\次のページで「「雄心勃勃」の対義語は?」を解説!/

「雄心勃勃」の対義語は?

次に、「雄心勃勃」の対義語についての説明です。「雄心勃勃」の対義語なので、勇気を失ったり気力が衰えるような場合ですね。該当する四字熟語がいくつかあるので、チェックしてみましょう。

「意気消沈」

「雄心勃勃」の対義語には、「意気消沈(いきしょうちん)」があります。意味は、元気をなくして落ち込むこと、しょげかえったり、勢いが消え失せることなどです。「意気」は気持ちや気概のこと、「消沈」のほうは気力などが衰えることを表しています。

「意気消沈」は、勇気が湧いてくるような「雄心勃勃」とは反対の意味です。また、一般的にもよく使われる表現となっていますよ。

「垂頭喪気」

もう一つの対義語には、「垂頭喪気(すいとうそうき)」があります。元気をなくしてしょげかえったり、がっかりすることという意味です。「垂頭」は頭を低く垂れること、「喪気」は元気を失うことを表しており、「頭を垂れ気を喪う」と訓読します。

「垂頭喪気」は元気をなくす意味で「気を喪う」のですが、「気を失う」と書くと気絶するという意味になるので注意が必要ですね。

「雄心勃勃」の英訳は?

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最後に、「雄心勃勃」の英訳についての説明です。漢字の表現の意味が伝わるように、対象となるキーワードとなる単語を含む英語表現について見ていきましょう。

「burning with ambition」

「雄心勃勃」の英訳には、「burning with ambition」があります。直訳すると「大望に燃えること」です。「burning」は「burn」の動名詞で「燃える、白熱する」などの意味がありますよ。

その他、前後に単語を置かず単独の語で「anbitious(大望のある、意欲的な)」や「aspiring(高い目標を目指して、野心のある)」といった表現も可能です。それぞれ、名詞「ambition」の形容詞が「ambitious」、動詞「aspire」の現在分詞形が「aspiring」となっています。

\次のページで「「雄心勃勃」を使いこなそう」を解説!/

「雄心勃勃」を使いこなそう

今回の記事では「雄心勃勃」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「雄心勃勃」の基本の意味は、勇気が湧いてくるようすのことです。類義語にあった「勇気凛凛」や「一人当千」「一騎当千」のほうがよく使われるかもしれませんが、「勇気が湧いてくる」ところに焦点を当てたい場合はオリジナルな表現として使えそうですね。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「雄心勃勃」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「雄心勃勃」について解説する。

端的に言えば雄心勃勃の意味は「心が盛んに沸き立ってくるようす」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「雄心勃勃」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「雄心勃勃」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「雄心勃勃」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「ゆうしんぼつぼつ」で、とくに宗教などの用語ということではありません。まずは正しい意味を確認したあと、語源などの情報や使い方についても注目していきますよ。

「雄心勃勃」の意味は?

「雄心勃勃」には、次のような意味があります。基本的な意味のあと、四字熟語の漢字それぞれの意味合いも含めてチェックしていきましょう。

1.雄々しい勇気が盛んに湧いてくるさま。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「雄心勃勃」

「雄」は「おおしい、いさましい、ひいでる、まさる、すぐれた人物」などの意味があり、「雄心」は雄々しい心や勇ましい精神のことを表しています。「勃」のほうは「おこる、急におこる、勢いが盛んなようす」などの意味で「勃発」「勃興」などの熟語がある漢字です。「勃勃」と「勃」を重ねることで、盛んに起こるようすのことを表しています。

もちろん、意味合いとしてはプラスイメージの表現であり、これからなにかに立ち向かうときや新しい局面を迎えるときなど、いつもとは違う場面を目前にしたときによく使われますよ。

「雄心勃勃」の使い方・例文

「雄心勃勃」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。とくに、文法的な観点から、品詞としての使い方にもチェックしていきますよ。

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