この記事では「根に持つ」について解説する。

端的に言えば「根に持つ」の意味は「いつまでも恨んでいること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「根に持つ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で慣用句を解説していく。

「根に持つ」の意味・使い方まとめ

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それでは早速「根に持つ」の意味・使い方を見ていきましょう。

「根に持つ」の意味は?

「根に持つ」には、次のような意味があります。

いつまでも恨みに思って忘れない。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「根に持つ」

「根」は、植物の根をイメージすると分かりやすいのではないでしょうか。植物は茎や葉が枯れたとしても、根がしっかりしていれば再生していくものです。すなわち、根を排除しないことには、雑草もすぐに生えてくると考えてよいでしょう。それは、恨みも同じですよね。「根に持つ」の「根」は、「物事の起こるもと」や「心の底」だと考えてみてください。「持つ」も様々な意味がありますが、「心に抱いていること」と捉えるとよいでしょう。

「根に持つ」は、相手がしてきた過去の仕打ちに対する不満が消えない、もしくは相手を憎いという感情がずっと消えない場合によく用いられます。だからこそ、ある出来事を未だに根に持っているということは、本人はよほど嫌な思いをしたということになりますね。

「根に持つ」の使い方・例文

「根に持つ」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「根に持つ」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.彼は、試合でフォローしてもらえなかったことを、まだ根に持っているみたいだよ。

2.先日、何年も前の出来事でまた怒られたよ。根に持つ性格の人の対処法を教えて欲しいね。

3.あの人は、根に持っているからといって差別するような人じゃないよ。

「根に持つ」は、恨みを忘れていない本人が使うよりも、第三者が使う場面のほうが多いといえるでしょう。たとえば、友人が特定の人物に対して不快感を抱いており、何年経っても不満を漏らしていたとします。話を聞いている側からすれば、「彼はよほど根に持っているな」と思いますよね。そして、ほかの友人に「彼は、未だに根に持っているみたいだよ」と説明するのではないでしょうか。

意味からしてネガティブな言葉だと思われるかもしれませんが、「根に持つ」は注意として使うこともできます。なぜなら、恨みを持たれた側は、意外と自覚がないからです。言動や行動など、気にする箇所は人それぞれ。円滑に仕事を進めていくには、良好な人間関係は欠かせません。「○○さんは根に持っているみたいだから、言葉使いに注意したほうがいいよ」と、助言する際にも使ってみてください。

「根に持つ」の類義語は?違いは?

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では、「根に持つ」の類義語や違いをみていきましょう。

「根葉に持つ」

「根葉に持つ」の意味は、恨みに思うこと。「根に持つ」と全く同じ意味だといってよいでしょう。「根葉」とは文字通り、根や葉など全てを差す言葉。根だけでなく、葉にまで恨みが浸透しているわけです。「根葉に持つ」のほうが、恨み度合いは高いのではないでしょうか。

「妬に籠む」

「妬に籠む」は「ねたにこむ」と読みます。意味は、いつまでも根に思うこと。「根に持つ」と同様の使い方で問題ないでしょう。「妬(ねた)」は、妬ましいと言うように、恨みを持つという意味。「籠」は、「かご」ではなく「こ」と読む点に注意してください。「籠」は、中に込める、中に閉じ込めるという意味もあります。「妬に籠む」で、恨みを心に閉じ込めた様子が想像できますね。

\次のページで「「遺恨」」を解説!/

「遺恨」

「遺恨(いこん)」には、2つの意味があります。1つ目は、忘れられない深い恨み。2つ目は、残念に思うこと。すなわち、心残りと考えるとよいでしょう。「根に持つ」は、比較的ざっくばらんに使える慣用句ですが、「遺恨」は頻繁に使われるような言葉ではありません。とくに、1つ目の意味として使う場合は注意したほうがよいでしょう。

たとえば、事件に巻き込まれて大切な家族を傷つけられたとしましょう。そのような辛い状況では、長い歳月が経ったとしても忘れられるものではありませんよね。犯人に対して、遺恨を抱くはずです。ニュースなどで「深まる遺恨」とよく表現されるように、恨みがさらに深まっていく場合もあるはず。遺恨を残すような行為だけは避けたいものです。

「根に持つ」の対義語は?

「根に持つ」の意味は、恨みに思って忘れないことでした。反対となると、執着せず「忘れてしまう」となるはずです。そこで今回は、「なかったことにする」や「忘れ去る」といった意味合いで「根に持つ」の対義語をみていきましょう。

「水に流す」

「水に流す」の意味は、過去にあった争いや揉めごとを一切なかったことにすること。「水」が、あらゆるものを流してくれるように、心のわだかまりを失くす様子を想像するとよいでしょう。いつまでも恨みを持っている場合、相手を咎めたくなるものですよね。なぜ、あのような発言や行動をしたのか。謝って欲しい気持ちが先行するのではないでしょうか。しかし、「水に流す」ということは、相手を咎めず、過ちをなかったことにするわけです。恨みを水に流せる人は、寛大な人といえますね。

「日日薬」

「日日薬(ひにちぐすり)」は、お住まいの地域によっては使われない言葉かもしれません。辞書にも載っている良い言葉なのでご紹介したいと思います。「日日薬」の意味は、月日の経過が薬代わりになること。最初は恨みや悲しみで忘れられなくても、時間の経過によって心がやわらぐ経験をした方も多いのではないでしょうか。不思議なもので、月日が経つと記憶があいまいになっていくものです。「日日薬」が、心の傷を癒してくれる一番の薬なのかもしれませんね。

「忘却」

自分自身の嫌な記憶は「忘却」のかなたに追いやってしまいましょう。「忘却」の意味は、すっかり忘れてしまうこと。なかなか難しい方法ではありますが、根に持っている限り、何度も嫌な体験を思い出してしまうはずです。忘れ去ることで、心を軽くできるのではないでしょうか。また、ほかにも月日の経過によって自然と記憶が薄れていく過程も「忘却」と表現します。脳内を正常に保つためには、軽微な「忘却」は欠かせないといえますね。

「根に持つ」の英訳は?

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では、「根に持つ」を英訳すると、どのような表現があるのでしょうか。

\次のページで「「hold a grudge」」を解説!/

「hold a grudge」

「grudge」は「恨む」や「惜しむ」という意味。「hold」は「保持する」という意味になります。「hold a grudge」は直訳すると「恨みを保持する」となり、「根に持つ」として使えるでしょう。ほかにも、「~に反して」という意味の「against」を加えて「hold a grudge against」にすれば「目の敵にする」としても使えます。

「vindictive」

「根に持つ」は、執着心が強いという側面があることから「vindictive」でもよいのではないでしょうか。「vindictive」とは「執念深い」や「復讐心が強い」という意味。「He is vindictive type」といえば「彼は根に持つタイプ」だと伝えることができるでしょう。

「根に持つ」を使いこなそう

この記事では「根に持つ」の意味・使い方・類語などを説明しました。「恨み」というと、よほどコミュニケーションに問題があり、トラブルを抱えていたのではと思われるかもしれません。しかし、「根に持つ」は比較的、冗談交じりで使われる場合が多いといえます。友人同士で「あいつはまだ根に持っているぞ」という風に、笑い話で使ったことがある方も多いのではないでしょうか。

ただし、気心知れた者同士ならまだしも、他人に「根を持つ」ことをしたら大変です。根は取り除かない限り、恨みは心の奥深くへと浸透していくもの。誤解を生まないためにも、根が浅いうちに対処をしたほうが良いといえますね。失言をした本人は、案外気付いていないものです。ぜひ、注意する言葉の一つとして「根を持つ」を使ってみてください。

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【慣用句】「根に持つ」の意味や使い方は?例文や類語を本の虫ライターがわかりやすく解説!

この記事では「根に持つ」について解説する。

端的に言えば「根に持つ」の意味は「いつまでも恨んでいること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「根に持つ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で慣用句を解説していく。

「根に持つ」の意味・使い方まとめ

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それでは早速「根に持つ」の意味・使い方を見ていきましょう。

「根に持つ」の意味は?

「根に持つ」には、次のような意味があります。

いつまでも恨みに思って忘れない。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「根に持つ」

「根」は、植物の根をイメージすると分かりやすいのではないでしょうか。植物は茎や葉が枯れたとしても、根がしっかりしていれば再生していくものです。すなわち、根を排除しないことには、雑草もすぐに生えてくると考えてよいでしょう。それは、恨みも同じですよね。「根に持つ」の「根」は、「物事の起こるもと」や「心の底」だと考えてみてください。「持つ」も様々な意味がありますが、「心に抱いていること」と捉えるとよいでしょう。

「根に持つ」は、相手がしてきた過去の仕打ちに対する不満が消えない、もしくは相手を憎いという感情がずっと消えない場合によく用いられます。だからこそ、ある出来事を未だに根に持っているということは、本人はよほど嫌な思いをしたということになりますね。

「根に持つ」の使い方・例文

「根に持つ」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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