3分で簡単「誘導電流」仕組みは?何に利用されてる?理系学生ライターがわかりやすく解説
誘導電流とは、電気と磁気の相互作用によって生じる現象の1つです。電気と磁気は、全く別物のように思える。ですが、両者とも似た性質をもち、互いに影響を与えることが知られているぞ。このような理由から、電磁気学のように電気と磁気を統合して扱う学問も存在する。ぜひ、この機会に電磁気学の基本の1つである誘導電流について学んでみてくれ。
中学時代に独学で第二種電気工事士免状を取得した理系学生ライターの通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。
ライター/通りすがりのペンギン船長
小学生のころ、電子工作にドハマリし、中学時代には独学で第二種電気工事士免状を取得した。電気について独学する機会が多かったこともあり、電気の学習がいかに難しいかということもよく理解している。
電気と磁気の関係
電気と磁気は全く別のもので、お互い関係のないように思われます。ですが、本当にそうでしょうか?実は、両者には似ている部分があるのです。電気には、正の電荷と負の電荷が存在します。そして、正の電荷同士および負の電荷同士は反発し、正の電荷と負の電荷は引き合いますよ。下敷きを布でこすって、髪の毛に近づけると、髪の毛が下敷きにくっつくという実験をしたことがあるでしょうか?髪の毛と下敷きがくっつくという現象は、電気的な引き合う力によるものです。
では、磁気についても考えてみましょう。磁石には、N極とS極があり、同じ極同士は反発し、異なる極同士は引き合いますよね。また、電気と磁気は似た特徴を持つだけでなく、相互作用をもたらすことが知られています。このような事情から、物理学には電磁気学という電気と磁気を統合的に扱う学問分野がありますよ。少し難しい話にはなりますが、電磁気学にはマクスウェル方程式という電気に関する現象と磁気に関する現象を数学的に結びつける式が登場します。この式は、電気と磁気は本質的に同じものだということを主張していますよ。
この記事では、電気と磁気の相互作用の1つである誘導電流について、詳しく説明します。そして、誘導電流が生じるという現象を利用して誕生した技術についても解説していきますね。
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磁場の変化は電流を生む(レンツの法則)
ここからは、誘導電流について説明を進めていきますね。それでは、誘導電流を理解するために、ある実験をご紹介します。電線をらせん状に巻いたコイルと呼ばれるものに、棒磁石を近づけたり、遠ざけたりするという実験です。このとき、コイルの両端子につないだ電流計の針は小さく振れます。つまり、コイルに磁石を近づけたり、遠ざけたりすると電流が流れるのですね。これが、まさに誘導電流なのです。
また、誘導電流の向きは、磁石の極性の違いや近づけるのか遠ざけるのかで異なってきます。実は、誘導電流の向きには法則性があるのです。この法則性を示したのが、レンツの法則ですよ。レンツの法則によると、コイルに外から加えられた磁界の変化を打ち消すような方向に誘導電流が発生するとされています。このとき、磁力線の正の向きをN極からS極を見る方向とし、コイルに磁界が発生する向きは右ねじの法則にしたがうものとして考えてみましょう。
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