今回は「口頭試問」という言葉について見ていきます。資格試験や就職活動の案内で「口頭試問」という言葉を初めて見た人もいるんじゃないですか。「面接」と何が違うんだと思った人もいるかもしれませんね。「口頭試問」はずばり「口頭で行う試験」です。書いてあることそのままです。

今回はその「口頭試問」について、意味や使われる場面などを、大学院卒の日本語教師の筆者が解説していきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で2年間働き、日本で大学院修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

「口頭試問」の意味は?

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「口頭試問」という言葉は、学校生活や資格試験、就職活動で目にしたことがあるかもしれません。そして意味も何となくは分かっているでしょう。ただ、念のためにもう一度国語辞典を参照しつつ「口頭試問」の意味を確認していきましょう、

試験官の質問に対し、口頭で答えさせる試験。口述試験。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「こうとう‐しもん【口頭試問】」

“口頭”で行う“試験”

口頭試問」の意味は、ずばり簡潔に言えば「口頭で行う試験」でしょう。試験官や面接官の口頭での質問に対し、文書に書いて答えるのではなく、自分の口で答えるタイプの試験です。入学試験や資格試験、就職活動の採用試験の一環として行われることが多いですね。

「口頭試問」はどんな場面で行われる?

では、「口頭試問」はどんな場面で行われ、それはどのような内容なのでしょうか。場面によって若干試験の内容が変わってきます。場面ごとに例文と一緒に確認していきましょう。

入学試験・入社試験

まずは入学試験や入社試験で行われる「口頭試問」について見ていきましょう。例文は次の通りです。

\次のページで「資格試験」を解説!/

1.(入社試験の案内)9:00~10:00までが筆記試験、11:00~11:30が口頭試問となります。
2.口頭試問の会場はこの教室ではなく、205号室となります。自分の受験番号が呼ばれたら中に入ってください。

入学試験や入社試験で行われる口頭試問は、”試験官が口頭で出す特にテーマの定まっていない質問に対し、受験者が口頭で答える”タイプの試験で、いわゆる「面接試験(面接)」と同じ意味です。もちろん学校や会社、会社で行う業務に関する質問もありますが、それ以外の質問も多く行われます。入学試験や入社試験の案内に「口頭試問」と書かれていた場合、まず「面接試験」と考えて問題はないでしょう。

ただ、入試験で何かの資格が必要な職業や、何かの専門職である場合は、”試験官がある特定のテーマや分野について質問し、受験者が口頭で答えるタイプの試験”となる場合もあります。

資格試験

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次に、資格試験で行われる「口頭試問」について見ていきましょう。例文は次の通りです。

1.10時から口頭試問です。参考書やメモの持ち込みは不可能ですので、お気を付けください。
2.筆記試験は良くできたけど、口頭試問でちゃんと答えられなかった。

資格試験で行われる口頭試問は、”試験官が資格に関する特定のテーマや分野について質問し、受験者が口頭で答えるタイプの試験”となる場合が多いです。入学試験や入社試験と同じように、資格に関係のない不特定のテーマから質問されることもありますが、中心となるのは資格関連の質問ですね。また、口頭試問の前に筆記試験がある場合、筆記試験で答えた内容やその理由について聞かれることもあります

卒業論文・修士論文・博士論文の提出後

そして3つ目は、大学や大学院などの卒業論文・修士論文・博士論文の提出後に行われる口頭試問です。例文を見ていきましょう。

1.論文がしっかり書けていても、口頭試問でちゃんと答えられなかったら不合格になることもあるらしい。
2.口頭試問でうまく答えられなくても、論文がちゃんと書けていれば大丈夫だと聞いたよ。

大学や大学院で卒業論文・修士論文・博士論文を提出すると、多くの場合で口頭試問が行われます。この口頭試問は、”論文に書かれた内容について、不明点やより詳細に説明してほしい点を先生たちが口頭で質問し、学生がその場で口頭で答える”試験です。論文を提出しても、この口頭試問に合格しない限りは卒業・修了できません。ちなみに、卒業論文・修士論文・博士論文と徐々に論文に求められるクオリティが高くなっていきますが、それに比例して口頭試問も難しく厳しくなっていくのが一般的です。

「口頭試問」の類義語は?

ここでは「口頭試問」の類義語と、その比較を行っていきます。「口頭試問」の類義語は「面接試験」と「口述試験」です。どちらの言葉も聞いたことがある人が多いのではないでしょうか。

「面接試験」受験者と会って行う試験

面接試験」は「応募者や対象者と会って試問を行う試験」という意味です。単に「面接」という場合も多いですね。入学試験や入社試験では、「口頭試問」よりも「面接試験」と書かれていることが一般的です。両者にほとんど違いはありませんが、「面接試験」の場合、1度の試験を行う際の受験者が複数の場合があります。「口頭試問」では、基本的に受験者は1人です。

ただ、卒業論文・修士論文・博士論文提出後の”論文に書かれた内容について、不明点やより詳細に説明してほしい点を先生たちが口頭で質問し、学生がその場で口頭で答える”試験では、「面接」は使われず「口頭試問」を使用します。

「口述試験」口頭で出題・口頭で解答

口述試験」は「試験官が口頭で出題し、受験者が口頭で回答する試験」です。意味やニュアンスは「口頭試問」とほぼ変わりません。ただ、卒業論文・修士論文・博士論文提出後に行われる”論文に書かれた内容について、不明点やより詳細に説明してほしい点を先生たちが口頭で質問し、学生がその場で口頭で答える”試験では、「面接」は使われず「口頭試問」を使用します。

「口頭試問」の英訳は?

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最後に、「口頭試問」の英語表現を確認しましょう。「口頭試問」の英語表現は、「oral examination」と「dissertation defense」の2つがあります。2つ目の「dissertation defense」は使用場面が限られるので注意が必要です。

「oral examination」

oral examination」は「口頭で行う試験」という意味の英語表現です。口頭で行われる試験全般についてこの表現は使用できます。例文を確認してみましょう。

\次のページで「「dissertation defense」」を解説!/

1.He had an oral examination in English. 彼は英語の口頭試問を受けた。
2.Examinees should arrive at the waiting room 10 minutes prior to the beginning of the oral examination. 受験者は口頭試問開始10分前までに控室に集合してください。

「dissertation defense」

dissertation defense」は、大学や大学院の卒業論文・修士論文・博士論文の提出後に行われる「口頭試問」のことを指します。また、「dissertation defense」では、試験官の質問に学生が口頭で答える「口頭試問」だけでなく、"論文の内容をプレゼンテーションすること"も意味に含まれますね。例文を見てみましょう。

1.I'm preparing for tomorrow's dissertation defense. 明日の口頭試問に向け準備を進めている。
2.My dissertation defense is the day after tomorrow. 口頭試問は明後日だ。

「口頭試問」は口頭で行われる準備が大切な試験

今回は「口頭試問」について解説しました。「口頭試問」は主に入学試験・入社試験、資格試験、卒業論文・修士論文・博士論文の提出後に行われる試験で、試験によって同じ「口頭試問」という言い方でも内容が少しずつ異なります。ただ、どの「口頭試問」にも共通して言えるのは、準備がとても大切だということ。しっかり準備していないと、筆記試験などの成績が良くても、「口頭試問」で落とされてしまいます。

「口頭試問」が今後控えている方、しっかり準備をして臨みましょう!

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国語言葉の意味

「口頭試問」って何?面接と何が違うの?意味や類義語・英訳を院卒日本語教師がわかりやすく解説

今回は「口頭試問」という言葉について見ていきます。資格試験や就職活動の案内で「口頭試問」という言葉を初めて見た人もいるんじゃないですか。「面接」と何が違うんだと思った人もいるかもしれませんね。「口頭試問」はずばり「口頭で行う試験」です。書いてあることそのままです。

今回はその「口頭試問」について、意味や使われる場面などを、大学院卒の日本語教師の筆者が解説していきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で2年間働き、日本で大学院修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

「口頭試問」の意味は?

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「口頭試問」という言葉は、学校生活や資格試験、就職活動で目にしたことがあるかもしれません。そして意味も何となくは分かっているでしょう。ただ、念のためにもう一度国語辞典を参照しつつ「口頭試問」の意味を確認していきましょう、

試験官の質問に対し、口頭で答えさせる試験。口述試験。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「こうとう‐しもん【口頭試問】」

“口頭”で行う“試験”

口頭試問」の意味は、ずばり簡潔に言えば「口頭で行う試験」でしょう。試験官や面接官の口頭での質問に対し、文書に書いて答えるのではなく、自分の口で答えるタイプの試験です。入学試験や資格試験、就職活動の採用試験の一環として行われることが多いですね。

「口頭試問」はどんな場面で行われる?

では、「口頭試問」はどんな場面で行われ、それはどのような内容なのでしょうか。場面によって若干試験の内容が変わってきます。場面ごとに例文と一緒に確認していきましょう。

入学試験・入社試験

まずは入学試験や入社試験で行われる「口頭試問」について見ていきましょう。例文は次の通りです。

\次のページで「資格試験」を解説!/

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