この記事では「目茶苦茶」について解説する。

端的に言えば目茶苦茶の意味は「無秩序で混乱した様子」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元塾講師で、解説のわかりやすさに定評のあるgekcoを呼んです。一緒に「目茶苦茶」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/gekco

本業では出版物の校正も手がけ、一般教養に強い。豊富な知識と分かりやすい解説で好評を博している。

「目茶苦茶」の意味や語源・使い方まとめ

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目茶苦茶は「めちゃくちゃ」と読みます。それでは、さっそく「目茶苦茶」の意味や由来、使い方についてみていきましょう。

「目茶苦茶」の意味は?

目茶苦茶には、次のような意味があります。

尋常ではなく混乱した様子、普通でない様子などを意味する表現。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「目茶苦茶」

いわゆる、ひらがな表記の「めちゃくちゃ」で、「めちゃめちゃ」とも同じ意味です。漢字表記はひらがなの音に漢字を当てただけなので、特に意味はありません。後述しますが、「無茶苦茶」の音が変わった言葉だと考えられており、「目茶」や「苦茶」そのものに語句や単語としての日本語の意味はありません。

「目茶苦茶」の由来は?

目茶苦茶は「滅茶苦茶」とも書き、もともとは「無茶苦茶」、つまり「むちゃくちゃ」の音が転じた言葉のようです。いずれにしても正確な由来ははっきりしませんが、無茶苦茶の「無茶」は、仏教用語である「無作(むさ)」からきているといわれています。本来、無作とは繕わず、ありのまま自然な姿、という意味です。その意味が少しずつ拡大解釈され、「無造作」と同じような意味で扱われるようになりました。無造作は「たやすいこと。念入りでないこと」という意味ですが、ニュアンスとしてはむしろ「雑に扱うこと」という意味合いが強い言葉です。そこに、無茶の意味を強調する音として「苦茶」を足して完成したのが「無茶苦茶」、その音が変わって漢字を当てたのが、今回の記事で解説している「目茶苦茶」、という説が有力となっています。

\次のページで「「目茶苦茶」の使い方・例文」を解説!/

「目茶苦茶」の使い方・例文

漢字でもひらがなでも、目茶苦茶の意味は同じです。例文で確認してみましょう。

・数年来ない間に、部屋の中は目茶苦茶になっていた。

・その上司は忙しくなると、部下に目茶苦茶な指示を出して困らせる。

・経済破綻した国では、市場の価格帯が目茶苦茶だった。

・その作文は前後関係が目茶苦茶だ。

無秩序に混乱した様子を表現する言葉なので、「どこが」混乱しているか、「何が」混乱しているかを問わず使うことができます。些細な人間関係など細かなことにも使えるし、国や歴史など大きな物事に対しても使うことのできる表現です。

「目茶苦茶」の類義語は?違いは?

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とにかく混乱して筋道や道理が通らない状況を示しているのが目茶苦茶です。それでは、目茶苦茶の類義語をみていきましょう。なお、滅茶苦茶、無茶苦茶は漢字や読みが違うだけのまったく同じ言葉なので、ここでは除外します。

「荒唐無稽」

荒唐無稽は「こうとうむけい」と読みます。言動に根拠がなく、現実味がないという意味の熟語です。あまり別々に使われる場面はありませんが、「荒唐」と「無稽」という2つの熟語が組み合わさってできた四字熟語で、その由来はどちらも中国の書物にあります。

まさに「言っていることが目茶苦茶」な状態を示す熟語といえるでしょう。ただし、荒唐無稽は「誰かが話した内容」「誰かが述べた意見」などに対して使われる熟語で、状況を示す言葉ではないところに注意が必要です。「彼の言うことは荒唐無稽だ」なら正しい使い方ですが、「彼は荒唐無稽な人間だ」では間違いなので、注意しましょう。

\次のページで「「事実無根」」を解説!/

「事実無根」

事実無根は「じじつむこん」と読みます。根拠となる事実がまったくないでたらめである、という意味の熟語です。使われている漢字にもその意味がよく表れており、「根」拠となる「事実」が「無」いので「事実無根」、と覚えるといいでしょう。

荒唐無稽と同じく、不特定多数を含む誰かの主義や主張、意見などに対して用いられます。「私に向けられた疑惑はすべて事実無根だ」といったように、相手の意見を否定したいときによく使われる熟語です。

「支離滅裂」

支離滅裂は「しりめつれつ」と読みます。物事に筋道がつけられておらず一貫性がない状態や、全体がバラバラである状態を意味する言葉です。もっとも「目茶苦茶」に近い意味の言葉といえるでしょう。

支離滅裂は「支離」と「滅裂」の2つの熟語が組み合わさってできており、どちらもバラバラで一貫性がないことを意味しています。つまり、似たような意味の熟語を重ねて意味を強調しているのです。先に紹介した通り、「目茶苦茶」の「苦茶」も強調のためにつけられたものですので、そういった点でもよく似た熟語だといえます。

強いていえば、目茶苦茶よりも若干、フォーマルで固い印象のある言葉なので、そういった使い分けをするといいでしょう。「彼の言うことは目茶苦茶だ」と「彼の言うことは支離滅裂だ」ではほとんど同じ意味ですが、2つ目のほうが、読み手に対してややきちんとした印象を与えることができます。

「目茶苦茶」の対義語は?

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目茶苦茶の対義語は、大雑把にいえば「整っている」「きちんとしている」「整然としている」といった意味の言葉となります。どんな言葉があるか、みていきましょう。

「理路整然」

理路整然は「りろせいぜん」と読みます。「話の筋道がつけられている」「しっかりと順序だてられている」という意味の熟語です。まさに目茶苦茶の対極にある言葉といえます。

「理路」と「整然」の2つの熟語からできている熟語です。「理路」は物事を行うときの筋道を、「整然」は秩序正しく整理されている状態を意味します。筋道がきちんと整理されているので理路整然です。「彼の説明は理路整然としている」といった使い方をします。多くの場合は主義や主張、意見などに使われ、状況そのものに対してはあまり使われないので注意しましょう。

「順理成章」

順理成章は「じゅんりせいしょう」と読みます。あまり一般的ではなく、文章や会話で使われる機会の少ない熟語かもしれません。日本語としても意味は通じるのですが、中国語の慣用句なのであまり日本語として使われることがない言葉です。「順理」は理論的に考え、合理的な行動をとること「成章」は物事の筋道がきちんと成立することを意味します。つまり、物事はきちんと筋道に沿って事を運べば自然と順調に進む、という意味の言葉です。「イレギュラーな事態に戸惑うかもしれないが、状況をひとつずつ整理していこう。順理成章だよ。」といった使い方をします。こちらも、理路整然と同じく目茶苦茶とは真逆の言葉といえるでしょう。

ただし、順理成章は本来は慣用句なので、それ自体が自立した意味をもつ言葉です。「理路整然とした意見」は正しい使い方ですが、「順理成章とした意見」のような使い方はできないので注意しましょう。ことわざのようなものですね。

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「目茶苦茶」を使いこなそう

今回の記事では、目茶苦茶について意味や使い方、類義語や対義語を説明しました。ひらがな表記で「めちゃくちゃ」、カタカナ表記で「メチャクチャ」とも表される、かなり一般的な言葉です。今更その意味について解説するまでもないかもしれませんが、よく知っている言葉だからこそ、それを基準にして類義語や対義語を覚えるとわかりやすくなるでしょう。類義語の「支離滅裂」や「荒唐無稽」、対義語の「理路整然」や「順理成章」は、いずれも「目茶苦茶」よりもきちんとした印象を与える表現です。パッと浮かんだ言葉が「目茶苦茶」だけど、違った表現がしたい、というときに参考にできるよう、覚えておくといいでしょう。

また、「目茶苦茶」で使われている漢字自体は当て字で特に意味を成さないことも解説しました。今回の記事では特に触れませんでしたが、「亜米利加(アメリカ)」や「仏蘭西(フランス)」など、特に国名などで当て字はよく使われます。どの音を表現するのにどんな漢字を使っているのか調べてみるのも楽しいかもしれません。

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【四字熟語】「目茶苦茶」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「目茶苦茶」について解説する。

端的に言えば目茶苦茶の意味は「無秩序で混乱した様子」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元塾講師で、解説のわかりやすさに定評のあるgekcoを呼んです。一緒に「目茶苦茶」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/gekco

本業では出版物の校正も手がけ、一般教養に強い。豊富な知識と分かりやすい解説で好評を博している。

「目茶苦茶」の意味や語源・使い方まとめ

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目茶苦茶は「めちゃくちゃ」と読みます。それでは、さっそく「目茶苦茶」の意味や由来、使い方についてみていきましょう。

「目茶苦茶」の意味は?

目茶苦茶には、次のような意味があります。

尋常ではなく混乱した様子、普通でない様子などを意味する表現。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「目茶苦茶」

いわゆる、ひらがな表記の「めちゃくちゃ」で、「めちゃめちゃ」とも同じ意味です。漢字表記はひらがなの音に漢字を当てただけなので、特に意味はありません。後述しますが、「無茶苦茶」の音が変わった言葉だと考えられており、「目茶」や「苦茶」そのものに語句や単語としての日本語の意味はありません。

「目茶苦茶」の由来は?

目茶苦茶は「滅茶苦茶」とも書き、もともとは「無茶苦茶」、つまり「むちゃくちゃ」の音が転じた言葉のようです。いずれにしても正確な由来ははっきりしませんが、無茶苦茶の「無茶」は、仏教用語である「無作(むさ)」からきているといわれています。本来、無作とは繕わず、ありのまま自然な姿、という意味です。その意味が少しずつ拡大解釈され、「無造作」と同じような意味で扱われるようになりました。無造作は「たやすいこと。念入りでないこと」という意味ですが、ニュアンスとしてはむしろ「雑に扱うこと」という意味合いが強い言葉です。そこに、無茶の意味を強調する音として「苦茶」を足して完成したのが「無茶苦茶」、その音が変わって漢字を当てたのが、今回の記事で解説している「目茶苦茶」、という説が有力となっています。

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