
「ゆとり教育」の実施により生徒の進路がどのように変化したのか、日本経済に与えた影響などを現代社会に詳しいライターひこすけと一緒に解説していきます。
- 「ゆとり教育」とは?
- 文部科学省の主導で行われた教育改革
- 子供の社会問題や学力低下が背景
- 「ゆとり教育」による活動内容の変化
- 詰め込み教育から生きる力を育む教育へ
- 小学校から完全週5日制を導入
- 「ゆとり教育」が重視した生きる力とは?
- 自分で考え、行動する力のこと
- 健康や体力も重視される
- 「ゆとり教育」により導入された新しい授業
- 総合的な学習の時間
- 進路指導を充実させる傾向も
- 「ゆとり教育」に対する評価は分かれる
- 学力が本当に低下したのかは定かではない
- ベンチャー起業家やクリエイターの排出を促した一面も
- 「ゆとり教育」が受験に与えた影響
- ゆとり教育により教育産業が活発化
- 経済格差が受験に影響を与える一面も
- 「ゆとり教育」の是非の論争はまだ継続中
この記事の目次

ライター/ひこすけ
文化系の授業を担当していた元大学教員。専門はアメリカ史・文化史。高校生のときに「ゆとり教育」という言葉が聞こえ始めてきた世代。学校では徐々にイベントに費やす時間が削減され始めていた。そんな「ゆとり教育」に関連する情報や議論の内容をまとめてみた。
文部科学省の主導で行われた教育改革
ゆとり教育は、子供のゆとりがない生活を問題視した現場の声を受けて、文部科学省が中心となって進められました。いちばんの改革は学校における授業時間の削減です。
とくに膨大な量の知識を詰め込む教育を批判する声が改革を後押ししました。しかし、学力が低下することを危惧する声も根強く、議論が同時進行で行われます。
子供の社会問題や学力低下が背景
詰め込み教育が批判された理由のひとつが小学校からの落ちこぼれの出現です。落ちこぼれた子どもは、いじめにあう、不登校になる、不良になるなど、マイナスの影響がありました。
また、PISAと呼ばれる国際学力調査の結果、日本の学生の学力ランクが低下していることが発覚。それも詰め込み教育が原因であると考えられました。
PISAとは国際的な学習到達度調査のことで、OECD(経済協力開発機構)加盟国により実施されています。日本は2000年より参加。読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3つの分野の習熟度を調査するのですが、思考力や応用力を図るために自由記述が多いという特徴があります。日本の子どもは、自由記述に慣れてしなかったこともあり、いい結果が出ませんでした。そこで、学習内容のあり方を大幅に見直すことになりました。
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