平成現代社会

5分でわかる「ゆとり教育」どういう教育だった?何を重視した?論争やその後の影響を元大学教員が解説

よぉ、桜木建二だ。「ゆとり教育」とは、学習指導要領の改訂により必修科目の単位数を減らして休みを増やし、子どもがゆとりある生活をすることを目指す改革。知識暗記中心の授業を見直して体験型学習を導入したことも特徴だ。学習時間の減少により学力が低下した、進路の幅が広がったなど、現在も評価が分かれている。

「ゆとり教育」の実施により生徒の進路がどのように変化したのか、日本経済に与えた影響などを現代社会に詳しいライターひこすけと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

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ライター/ひこすけ

文化系の授業を担当していた元大学教員。専門はアメリカ史・文化史。高校生のときに「ゆとり教育」という言葉が聞こえ始めてきた世代。学校では徐々にイベントに費やす時間が削減され始めていた。そんな「ゆとり教育」に関連する情報や議論の内容をまとめてみた。

「ゆとり教育」とは?

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ゆとり教育とは、小学校、中学校、高等学校にて授業時間を減らし、生きる力を育む工夫を取り入れた教育のこと。1980年代から始まった教育方針と言われています。

文部科学省の主導で行われた教育改革

ゆとり教育は、子供のゆとりがない生活を問題視した現場の声を受けて、文部科学省が中心となって進められました。いちばんの改革は学校における授業時間の削減です。

とくに膨大な量の知識を詰め込む教育を批判する声が改革を後押ししました。しかし、学力が低下することを危惧する声も根強く、議論が同時進行で行われます。

子供の社会問題や学力低下が背景

詰め込み教育が批判された理由のひとつが小学校からの落ちこぼれの出現です。落ちこぼれた子どもは、いじめにあう、不登校になる、不良になるなど、マイナスの影響がありました。

また、PISAと呼ばれる国際学力調査の結果、日本の学生の学力ランクが低下していることが発覚。それも詰め込み教育が原因であると考えられました。

PISAとは国際的な学習到達度調査のことで、OECD(経済協力開発機構)加盟国により実施されています。日本は2000年より参加。読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3つの分野の習熟度を調査するのですが、思考力や応用力を図るために自由記述が多いという特徴があります。日本の子どもは、自由記述に慣れてしなかったこともあり、いい結果が出ませんでした。そこで、学習内容のあり方を大幅に見直すことになりました。

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ゆとり教育という言葉は文部科学省は使っていない。起源はよく分からないがマスコミが使い始めたと言われている。当時、基本的にいい意味では使われていなかった。

「ゆとり教育」による活動内容の変化

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授業時間が大幅に削減される代わりに、学校では新しいタイプの活動が取り入れられるようになります。教育活動の雰囲気は大きく変わりました。

詰め込み教育から生きる力を育む教育へ

ゆとり教育が目指したのは、生きる力を育むこと。生きる力とは学力とは異なるもので、激しく変化する社会を生き抜ける、人間としての能力を指します。

生きる力という考え方が初めて公式の場で使われたのは1996年。文部科学省のなかにある中央教育審議会の答申のなかでした。

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