
3分で簡単「薬害」どんな問題がある?社会問題の1つを元塾講師がわかりやすく解説
薬害は医薬品やその他の製品による被害が社会現象になったものなんです。他人事ではないぞ。
今回は薬害の実態について化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi
理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。
1.誰もが被害者になりうる薬害

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まずは薬害(やくがい)について知ることから始めましょう。医薬品は非常に身近な存在であり、困ったときに頼りになるものでもあります。そんなもののせいで逆に健康を害してしまう場合があるのです。もちろん薬害を怖がりすぎてはいけません。正しい知識を身につけることが大切ですよ。
1-1.薬について
「薬」は病気を治したり症状を軽くしたりするために使用するものですよね。しかし、どんなものでも過剰な摂取や用法を守らない使用においては害になる場合があります。毒性のある医薬品は毒薬や劇薬と呼ばれるものもあるでしょう。また、研究が進んでいくうえで副作用の危険性が明らかになるものがあります。このように、身体の直接取り込んで作用する薬というものは、慎重に選ぶ必要があるでしょう。
(1) 明らかな投薬ミスや医療ミスを除き、医薬品の使用による有害事象であること。
(2) 問題が社会現象規模まで拡大したもの。
(3) 医療行政の対応の遅れにより拡大した事象であること。
もう少しわかりやすく言い換えてみると、「医薬品による副作用の危険性が予見できなかったり過小評価されていたことで危険性が見過ごされていたことにより、多くの人に被害が出てしまった事件」のことです。「医療行政が事前の検査をもっとやっていれば、被害者が出た段階で過失を認めて対応をとっていれば被害がこれほどまで広がらなかったのに。」という事例に使われることが多くあります。では具体的な事例を見ていきましょう。
2.日本における薬害事件
テレビのニュースや弁護士事務所のCMで薬害について耳にしたことのある人もいるでしょう。日本で作られたり販売されている医薬品なら全てが安心だというわけではありません。また、医学は進歩しているから100%大丈夫とは言えないのが現状です。では、実際に日本における薬害の事例について見ていきましょう。
2-1.サリドマイド

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世界的に有名なのがサリドマイド薬害事件です。睡眠薬や神経性胃炎、妊娠中の女性のつわりの治療薬としても用いられました。現在販売されている薬には「妊婦や授乳中の女性は服用禁止」という記載があるものが多く見られますよね。しかし当時この薬にはその注意喚起がありませんでした。そのために妊婦が服用し、胎児に奇形などの先天異常が見られたり、胎児が死亡してしまったりするケースが相次いで報告されたのです。当時出回っていた薬はすべて回収されることで事態は収束しました。しかしサリドマイドは様々な疾患への効果が期待されている薬品です。そのため現在では条件付きでサリドマイドの製造販売が再承認されています。サリドマイドに限らず、妊娠中の女性や妊娠の可能性がある女性は、どんな薬でも服用する前に服用可能かどうかを調べることが大切ですね。
2-2.薬害エイズ事件
これも有名な事件なので聞いたことがある人もいるでしょう。これは血友病という血液の凝固異常を起こす病気の治療に用いられる製剤による被害です。これがHIVウイルスで汚染されているという指摘があったにもかかわらず使用が続けられ、結果的に日本の血友病患者の約4割、1800人にものぼるエイズ患者を生むことになってしまいました。さらにエイズが発症するまでには潜伏期間があることから、報告が遅れてしまったという見方もできるでしょう。エイズ発症によって多数の死者も出ています。
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