この記事では「見て見ぬ振り」について解説する。

端的に言えば見て見ぬ振りの意味は「見ていた事を見ていなかったように振る舞う」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

中高生に英語や数学など、指導経験豊富なライター要を呼んです。一緒に「見て見ぬ振り」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/要

塾講師を5年していた経験がある。留学経験があり、学生時代は留学生と英語でコミュニケーションを取っていた。日本語とは違った英語の感覚をわかりやすく伝える。

「見て見ぬ振り」の意味や語源・使い方まとめ

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「見て見ぬ振り」という言葉は、普段耳にする機会が多い言葉ですね。

今回は、「見て見ぬ振り」の正しい意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「見て見ぬ振り」の意味は?

「見て見ぬ振り」には、次のような意味があります。

1.実際には見ていたのだが、見ていなかったように振る舞う。
2.また、とがめないで見逃す。

出典:goo辞典「見て見ぬ振り」

「見て見ぬ振り(みてみぬふり)」とは、本当は見ていたことを見ていなかったように振る舞うという意味があります。「見て見ぬ振り」という言葉の最も知られている意味ですね。

しかし、「見て見ぬ振り」には、2つ目の『とがめずに見逃す』という意味もあります。見ていた失敗やミスを見なかったことにして、責めないという事です。ミスや失敗にも、正当な理由がある場合もありますね。そういった場合には、ミスや失敗を指摘して責めず、見逃すこともあります。誰かを責めず、見逃した際に当てはまる表現です。

『見逃す』というニュアンスもあり、見ていた事を見ていなかった事にするという意味だけではありません。注意してくださいね。

「見て見ぬ振り」の使い方・例文

「見て見ぬ振り」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.いじめられている友達を、見て見ぬ振りをしてしまった。
2.倒れている人を見て見ぬ振りは出来ないので、駆け寄って手当をしました。
3.後輩のミスを上司は見て見ぬ振りをしたようだ。

1つ目の例文は、友達がいじめられているとわかっていたのに、見ないフリをしたという状況です。見ていた事を見ていなかったように振る舞うという意味を表していますね。

2つ目の例文は、「見て見ぬ振り出来ない」という表現で使われています。『見たことを見ていなかったように振る舞う事は出来ない』という状況にも、活用出来ますよ。倒れていた人を見ていたのに、見ていなかったように振る舞えず、すぐに駆け寄り手当をした状況を示しています。

3つ目の例文は、「ミスを咎めずに見逃す」という意味で使われていますね。上司は後輩のミスを知っていたが、とがめることなく見逃したという状況です。後輩のミスに正当な理由があった場合には、わざわざ咎める必要もないと考える上司もいるでしょう。

「見て見ぬ振り」という表現は、見たけれど見ていないように振る舞った内容とともに使う場合が多いです。理由がない限り、見て見ぬ振りするのはやめた方が良いかもしれませんね。

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「見て見ぬ振り」の類義語は?違いは?

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「見て見ぬ振り」の類義語には、以下のようなものがあります。

見ていた事を見ていなかったように振る舞うという意味

1.黙認(もくにん)
2.放置(ほうち)
3.看過(かんか)
4.知らんぷり(しらんぷり)
5.素知らぬ顔(そしらぬかお)
6.知らぬ存ぜぬ(しらぬぞんぜぬ)
7.等閑視する(とうかんしする)

ミスを咎めないという意味を含むもの

1.見逃す(みのがす)
2.大目に見る(おおめにみる)

「見ていた事を見ていなかったように振る舞う」という意味の言葉は、7つあります。そして、「ミスを咎めない」という意味を含むものは、2つです。

また、それぞれの言葉は同じような意味を持っていても、ニュアンスの違いがあります。正しい意味や違いをおさえておくことが大切です。

今回は、「等閑視する」と「大目に見る」について見ていきましょう。

「看過」

「看過」は、『見過ごす・見逃してしまう』という意味です。トラブルやミスを対応せずに見逃したり、咎めずに大目に見るという場合に当てはまります。基本的には、見過ごさない方が良い事を放置してしまうというマイナスな意味で使われますよ。

看過は、「看」と「過」の2つの漢字で成り立っています。看には『注意してみる』、過には『通過してしまう』『時が経つ』という意味です。それぞれの意味を組み合わせるを、「みながら通過してしまう」という意味になりますね。「見て見ぬ振り」とほとんど同じ意味を持っています。

具体的な例文をご紹介していきましょう。

1.彼の遅刻は全く直らないため、看過されています。
2.万引きがとても多く、看過できない状況である。
3.納期を守って頂けない事が多く、今回は看過できません。

1つ目の例文のように、「看過する」「看過した」と使われます。「咎めずに見逃されている」という意味ですね。

また、2つ目や3つ目の例文は、「看過できない」という表現です。「看過できません」はビジネスでも使える表現になります。

\次のページで「「大目に見る」」を解説!/

「大目に見る」

「大目に見る」は、『他人の欠点やミスを寛大に扱う』『厳しくとがめない』という意味です。「多め」や「多目」は間違いですので、漢字には注意してください。

語源は、粉をふるう”ふるいの目”です。目を大きくすることで、多くのものが通ってしましますね。このように、許容範囲を広げて、相手を責める問題を減らすという様子が語源になっています。

具体的には、以下のように使われますよ。

1.多少は大目に見るから、色々な事に挑戦しなさい。
2.初めてのミスなので、大目に見てもらえませんか。

1つ目の例文は、他人に対して使われる表現です。相手に対して用いると、思いやりや気遣いが感じられますね。

2つ目の例文は、自分に対して使ったものです。自分に使うと、ミスやトラブルの言い訳や言い逃れをしています。

基本的には「ミスを咎めない」という意味ですが、使う人によってニュアンスが少し異なることがわかりますね。

「見て見ぬ振り」の対義語は?

「見て見ぬ振り」の対義語には、以下のようなものが挙げられます。

1.摘発(てきはつ)
2.注目(ちゅうもく)
3.重視(じゅうし)
4.目を止める(めをとめる)
5.重きを置く(おもきをおく)

対義語なので、『注目する』という意味を持つ言葉になります。

今回は、「重きを置く」について見ていきましょう。

「重きを置く」

「重きを置く」は、『ある特定の事に力を注ぐ、重視する、大切にする』という意味です。大切な事や重要な事に対し、「重きを置く」と表現します。

具体的には、「彼らの気持ちを最も優先する事に重きを置いている。」などと使えますよ。

「趣(おもむき)を置く」は、間違った表現です。「趣」というのは、風情や情緒という意味を持ち、「趣がある」と使われます。読み方は似ていますが、意味や使い方が異なるので注意してください。

「見て見ぬ振り」の英訳は?

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「見て見ぬ振り」の英訳を考える際には、状況によって言い回しを変える必要があります。今回は、一般的に「見て見ぬ振り」という意味で使われる表現と、「見たくないものを見てしまった」というニュアンスで使われるものの2つをご紹介していきましょう。

\次のページで「よく使われるフレーズ」を解説!/

よく使われるフレーズ

日本における「見て見ぬ振り」と同じように、英語でよく使われるフレーズがあります。

1.pretend not to see ~.
「~を見て見ぬ振りした。」

2.turn a blind eye to ~.
「~に対して、見て見ぬ振りをする。」

3.see no monkey.
「見て見ぬ振り」(見ざるの英語バージョン)


4.To cast a blind eye.
「(何か違う事を知っていて)見て見ぬ振りをする」

日本における慣用句と同じように使われています。イディオム(熟語)の1つとして覚えてみてください。

見たくないものを見てしまったケース

見たくないものを見てしまったため、見なかった振りをしたという場合には、2つの表現があります。

1.look the other way.
「目を背けた。」

2.I wish I didn't see that.
「それを見たくない。」

見ていた事を見ていなかったように振る舞うという意味では、決まったフレーズと同じです。しかし、「見たくない」というニュアンスも含まれているため、どのような状況なのかを見極めて使う必要があります。

「見て見ぬ振り」を使いこなそう

この記事では「見て見ぬ振り」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「見て見ぬ振り」には、見ていた事を見ていなかったように振る舞うという意味だけではなく、ミスや失敗を咎めずに見逃すという意味もあります。普段何気なく使っている表現ですが、意味を理解して正しく使うための参考にしてみてください。

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国語言葉の意味

【慣用句】「見て見ぬ振り」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「見て見ぬ振り」について解説する。

端的に言えば見て見ぬ振りの意味は「見ていた事を見ていなかったように振る舞う」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

中高生に英語や数学など、指導経験豊富なライター要を呼んです。一緒に「見て見ぬ振り」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/要

塾講師を5年していた経験がある。留学経験があり、学生時代は留学生と英語でコミュニケーションを取っていた。日本語とは違った英語の感覚をわかりやすく伝える。

「見て見ぬ振り」の意味や語源・使い方まとめ

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「見て見ぬ振り」という言葉は、普段耳にする機会が多い言葉ですね。

今回は、「見て見ぬ振り」の正しい意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「見て見ぬ振り」の意味は?

「見て見ぬ振り」には、次のような意味があります。

1.実際には見ていたのだが、見ていなかったように振る舞う。
2.また、とがめないで見逃す。

出典:goo辞典「見て見ぬ振り」

「見て見ぬ振り(みてみぬふり)」とは、本当は見ていたことを見ていなかったように振る舞うという意味があります。「見て見ぬ振り」という言葉の最も知られている意味ですね。

しかし、「見て見ぬ振り」には、2つ目の『とがめずに見逃す』という意味もあります。見ていた失敗やミスを見なかったことにして、責めないという事です。ミスや失敗にも、正当な理由がある場合もありますね。そういった場合には、ミスや失敗を指摘して責めず、見逃すこともあります。誰かを責めず、見逃した際に当てはまる表現です。

『見逃す』というニュアンスもあり、見ていた事を見ていなかった事にするという意味だけではありません。注意してくださいね。

「見て見ぬ振り」の使い方・例文

「見て見ぬ振り」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.いじめられている友達を、見て見ぬ振りをしてしまった。
2.倒れている人を見て見ぬ振りは出来ないので、駆け寄って手当をしました。
3.後輩のミスを上司は見て見ぬ振りをしたようだ。

1つ目の例文は、友達がいじめられているとわかっていたのに、見ないフリをしたという状況です。見ていた事を見ていなかったように振る舞うという意味を表していますね。

2つ目の例文は、「見て見ぬ振り出来ない」という表現で使われています。『見たことを見ていなかったように振る舞う事は出来ない』という状況にも、活用出来ますよ。倒れていた人を見ていたのに、見ていなかったように振る舞えず、すぐに駆け寄り手当をした状況を示しています。

3つ目の例文は、「ミスを咎めずに見逃す」という意味で使われていますね。上司は後輩のミスを知っていたが、とがめることなく見逃したという状況です。後輩のミスに正当な理由があった場合には、わざわざ咎める必要もないと考える上司もいるでしょう。

「見て見ぬ振り」という表現は、見たけれど見ていないように振る舞った内容とともに使う場合が多いです。理由がない限り、見て見ぬ振りするのはやめた方が良いかもしれませんね。

\次のページで「「見て見ぬ振り」の類義語は?違いは?」を解説!/

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