この記事では「歯を食いしばる」について解説する。

端的に言えば歯を食いしばるの意味は「必死にこらえる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

中高生に英語や数学など、指導経験豊富なライター要を呼んです。一緒に「歯を食いしばる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/要

塾講師を5年していた経験がある。留学経験があり、学生時代は留学生と英語でコミュニケーションを取っていた。日本語とは違った英語の感覚をわかりやすく伝える。

「歯を食いしばる」の意味や語源・使い方まとめ

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「歯を食いしばる」という言葉を耳にしたことはあっても、正しい意味や使い方まで聞いたことはあまりないですよね。慣用句などは、正しい意味や使い方を理解しておく事がとても重要です。

それでは早速「歯を食いしばる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「歯を食いしばる」の意味は?

「歯を食いしばる」には、次のような意味があります。

1.悔しさ・苦痛などを歯をかみ合わせて必死にこらえる。

出典:goo辞典「歯を食いしばる」

「歯を食いしばる」は、苦痛や困難を必死にこらえている様を表しています。悔しい時や痛みを感じた時に、歯を力いっぱい嚙み合わせる場合がありますね。このような自然に歯を食いしばってしまう様子に、困難や苦痛を乗り越えるという意味が加えられたのです。苦痛や困難だけでなく、無念や悔しさ、憤りなどに対しても使われます

歯を食いしばってしまう様子がもとになっていますが、実際に使う際には歯を食いしばっていなくても活用が可能です。「歯を食いしばるくらい必死に」といったニュアンスが含まれているため、困難や苦痛に耐えるケースに当てはまります。

歯を食いしばると書くのが一般的ですが、「歯を食い縛る」としても問題ありません。どちらも正しいのですが、迷った場合にはひらがなで書くと良いでしょう。

「歯を食いしばる」の語源は?

次に「歯を食いしばる」の語源を確認しておきましょう。

痛みや困難に耐える際に歯を食いしばる様子から、使われるようになった慣用句です。その由来としては、日本の軍隊で使われていた掛け声になります。戦前から戦争中の軍隊で、「歯を食いしばれ!」という表現が使われていました

軍隊において、上の人が下の者を殴るなどの暴力が普通に行われていました。その際、殴った時に口の中が切れないよう、慈悲の心で「歯を食いしばれ!」と忠告していたとの事。

軍隊で使われていた表現が、今は日常的に使われる慣用句になったという訳ですね。

\次のページで「「歯を食いしばる」の使い方・例文」を解説!/

「歯を食いしばる」の使い方・例文

「歯を食いしばる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.親友と同じ大学に進学するため、歯を食いしばって勉強を頑張っています。
2.上司からの理不尽な説教に怒りが沸いたが、歯を食いしばり何も言いませんでした。
3.頭痛がひどかったが、歯を食いしばって仕事に行きました。

「歯を食いしばる」という表現は、痛みや困難、悔しさを我慢する際に使います。本当に歯を食いしばっていなくても、我慢する・耐えるといったシーンに当てはまるのです。

例文からわかるように、多くの場合には「耐えている対象や我慢している対象」と「耐えながら・我慢しながら行ったこと」の2点とともに用いられます。

例えば、2つ目の例文では、上司からの理不尽な説教に耐えていますね。そして、何も言わなかった事が実際に行ったことです。同様に3つ目の例文においては、頭痛に耐えて仕事に行ったという内容になっています。

1つ目の例文では、耐えている事ではなく、大学に合格するという目標を掲げていますね。そして、その目標のために勉強を頑張っている様子を伝えられます。困難や苦痛だけでなく、目標に向かって頑張る姿にも使える表現です。

「歯を食いしばる」の類義語は?違いは?

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「歯を食いしばる」の類義語には、以下のようなものがあります。

似た表現

1.我慢(がまん)
2.忍耐(にんたい)
3.耐える(たえる)
4.踏ん張る(ふんばる)
5.粘る(粘る)
6.耐え忍ぶ(たえしのぶ)
7.辛抱(しんぼう)
7.堪忍(かんにん)

\次のページで「「臥薪嘗胆」」を解説!/

慣用句・ことわざ

1.唇を噛む(くちびるをかむ)
2.涙を呑む(なみだをのむ)
3.目を瞑る(めをつぶる)
4.忍の一字(にんのいちじ)
5.風雪に耐える(ふうせつにたえる)
6.石の上にも三年(いしのうえにもさんねん)
7.韓信の股潜り(かんしんのまたくぐり)
8.堪忍は一生の宝(かんにんはいっしょうのたから)
9.ならぬ堪忍するが堪忍(ならぬかんにんするがかんにん)
10.冬来たりなば春遠からじ(ふゆきたりなばはるとおからじ)

四字熟語

1.隠忍自重(いんにんじちょう)
2.臥薪嘗胆(がしんしょうたん)

「耐える」や「我慢」するといった意味を含む表現は、とても多いです。類義語の中には、「今は我慢すれば、後に良いことがある」というニュアンスを含む表現もあります。それぞれ違いがあるので、正しい意味をしっかり覚えておく必要がありますね。

ここでは、「臥薪嘗胆」について見ていきましょう。

「臥薪嘗胆」

「臥薪嘗胆」とは、目標を達成するため自分に苦労や困難を課し、その苦労や困難に耐えるという意味です。目標を達成するために、困難や苦労に耐えるという様子を表しています。

困難や苦労に耐えるという点では、「歯を食いしばる」と同じ意味ですね。しかし、「臥薪嘗胆」には『目標を達成するため』という意味合いが含まれます。また、目標を達成するために『自分で困難や苦労を課す』場合に限定されるのです。ニュアンスが少し異なりますので、どちらに当てはまるのか考えてみるのも良いかもしれません。

語源は、中国春秋時代の紀元前5世紀頃に書かれた「十八史略」の「史記」と言われています。「十八史略」は子供向けに書かれた歴史に関する本です。この中の一説がもとになり、できた言葉になります。

具体的には、「4年にわたり臥薪嘗胆し、第一志望の大学に受かった」となりますよ。座右の銘などとしても使われる言葉です。

「歯を食いしばる」の英訳は?

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「歯を食いしばる」と意味が似ている英語表現があります。困難に直面して、それに対応しようとする際に使う表現です。

「Grit one's teeth」

「Grit one's teeth」は、「歯をきしらせる」という意味です。「grit」は、名詞では「勇気、肝っ玉、不屈の精神」などの意味がありますが、動詞で使うと「(歯などを)ぎしぎしさせる、きしらせる」という意味があります。

基本的には、「歯を食いしばる」を英語に直したような表現で、困難や苦労に耐えるというニュアンスを含んでいますよ。

同じ「grit」を使った表現で、「Grin and bear it」も似た意味で使えます。

他にも、「Clench one's teeth」も似たフレーズです。「clench」は「しっかり閉じる、食い縛る」という意味になります。そのため、日本での「歯を食いしばる」に最も似ている表現かもしれません。

\次のページで「「歯を食いしばる」を使いこなそう」を解説!/

「歯を食いしばる」を使いこなそう

この記事では「歯を食いしばる」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「歯を食いしばる」は、困難や苦労に耐える意味があります。実際に歯を食いしばっていなくても、「そのくらい必死に」というニュアンスで使えますよ。正しい意味と使い方を覚えて、日常生活でも使ってみてくださいね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「歯を食いしばる」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「歯を食いしばる」について解説する。

端的に言えば歯を食いしばるの意味は「必死にこらえる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

中高生に英語や数学など、指導経験豊富なライター要を呼んです。一緒に「歯を食いしばる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/要

塾講師を5年していた経験がある。留学経験があり、学生時代は留学生と英語でコミュニケーションを取っていた。日本語とは違った英語の感覚をわかりやすく伝える。

「歯を食いしばる」の意味や語源・使い方まとめ

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「歯を食いしばる」という言葉を耳にしたことはあっても、正しい意味や使い方まで聞いたことはあまりないですよね。慣用句などは、正しい意味や使い方を理解しておく事がとても重要です。

それでは早速「歯を食いしばる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「歯を食いしばる」の意味は?

「歯を食いしばる」には、次のような意味があります。

1.悔しさ・苦痛などを歯をかみ合わせて必死にこらえる。

出典:goo辞典「歯を食いしばる」

「歯を食いしばる」は、苦痛や困難を必死にこらえている様を表しています。悔しい時や痛みを感じた時に、歯を力いっぱい嚙み合わせる場合がありますね。このような自然に歯を食いしばってしまう様子に、困難や苦痛を乗り越えるという意味が加えられたのです。苦痛や困難だけでなく、無念や悔しさ、憤りなどに対しても使われます

歯を食いしばってしまう様子がもとになっていますが、実際に使う際には歯を食いしばっていなくても活用が可能です。「歯を食いしばるくらい必死に」といったニュアンスが含まれているため、困難や苦痛に耐えるケースに当てはまります。

歯を食いしばると書くのが一般的ですが、「歯を食い縛る」としても問題ありません。どちらも正しいのですが、迷った場合にはひらがなで書くと良いでしょう。

「歯を食いしばる」の語源は?

次に「歯を食いしばる」の語源を確認しておきましょう。

痛みや困難に耐える際に歯を食いしばる様子から、使われるようになった慣用句です。その由来としては、日本の軍隊で使われていた掛け声になります。戦前から戦争中の軍隊で、「歯を食いしばれ!」という表現が使われていました

軍隊において、上の人が下の者を殴るなどの暴力が普通に行われていました。その際、殴った時に口の中が切れないよう、慈悲の心で「歯を食いしばれ!」と忠告していたとの事。

軍隊で使われていた表現が、今は日常的に使われる慣用句になったという訳ですね。

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