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5分でわかる「金本位制」ー世界の金融体制の変遷を世界史通がわかりやすく解説

金本位制の始まり

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金本位制はイギリスから世界に広がった

金本位制を初めて正式に導入したのはイギリスです。1816年、イギリスで「貨幣法」と呼ばれる法律が制定されました。この法律で、1ポンドの価値を持つ法定貨幣として「ソブリン金貨」が規定されたのです。ソブリン金貨は翌年に製造が開始され、1821年にはソブリン金貨との兌換が可能な紙幣が発行されました。

この貨幣法のもとで、19世紀の前半からイギリスで金本位制の仕組みがスタートしたのです。その後、イングランド銀行法のもとで紙幣とソブリン金貨との関係が明確に規定されました。1844年のことです。当時、金1オンスは3ポンド17シリング10ペンスでした。

世界に先駆けて産業革命が起きたイギリスは、豊かな経済力を背景として、他国に大きな影響力を持っていました。そのため、イギリスにならって、ドイツやフランス、アメリカなどでも金本位制が取り入れられるようになります。各国が金を根拠として自国の通貨の信用力を高めようとしたのです。

20世紀の初頭には主要国のほとんどが金本位制を導入し、金を基準とした国際金融システムが成立していました。

日本の金本位制導入の経緯

日本も西洋の主要国と足並みをそろえ、明治時代、1871年に金本位制へと移行します。しかし、大きな問題がありました。金の保有量が充分ではなかったのです。また、当時の日本は国内の経済や産業が盤石ではなく、他国のように金本位制を続けると金がどんどん国外へと流出してしまうことになります。

金本位制を維持する国力がなかった日本では、結果として、金と銀を共に利用した金銀複本位制を導入する流れとなりました。実質的には、貨幣を金ではなく銀と交換する「銀本位制」だったようです。

流れが変わったのは、1895年に日清戦争で勝利してからのことでした。下関条約により多額の賠償金を得たことで、大量に金を確保できたのです。その後、1897年に貨幣法が制定され、20円、10円、5円金貨がそれぞれ規定されました。日本で名実ともに金本位制が確立したのは、この頃と言えるでしょう。金本位制の確立により、日本は本格的な近代化の道を進み始めるのです。

金本位制の二度の危機

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第一次世界大戦で金本位制は中断された

世界の主要国で採用されるようになった金本位制ですが、1914年、第一次世界大戦が開戦された影響で一時的に停止されることとなりました。他国と戦争をするためには、準備金など莫大なお金がかかります。金の保有量に縛られていると、各国は戦争を続けるための資金が捻出できません。そのため、各国が金本位制から離脱したのです。

その後、戦争が終結し、1919年にはアメリカが他国に先駆けて金本位制へと復帰しました。戦場となったヨーロッパと比べてアメリカでは戦争の影響が少なく、国が疲弊していなかったため、早くに復帰できたのです。

戦場となったヨーロッパ諸国では、金の保有量回復や国債の処理といった事柄に手間取ってしまいました。そのため、各国が金本位制に復帰したのは1920年代に入ってからとなりました。

世界恐慌が金本位制を終わらせた

主要国は第一次世界大戦後に再び金本位制に復帰しましたが、その後、世界を大混乱に陥れた世界恐慌が発生しました。金融不安が広がって景気が後退する中、各国は再び金本位制からの離脱を決めます。他国に先駆けて金本位制を廃止したのは、金本位制の先陣を切ったイギリスでした。1931年、マクドナルド内閣の時代のことです。

その後、各国が続々とイギリスに続きました。そして、1937年にフランスが金本位制から離脱し、金に兌換できる通貨が国際社会から姿を消したのです。

第一次世界大戦の勃発による金本位制の停止は一時的なものでしたが、世界恐慌をきっかけとした金本位制からの離脱はそうではありませんでした。各国はこの後、金の保有量とは関係なく通貨を発行する管理通貨制度へと移行していくのです。

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amala18