この記事では「狐疑逡巡(こぎしゅんじゅん)」という四字熟語について解説する。

端的に言えば「狐疑逡巡」の意味は「決心がつかない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「狐疑逡巡」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「狐疑逡巡」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「狐疑逡巡」の意味や使い方を見ていきましょう。この四字熟語には、いったいどのような意味・用法があるのでしょうか。

「狐疑逡巡」の意味は?

まずは、国語辞典での定義から。「狐疑逡巡」には、次のような意味があります。

疑い深く、決断をためらうこと。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「狐疑逡巡」

さて、「狐疑逡巡」がなぜ疑り深く決断できないことを表すのでしょうか。この四字熟語をもっとよく知るために、前半部と後半部の二つに分けて考えてみます。

前半部の「狐疑」にある「狐」は、猜疑心(さいぎしん)を象徴する動物です。つまり、平たくいえば狐のように疑り深いことを表現しています。

一方、後半部の「逡巡」が表すのは、決断をためらう様子です。これらを考え合わせると、狐のように猜疑心が強いがゆえになかなか決断できずにいるようすが浮かび上がってくることでしょう。

「狐疑逡巡」の使い方・例文

「狐疑逡巡」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「狐疑逡巡」の類義語は?違いは?」を解説!/

そのようにいつまでも狐疑逡巡していたって事態は何も変わらないのなら、ここで思い切って決断してしまうというのはどうだろうか。

狐疑逡巡といえば、先代の社長は非常に疑り深い性格で、そのおかげで商機をいくつも逃してしまったという過去があるという話だ。

狐疑逡巡もいいですが、必要以上に疑ったままではその他の仕事にも影響しますので、考え方を少しあらためていただけませんかね。

「狐疑逡巡」を含む文は、そのままだと言葉が難しくて意味がなかなかつかめないこともしばしばでしょう。そこで、この四字熟語をもっと簡単な言葉と置き換えてみることをおすすめします。

その置き換える言葉とは、「疑うばかりで決められない」です。こうすれば、一気にそれぞれの文の意味が取りやすくなるのではないでしょうか。

#2 「狐疑逡巡」の類義語は?違いは?

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ところで、「狐疑逡巡」と意味のよく似た表現にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、中でもよく用いられるものを二つほど見ていくことにします。

「右顧左眄」

「右顧左眄」は、難しい漢字を用いた四字熟語ですが、「うこさべん」と読んでください。この四字熟語は、周囲のことが気になって決断が鈍ってしまうという意味です。

この四字熟語を構成する「顧」も「眄」も、どちらも周囲の様子をうかがうという意味を持ちます。左右をきょろきょろ見渡すだけで行動が起こせない様子がイメージできるはずです。

「優柔不断」

「優柔不断(ゆうじゅうふだん)」もまた、「狐疑逡巡」の類義語として用いることのできるものです。こちらの四字熟語には、いつまでも態度をはっきりさせず決断しないことを意味します。

この四字熟語の前半部を占める「優柔」は、決断力に乏しいことをあらわすことばです。また、後半部の「不断」も同様に判断できないことを表します。

では、ここでこれらの類義語を用いた例文も忘れずにチェックしておきましょう。

\次のページで「「狐疑逡巡」の対義語は?」を解説!/

いつまでもサイトの評価を気にして右顧左眄して時間を浪費しているだけでは、この大きなチャンスをみすみす見逃すことになりかねませんよ。

あなたがそのように優柔不断な態度を取り続けていると、現場でサービスにあたる部下たちの士気を大きく下げてしまうおそれも考えられます。

#3 「狐疑逡巡」の対義語は?

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では、「狐疑逡巡」対義語は一体どのようにとらえればよいのでしょうか。疑り深くて決断できないでいることの反対は、意思決定の速いことでしょう。

ここでは、そのような意味合いを持った表現を二つほど紹介していきます。

「即断即決」

「即断即決(そくだんそっけつ)」は、「狐疑逡巡」の対義語の中でもよく用いられるもののひとつです。この四字熟語には、その場で判断してその場で決定することを意味します。

「即」という漢字には「すなわち」という読み方があり、「すぐに」「ただちに」という意味があるので覚えておきましょう。

「迅速果断」

「迅速果断」もまた、「狐疑逡巡」の対義語として十分に通用するものです。こちらの四字熟語には、思い切りよく速やかに判断し行動するという意味があります。

前半部の「迅速」は行動が素早いことを、後半部の「果断」は思い切りよく行動するという意味の言葉です。

健太は被災国では食料品や衣類などの物資が決定的に不足していることを知り、即断即決で日本製の商品を現地へ送る計画を実行に移した。

大きなビジネスチャンスにおいては、迅速果断に意思決定を行うことが何よりも重要であるとあれほど口を酸っぱくして説いたというのに。

#4 「狐疑逡巡」の英訳は?

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では、最後に「狐疑逡巡」の英語訳についても忘れずに押さえておきましょう。この四字熟語は、いったいどのように英語で表現するのでしょうか。

\次のページで「「in doubt and unable to decide」」を解説!/

「in doubt and unable to decide」

「in doubt and unable to decide」は、「狐疑逡巡」の表す意味を忠実に英訳したものだといえます。なぜなら、このフレーズの直訳が「疑って決断できない」だからです。

たしかに「狐」の要素は含まれていませんが、相手に伝わる内容としてはこれで十分でしょう。

「hesitation and indecision」

「hesitation and indecision」もまた、「狐疑逡巡」の英語訳として十分に通用するものです。こちらのフレーズは、「ためらいで決断できない」と訳すことができます。

ためらいの理由が「疑い」なのかどうかは不明ですが、かなり意味の近い表現だといえるのではないでしょうか。

「狐疑逡巡」を使いこなそう

この記事では「狐疑逡巡」の意味・使い方・類語などを説明しました。この四字熟語には、疑い深く決断できないという意味がありましたね。

あらゆる事象に対し疑いの目で観察しなおすという姿勢は、ときに大切なことなのでしょう。しかし、疑い深いがゆえになかなか決断できずにいるのは、少し考えものです。

要はある程度まで考えたら、それなりのタイミングで果敢に決断するということが大切なのではないでしょうか。みなさんも、この四字熟語を使う機会に恵まれたら、臆せずにどんどん使ってみてくださいね。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「狐疑逡巡」の意味や使い方は?例文や類語も含めて現役文系講師が詳しくわかりやすく解説!

この記事では「狐疑逡巡(こぎしゅんじゅん)」という四字熟語について解説する。

端的に言えば「狐疑逡巡」の意味は「決心がつかない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「狐疑逡巡」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「狐疑逡巡」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「狐疑逡巡」の意味や使い方を見ていきましょう。この四字熟語には、いったいどのような意味・用法があるのでしょうか。

「狐疑逡巡」の意味は?

まずは、国語辞典での定義から。「狐疑逡巡」には、次のような意味があります。

疑い深く、決断をためらうこと。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「狐疑逡巡」

さて、「狐疑逡巡」がなぜ疑り深く決断できないことを表すのでしょうか。この四字熟語をもっとよく知るために、前半部と後半部の二つに分けて考えてみます。

前半部の「狐疑」にある「狐」は、猜疑心(さいぎしん)を象徴する動物です。つまり、平たくいえば狐のように疑り深いことを表現しています。

一方、後半部の「逡巡」が表すのは、決断をためらう様子です。これらを考え合わせると、狐のように猜疑心が強いがゆえになかなか決断できずにいるようすが浮かび上がってくることでしょう。

「狐疑逡巡」の使い方・例文

「狐疑逡巡」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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