この記事では「盤根錯節(ばんこんさくせつ)」という四字熟語について解説する。

端的に言えば「盤根錯節」の意味は「複雑に入り組んでいること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「盤根錯節」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「盤根錯節」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「盤根錯節」の意味や使い方を見ていきましょう。この四字熟語には、いったいどのような意味・用法があるのでしょうか。

「盤根錯節」の意味は?

まずは国語辞典での定義から。「盤根錯節」には、次のような意味があります。

1.わだかまった根と入り組んだ節(ふし)。
2.入り組んでいて解決の困難な事柄。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「盤根錯節」

「盤根錯節」の前半部を占める「盤根」は、曲がりくねった根っこのことを示すことばです。一方、後半部の「錯節」は、入り組んだ木の節を意味しています。

これら二つの熟語を合わせた「盤根錯節」は木の根が曲がりくねり節が複雑に入り組んでいる様子を表すことばだと考えて差し支えありません。さらに、これが転じてさまざまな事物が複雑に入り組んで解決が難しいという意味でも用いられるようになりました。

「盤根錯節」の出典は?

次に「盤根錯節」の出典を確認しておきましょう。この四字熟語の出典は、「後漢書」という古代中国の歴史書です。

この中の「虞詡伝(ぐくでん)」という章に「盤根錯節に遇(あ)わずんば、なんぞもって利器を別(わか)たんや」というくだりが見られます。これは、事情が入り組んでいて解決の難しいことに遭遇しなければ、能力のある人物を見分けるのは難しいという意味のフレーズです。

\次のページで「「盤根錯節」の使い方・例文」を解説!/

「盤根錯節」の使い方・例文

「盤根錯節」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

我々の祖先は新政府から派遣された屯田兵として北の大地に広がる原生林の盤根錯節を切り拓き、現在ある北海道の都市や道路網の基礎を築き上げたのである。

福島県郡山市にある私有地の谷地を管理する仕事を引き受けたが、写真で見るよりも現地は盤根錯節が甚だしくどこから手を付けてよいものやら見当もつかない。

このロースカツ弁当ひとつをとってみても、その原材料から流通、調理から販売にいたるまで全体像は盤根錯節としていて把握するのは容易ではないだろうね。

盤根錯節といえば、おすすめコラムにあった教育関連の資格を取得しようと頑張ったが、覚えるべき法令が複雑すぎて途中であきらめるはめになってしまったよ。

「盤根錯節」に大きく分けて二通りの意味があることは、先ほどご紹介した通りです。とはいえ、それら二つの意味を判別することはさほど難しいことではありません。

なぜならば、文字通り木の根や節が入り混じっているのか、それとも複雑であることのたとえで使われているかを考えるだけだからです。では、上記四つの例文についてみていきましょう。

これらのうち、文字通りの意味で用いられているのは上から二つの例文のみです。まさに木の根が絡み合い、それらを切り拓いたり管理したりするのは容易ではないでしょう。

一方、残りの二つではたとえとして用いられているのが分かるでしょうか。こちらは、シンプルに複雑という言葉で置き換えて考えるのがよさそうです。

#2 「盤根錯節」の類義語は?

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ところで、「盤根錯節」とよく意味の似た四字熟語には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、その中でも代表的なものを二つほど紹介していきます。

「紆余曲折」

「紆余曲折(うよきょくせつ)」は、「盤根錯節」の類義語としてはもっともポピュラーなもののひとつです。この四字熟語は、道が曲がりくねっている様子を表しています。

このことが転じて、面倒なことがらを解決するのにひと苦労をする場合にも用いられるようになりました。

\次のページで「「複雑多岐」」を解説!/

「複雑多岐」

「複雑多岐(ふくざつたき)」もまた、「盤根錯節」の類義語として通用する存在です。こちらの四字熟語には、道がいくつも分岐している様子を表しています。

こちらも転じて、様々な要素が絡み合い解決が難しいことにも用いられるようになりました。では、これらの類義語を用いた例文をチェックしてみましょう。

わが市にもというみんなの意見を反映して作り始めたバラ園だったが、紆余曲折を経てようやく実現へ漕ぎつけようとしている。

電話で主だった専門店にはあたってみたが、豚肉の流通ルートは複雑多岐にわたりとても素人が手出しできるものではなかった。

#3 「盤根錯節」の対義語は?

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では、「盤根錯節」対義語はどのようにとらえればよいのでしょうか。複雑に入り組んでいる様子の反対は、シンプルで分かりやすいという意味であるはずです。

ここでは、そのような意味を持つ四字熟語を二つほど紹介していきます。

「単純明快」

「単純明快(たんじゅんめいかい)」は、「盤根錯節」の対義語中でももっともシンプルで分かりやすいものです。この四字熟語には、分かりやすくてはっきりしているという意味があります。

前半部を占める「単純」自体が「複雑」に対する対義語であることから、とても覚えやすい四字熟語だといえそうです。

「一目瞭然」

「一目瞭然(いちもくりょうぜん)」もまた、「盤根錯節」の対義語として十分に通用するものです。こちらの四字熟語は、パッと見ただけですぐに分かることを意味します。

後半部の「瞭然」はやや難しい漢字を用いていますが、「あきらか」という読み方があることを覚えておけば意味を見失うこともないでしょう。では、ここでこれらの対義語を用いた例文も忘れずにチェックしておきましょう。

コースメニューに関しては、非常にお得なものであることを単純明快に示した方が今後も注文数も伸びていくのではないだろうか。

地ビールの生産に欠かせない酵母づくりが上手くいくようにするカギは、温度や湿度のコントロールにあることは一目瞭然だった。

\次のページで「「盤根錯節」の英訳は?」を解説!/

#4 「盤根錯節」の英訳は?

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では、最後に「盤根錯節」の英語訳も忘れずに押さえておきましょう。この四字熟語は、英語でどのように表現するのでしょうか。

「confusion worse confounded」

「confusion worse confounded」は、「盤根錯節」の意味を上手に英訳したものだといえるでしょう。このフレーズを直訳すると、混乱の上にさらに混乱となります。

「盤根」の上に「錯節」が重なっている状況とそっくりではないでしょうか。

「hard to solve」

「hard to solve」もまた、「盤根錯節」の英語訳として十分に通用するものです。このフレーズを直訳すると、「解決が難しい」となります。

根や節のたとえはまったく登場しませんが、相手に伝えたい内容は十分に伝わることでしょう。

「盤根錯節」を使いこなそう

この記事では「盤根錯節」の意味・使い方・類語などを説明しました。この四字熟語には、複雑に入り乱れているさまという意味がありましたね。

長い人生においては、解決の難しい「盤根錯節」を目の当たりにすることもあるでしょう。そのようなときに尻尾を巻いて逃げるのか、あくまでも立ち向かっていくのかでその後の人生が変わりかねません。

自分ひとりでの解決が難しいときには、周囲の人間の手助けを借りるのも一つの方法です。みなさんも、この四字熟語を使う機会に恵まれたら、臆せずにどんどん使ってみてくださいね。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「盤根錯節」の意味や使い方は?例文や類語も含めて現役文系講師が詳しくわかりやすく解説!

この記事では「盤根錯節(ばんこんさくせつ)」という四字熟語について解説する。

端的に言えば「盤根錯節」の意味は「複雑に入り組んでいること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「盤根錯節」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「盤根錯節」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「盤根錯節」の意味や使い方を見ていきましょう。この四字熟語には、いったいどのような意味・用法があるのでしょうか。

「盤根錯節」の意味は?

まずは国語辞典での定義から。「盤根錯節」には、次のような意味があります。

1.わだかまった根と入り組んだ節(ふし)。
2.入り組んでいて解決の困難な事柄。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「盤根錯節」

「盤根錯節」の前半部を占める「盤根」は、曲がりくねった根っこのことを示すことばです。一方、後半部の「錯節」は、入り組んだ木の節を意味しています。

これら二つの熟語を合わせた「盤根錯節」は木の根が曲がりくねり節が複雑に入り組んでいる様子を表すことばだと考えて差し支えありません。さらに、これが転じてさまざまな事物が複雑に入り組んで解決が難しいという意味でも用いられるようになりました。

「盤根錯節」の出典は?

次に「盤根錯節」の出典を確認しておきましょう。この四字熟語の出典は、「後漢書」という古代中国の歴史書です。

この中の「虞詡伝(ぐくでん)」という章に「盤根錯節に遇(あ)わずんば、なんぞもって利器を別(わか)たんや」というくだりが見られます。これは、事情が入り組んでいて解決の難しいことに遭遇しなければ、能力のある人物を見分けるのは難しいという意味のフレーズです。

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