

日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んだ。「二足の草鞋を履く」の意味や語源をチェックし、例文や類義語などを見ていくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/ユーリ
日本放送作家協会会員。シナリオ、エッセイをたしなむWebライター。時代によって変化する言葉の面白さ、奥深さをやさしく解説する。
「二足の草鞋を履く」の意味
まず、国語辞典で「二足の草鞋を履く」の意味をチェックしましょう。
両立しえないような二つの職業を同一人が兼ねること。特に、江戸時代、博徒が捕吏を兼ねることをいった。現在では「会社員と作家の二足の草鞋を履く」など、両立が困難と思われるような職業を兼ねることにもいう。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「二足の草鞋を履く」
わらじはわらで作った履物のこと。一人の人が二足の履物を同時に履くことはできませんね。「二足の草鞋を履く」は「両立が難しいような二つの職業を同一人が兼ねる」という意味です。
以前、多くの民間企業では就業規則で副業は禁止されていました。「二足の草鞋を履く」は、「二つのことを同時にするのはどちらも中途半端になる」というネガティブなニュアンスで使われていたのです。
しかし最近は副業OKの企業が増えてきました。副業することによって収入が増え、知識や視野が広がるというメリットがあることから、「二足の草鞋を履く」のイメージはかなりポジティブに変化していますよ。
「二足の草鞋を履く」の語源
「二足の草鞋を履く」は、賭博(とばく)をする人が、罪人をめしとる役人を兼ねていたことに由来するといわれています。
江戸時代、町方の行政や司法を担当していたのは町奉行でした。奉行所には与力や同心という役職の人がいて治安維持にあたっており、同心は手下として岡っ引きを雇っていました。
犯罪捜査のために裏社会に詳しい者からの情報が必要だったため、やくざの親分などが岡っ引きになることが多かったそうです。博徒(ばくと)を取り締まるのが博徒なのですから、本来兼業してはいけない二つの職業を一人の人間が兼ねていたということですね。
「二足の草鞋を履く」の使い方
例文で「二足の草鞋を履く」の使い方を見ていきましょう。
1.彼は作家デビューしたのちもずっと会社を辞めず、二足の草鞋を履いていたが、ついに作家としてやっていくことを決意し、会社を退職した。
2.彼女はアルバイトの店員として働くかたわら、副業でイラストを描いている。彼女は二足の草鞋を履く生活が気に入っているようだが、母は正社員の仕事を探しなさいといっている。
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