この記事では「精励恪勤」について解説する。

端的に言えば精励恪勤の意味は「全力を尽くして学業や勉学に励むこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「精励恪勤」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「精励恪勤」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「精励恪勤」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「せいれいかっきん」です。「精励恪勤」の正確な意味をとらえてから、語源や使い方など詳しい情報までチェックしていきますよ。

「精励恪勤」の意味は?

「精励恪勤」には、次のような意味があります。辞書の意味を確認したあと、漢字一文字ごとの意味合いなどを詳しく見ていきましょう。

1.全力を尽くし仕事や勉学に励んで、怠らないこと。精力を傾けて集中して事にあたること。

出典:四字熟語辞典(学研)「精励恪勤」

「精励」は力を尽くして努力することや真心をこめて励むこと、「恪勤」は真面目に一生懸命勤めることや忠実に仕事をすることを表しています。簡単に言うと「学業や仕事にまじめに励むこと」ですね。

経営者や管理する側と工場で生産する労働者など帰属者側との間での態度を表すこともありますが、ただ個人としての取り組みにおいてもどちらにも使う表現です。

「恪勤」という言葉は、「かくご」や「かくごん」と読んで、平安時代に親王や摂関家に仕えた武士や鎌倉から室町時代に幕府に仕える武士を表すこともあります。鎌倉時代は公家を模した職制を設置し、室町幕府でも受け継がれていきました。いずれも、仕事としては下級の扱いで宿直(とのい)や雑役が中心だったということです。なお、上級の武士は「番衆(ばんしゅ、ばんしゅう)」と呼ばれて区別され、将軍に近いところで警護にあたるなどしていました。

「精励恪勤」での「恪勤」の部分の意味と同じように、真面目に忠実に仕事をすることが求められる職業だったのかもしれませんね。

「精励恪勤」の使い方・例文

「精励恪勤」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。どういった品詞で使われているかにも注目して見ていきますよ。

\次のページで「「精励恪勤」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.彼は小さい頃から論語を学ぶなど精励恪勤する姿が見られたが、今となっては大学で教育や文化を専門として職務を担っている。
2.難関大学に合格し、卒業後は研究者として活躍するようすは精励恪勤そのものだ。

例文1.は子供の頃から論語を一生懸命に学んでいるようすがあり、大人になってからは論語などの学びが生かされるような仕事をしているということです。例文の2.のほうは、難関大から企業の研究者になった人について、継続的に真面目に励んでいるのはみんなが認めるところであることを表しています。

文法的な面から見てみると、例文1.は「精励恪勤する…」と名詞を動詞化してサ変動詞として使っおり、例文2.では「精励恪勤そのもの…」と四字熟語を名詞としてそのまま使っていますよ。いずれも、一般的な使い方です。

「精励恪勤」の類義語は?違いは?

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それでは、「精励恪勤」の類義語についての説明です。「精励恪勤」のように勉学や仕事に励むことに関連する四字熟語はいくつかあるので、一緒に見ていきましょう。

「勤倹力行」

「精励恪勤」の類義語には、「勤倹力行(きんけんりっこう)」があります。意味は、仕事に励んでつつましい生活をし、何事にも精一杯努力することです。「勤倹」は「勤勉倹約(きんべんけんやく)」の略で、よくはたらきむだ使いをしないこと、「力行」は物ごとを精一杯努力して行うことを表しています。

「精励恪勤」と比べてみると、「勤勉倹約」の「倹」の字にあたる「節約する、つつましく」という意味合いが加わっていますよ。ほぼ同じ意味ですが、やや違いはある表現です。

「奮励努力」

もう一つの類義語には、「奮励努力(ふんれいどりょく)」があります。気力を奮い起こして励み、努力を重ねることという意味です。「奮励」は気力を奮い起こして勢いよく励むこと、「努力」はある事柄を実現するために心身を労して励むことを表しています。

「奮励努力」の気力を奮い起こすという部分がやや主観的なニュアンスが含まれているのに対し、「精励恪勤」のほうは少し客観的なニュアンスが感じられる表現です。はっきり分かれるわけではありませんが、ニュアンスにはやや違いがありますね。

\次のページで「「精励恪勤」の対義語は?」を解説!/

「精励恪勤」の対義語は?

次は、「精励恪勤」の対義語についての説明です。対義語ということで、努力がわずかであったり続かなかったりという四字熟語を紹介していきますよ。

「杯水車薪」

「精励恪勤」の対義語には、「杯水車薪(はいすいしゃしん)」があります。意味は、努力や援助がごくわずかであるために何の役にも立たないことです。「杯水」は杯一ぱいの水のこと、「車薪」は車一台分の薪のことを表しています。「一杯の水を以って一車薪の火を救うがごとし」の略となっていますよ。

確かに、コップ一ぱいの水で車一台分の火は消せませんよね。状況や目的に対して、努力があまりにも僅かであること言い換えることができます。

「一暴十寒」

もう一つの対義語には、「一暴十寒(いちばくじっかん)」があります。少しだけ努力して、あとは怠けることが多いという意味です。「暴」は「曝」のことで日に当てることということから、一日目に日に曝しながら次の十日間は陰で冷やしてしまうことを表しています。

『孟子(もうし)』にある「…、一日之を暴(あたた)め、十日之を寒(ひや)さば…」という内容が由来です。継続して事を行わなければ効果は上がらないということを表しています。

「精励恪勤」の英訳は?

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最後に、「精励恪勤」の英訳についての説明です。「精励恪勤」の意味合いを英単語を使って表現していきます。一緒に詳しく見ていきましょう。

「be industrious」

「精励恪勤」の英訳には、「be industrious」があります。直訳すると「勤勉である、精励である」です。「industrious」は形容詞ですが、名詞には「industry」があります。「industry」は「産業」という意味が第一に思い浮かぶ人もいるかもしれませんが、「勤勉、精励」という意味もありますよ。

その他、「work hard(一生懸命働く)」や「be diligent(努める、精勤する)」などでも、「精励恪勤」の意味を表すことができます。いずれにしても、キーワードとして「励む」という意味合いの単語が含まれていますね。

\次のページで「「精励恪勤」を使いこなそう」を解説!/

「精励恪勤」を使いこなそう

今回の記事では「精励恪勤」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「精励恪勤」の基本的な意味は、全力を尽くして仕事や勉学に励むことです。また、「精励恪勤」にはプラスのイメージがあるのはもちろん、しっかりとした人に対して使う表現でもあります。ビジネスの場面でもおすすめの表現です。

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【四字熟語】「精励恪勤」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「精励恪勤」について解説する。

端的に言えば精励恪勤の意味は「全力を尽くして学業や勉学に励むこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「精励恪勤」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「精励恪勤」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「精励恪勤」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「せいれいかっきん」です。「精励恪勤」の正確な意味をとらえてから、語源や使い方など詳しい情報までチェックしていきますよ。

「精励恪勤」の意味は?

「精励恪勤」には、次のような意味があります。辞書の意味を確認したあと、漢字一文字ごとの意味合いなどを詳しく見ていきましょう。

1.全力を尽くし仕事や勉学に励んで、怠らないこと。精力を傾けて集中して事にあたること。

出典:四字熟語辞典(学研)「精励恪勤」

「精励」は力を尽くして努力することや真心をこめて励むこと、「恪勤」は真面目に一生懸命勤めることや忠実に仕事をすることを表しています。簡単に言うと「学業や仕事にまじめに励むこと」ですね。

経営者や管理する側と工場で生産する労働者など帰属者側との間での態度を表すこともありますが、ただ個人としての取り組みにおいてもどちらにも使う表現です。

「恪勤」という言葉は、「かくご」や「かくごん」と読んで、平安時代に親王や摂関家に仕えた武士や鎌倉から室町時代に幕府に仕える武士を表すこともあります。鎌倉時代は公家を模した職制を設置し、室町幕府でも受け継がれていきました。いずれも、仕事としては下級の扱いで宿直(とのい)や雑役が中心だったということです。なお、上級の武士は「番衆(ばんしゅ、ばんしゅう)」と呼ばれて区別され、将軍に近いところで警護にあたるなどしていました。

「精励恪勤」での「恪勤」の部分の意味と同じように、真面目に忠実に仕事をすることが求められる職業だったのかもしれませんね。

「精励恪勤」の使い方・例文

「精励恪勤」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。どういった品詞で使われているかにも注目して見ていきますよ。

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