今回の記事では「腹が立つ(はらがたつ)」という慣用句について解説する。

端的に言えば「腹が立つ」の意味は「怒りを感じる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「腹が立つ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「腹が立つ」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「腹が立つ」の意味や使い方を見ていきましょう。この慣用句には、どのような意味・用法があるのでしょうか。

「腹が立つ」の意味は?

まずは、国語辞典での定義から。「腹が立つ」には、次のような意味があります。

しゃくにさわる。怒りをおさえかねる。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「腹が立つ」

国語辞典の定義にある「癪(しゃく)に障(さわ)る」も、かなり難しい表現ですよね。これは、気に入らないことがあり不快に思うことをいいます。

また、怒りを抑えかねるともありますが、これには少々追加で説明が必要でしょう。というのも、日本語において感情とは自分の内側から沸き起こるものだと考えられているからです。

つまり、沸き起こる怒りを自分の理性で抑える、それができないというイメージを持ってください。いずれにしても、腹が立つは「怒りを覚える」という意味でとらえておけば間違いありません。

「腹が立つ」の使い方・例文

「腹が立つ」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「腹が立つ」の類義語は?」を解説!/

自分自身のことを「おばはん」呼ばわりされたのが初めてだったので、腹が立つというよりもどう反応すべきか分からず困惑した気持ちだった。

おすすめのウェブサイトを他人に馬鹿にされた当時は、非常に腹が立ち過剰に反応してしまったことであなたにもご迷惑をかけてしまいました。

松本君と家族の過去を知り少し腹が立ちもしましたが、人生に失敗のひとつやふたつはつきものだと思いすぐに冷静さを取り戻すことができた。

「腹が立つ」の意味を素早く正確に捉えるなら、「怒りを覚える」というフレーズと置き換えてしまうのがいいでしょう。もちろん、「怒り」の感情ですから、そこには何らかの原因となることがあるはずです。

最初の例文では「おばはん」と呼ばれたことが、怒りを覚えそうになった原因なのは間違いありません。続く二つめの例文では、おすすめのサイトを馬鹿にされてしまったことに腹が立ったのでしょう。

そして、最後の例文では松本君とその家族の過去を知ったことが原因です。きっと、人道にもとるような行為をしていたことに腹が立ったのでしょう。

#2 「腹が立つ」の類義語は?

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ところで、「腹が立つ」とよく似た意味を持つ表現にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、その中でも代表的なものを二つほど紹介していきます。

「業を煮やす」

「業を煮やす(ごうをにやす)」は、「腹が立つ」の類義語の中でも代表的なもののひとつです。この慣用句には、苛立つという意味があります。

特に、物事が自分の思い通りに運ばない場合に用いられるのが特徴です。また、業が煮える、業が煎れる(いれる)などの表現もほぼ同じ意味を持つものだといえます。

「頭に血が上る」

「頭に血が上る」もまた、「腹が立つ」の類義語の中でよく使われるもののひとつです。こちらの慣用句には、感情の高ぶりから冷静さを失うという意味があります。

冷静さを失って、かっとなっている状態をイメージしてもらえれば分かりやすいかもしれませんね。では、これらの類義語を用いた例文も忘れずにチェックしておきましょう。

\次のページで「「腹が立つ」の対義語は?」を解説!/

メルマガでオススメされた商品をネットで注文して楽しみに待っていたのに、お届け日時になっても一向に届かないことに私は業を煮やしていた。

他人の遠慮会釈のない言動に対してすっかり頭に血が上ってしまったときは、一度深呼吸をして水分を取ると興奮も少しは収まるそうだよ。

#3 「腹が立つ」の対義語は?

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さて、「腹が立つ」対義語は、一体どのようにとらえればよいのでしょうか。怒りがこみ上げるの反対は、怒りが収まるになるはずです。

ここでは、そのような意味を持つ表現を二つ紹介していきます。

「頭を冷やす」

「頭を冷やす」は、「腹が立つ」の対義語として用いることのできるものです。この慣用句には、血が上った頭を冷やし冷静になるという意味があります。

頭に血が上っている状態、すなわち熱くなっている状態をクールダウンさせることで怒りを鎮めるというわけですね。

「我に返る」

「我に返る」もまた、「腹が立つ」の対義語として用いても差し支えのないものです。こちらの慣用句には「興奮がさめる」という意味があります。

興奮している状態が、すなわち怒っている状態ばかりとは限らないのもたしかです。しかしながら、怒りを忘れて冷静になる場合に用いられるのもまたたしかなことだといえます。

では、これらの対義語を用いた例文も忘れずにチェックしておきましょう。

ストレスからくるイライラも分かるけど、みんな少し頭を冷やして外部会員のお客様に対してもう少し大人の対応をしていこうじゃないか。

苦手なメディア対応を強いられて腹が立ち精神的に消耗していたが、ふと我に返るとこれはコミュニケーション能力を磨くのに良い機会だと思えた。

#4 「腹が立つ」の英訳は?

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では、最後に「腹が立つ」の英語表現についても忘れずにチェックしておきましょう。さあ、英語ではどのように表現するのでしょうか。

\次のページで「「get angry」」を解説!/

「get angry」

「get angry」は、「腹が立つ」の英語訳の中でももっともシンプルでかつよく用いられるものです。このフレーズを直訳すると、ずばり「怒る」になります。

「angry」は怒っている状態を表す形容詞で、「get」はそのような状態に「なる」ことを表す動詞です。「怒っている状態になる」とは「怒る」ことに他なりません。

「feel annoyed」

「feel annoyed」もまた、「腹が立つ」の英語訳として十分に通用するものです。こちらのフレーズは、「イライラを感じる」と直訳できます。

「annoyed」の元になった「annoy」は、不快な言動などで人を苛立たせるという意味の動詞です。「annoyed」は、その過去分詞で「feel」の補語としてはたらいています。

「腹が立つ」を使いこなそう

この記事では「腹が立つ」の意味・使い方・類語などを説明しました。この慣用句には、怒りがこみあげてくるという意味がありましたね。

人間生きていれば、日々腹が立つことのひとつやふたつはあるものです。むしろ、怒りも含めてさまざまな感情が湧いてくるのが生きていることの証左かもしれません。

大事なのは、そうしてこみあげてきた感情をいかにコントロールしていくかではないでしょうか。みなさんも、今回の慣用句を使う場面に恵まれたら、臆せずにどんどん使ってみてくださいね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「腹が立つ」の意味や使い方は?例文や類語も含めて現役文系講師が詳しくわかりやすく解説!

今回の記事では「腹が立つ(はらがたつ)」という慣用句について解説する。

端的に言えば「腹が立つ」の意味は「怒りを感じる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「腹が立つ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「腹が立つ」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「腹が立つ」の意味や使い方を見ていきましょう。この慣用句には、どのような意味・用法があるのでしょうか。

「腹が立つ」の意味は?

まずは、国語辞典での定義から。「腹が立つ」には、次のような意味があります。

しゃくにさわる。怒りをおさえかねる。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「腹が立つ」

国語辞典の定義にある「癪(しゃく)に障(さわ)る」も、かなり難しい表現ですよね。これは、気に入らないことがあり不快に思うことをいいます。

また、怒りを抑えかねるともありますが、これには少々追加で説明が必要でしょう。というのも、日本語において感情とは自分の内側から沸き起こるものだと考えられているからです。

つまり、沸き起こる怒りを自分の理性で抑える、それができないというイメージを持ってください。いずれにしても、腹が立つは「怒りを覚える」という意味でとらえておけば間違いありません。

「腹が立つ」の使い方・例文

「腹が立つ」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「腹が立つ」の類義語は?」を解説!/

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