この記事では「甲論乙駁」について解説する。

端的に言えば甲論乙駁の意味は「いろいろな人があれこれ主張して議論がまとまらないこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

0数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「甲論乙駁」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「甲論乙駁」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「甲論乙駁」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「こうろんおつばく」です。まずは、正確な意味を確認してから、語源や使い方といった詳しいところまで確認していきます。

「甲論乙駁」の意味は?

「甲論乙駁」には、次のような意味があります。基本的な意味合いのほか、漢字ごとの意味合いについても詳しくチェックしていきましょう。

1.いろいろな人が自説を主張して議論がまとまらないこと。

出典:四字熟語辞典(学研)「甲論乙駁」

「甲論乙駁」の「甲」と「乙」は、ある人とまたある人ということ、「論」は論じることです。また、「駁」は反論することで「反駁」ということもありますが、もとは「不順なものが入り交じる」という意味から来ています。

ある人が論ずると別の人がそれに反対したり、一つにまとまらずに議論がいろいろと出てくることを表していますよ。さらには、いろいろと議論が出てくるせいで、いつまでも決着がつかないというニュアンスも含まれた表現です。

「甲論乙駁」の使い方・例文

「甲論乙駁」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。…などと文章を始めてください。

\次のページで「「甲論乙駁」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.会議では甲論乙駁して煮詰めていくことも大切だが、時間内に結論を出すことも大切だ。
2.全員が妥協せずにそれぞれの考え方を主張していたので、激しい甲論乙駁となった。

例文1.は、意見を言い合うことで問題点を見出したり修正することに会議の意味はありますが、時間は無制限ではないので時間管理も大切だということです。会議が時間を浪費するばかりにならないように、事前に資料を確認するなど意識して時間をコントロールするケースが増えていますね。

例文2.のほうは、人が複数集まって何かをしたり決めたりするとなると、たいてい妥協する部分が出てくるのですが、誰も譲らないと議論はいつまでも終わらないということもあるという話です。

文法的に見ていくと、例文1.は「甲論乙駁して…」と動詞化した表現となっており、例文2.では「甲論乙駁と…」と四字熟語をそのまま名詞として扱っています。いずれもよく使われる表現方法です。

「甲論乙駁」の類義語は?違いは?

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それでは、「甲論乙駁」の類義語についての説明です。とにかく議論がいろいろと出てきてまとまらないということなので、そういった意味の類義語をいくつか見ていきましょう。

「議論百出」

「甲論乙駁」の類義語には、「議論百出(ぎろんひゃくしゅつ)」があります。意味は、さまざまな意見が数多く出てきて活発に議論が行われることです。「百」は数が多いということなので、「百出」で数多く出てくることを表しています。

「甲論乙駁」と意味は近いのですが、議論がいろいろと出てきてまとまらなくて困るという否定的なニュアンスのある「甲論乙駁」に対して、「議論百出」のほうはいろいろな意見が出てきて議論が活発であるというどちらかというと肯定的なニュアンスを含んだ表現です。そのため、場面によって使い分けるといいですね。

「諸説紛紛」

もう一つの類義語には、「諸説紛紛(しょせつふんぷん)」があります。いろいろと議論が入り混じってまとまりがつかないことという意味です。また、憶測が飛び交い真相がわからない場合にも使われることがあります。「紛紛」は「芬芬」とも書き、入り乱れているようすのことです。

「甲論乙駁」とは意味もほぼ同じで、ニュアンスとして同じく否定的になっています。そのため、非常に近い意味の類義語と言えますね。

\次のページで「「甲論乙駁」の対義語は?」を解説!/

「甲論乙駁」の対義語は?

次に、「甲論乙駁」の対義語についての説明です。今度は対義語ということなので、意見にまとまりがあるという意味の四字熟語をいくつか見ていきましょう。

「満場一致」

「甲論乙駁」の対義語には、「満場一致(まんじょういっち)」があります。意味は、その場にいるすべての人々の意見が一つにまとまることです。「満場」は会場全体のことやその場にいる全員のこと、「一致」のほうは一つになることを表しています。

「満場一致」は意見が一つにまとまって異議が出ないことを表しているので、「甲論乙駁」とはちょうど対義語となりますね。

「衆口一致」

もう一つの対義語には、「衆口一致(しゅうこういっち)」があります。多くの人の意見や評判がピッタリと合うという意味です。「衆口」は多くの人の言葉や意見のこと、「一致」は一つになることを表しています。

「衆口一致」の場合は、意見だけでなく思ったことや感じたことを表現した言葉も含まれるので、表現としては幅広くなりますが基本的な意味においては「甲論乙駁」と反対です。

「甲論乙駁」の英訳は?

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最後に、「甲論乙駁」の英訳についての説明です。漢字の四字熟語の表現について、意味合いとして近い英語表現を一緒に見ていきましょう。

「argue pros and cons」

「甲論乙駁」の英訳には、「argue pros and cons」があります。直訳すると「賛成論と反対論を議論する」です。「argue」には、「討論する、議論する」という意味で品詞は動詞となっています。

これを名詞で表現すると、「arguements pro and con」とすることもできますよ。とくに議論が盛んな場合は「many arguements pro and con」とするといいですね。「arguements」は動詞「argue」の名詞形です。

\次のページで「「甲論乙駁」を使いこなそう」を解説!/

「甲論乙駁」を使いこなそう

今回の記事では「甲論乙駁」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「甲論乙駁」の基本的な意味は、いろいろな人があれこれ主張し議論がまとまらないことです。さまざまな意見が出るということは、本来はよいことなのですがまとまらないなら困ったことになります。類義語については、「議論百出」のように本来のよい部分を伝えるニュアンスを含む表現と「甲論乙駁」のように困ったことだというニュアンスを含む表現があるので、場面に応じて使い分けるといいですね。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「甲論乙駁」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「甲論乙駁」について解説する。

端的に言えば甲論乙駁の意味は「いろいろな人があれこれ主張して議論がまとまらないこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

0数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「甲論乙駁」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「甲論乙駁」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「甲論乙駁」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「こうろんおつばく」です。まずは、正確な意味を確認してから、語源や使い方といった詳しいところまで確認していきます。

「甲論乙駁」の意味は?

「甲論乙駁」には、次のような意味があります。基本的な意味合いのほか、漢字ごとの意味合いについても詳しくチェックしていきましょう。

1.いろいろな人が自説を主張して議論がまとまらないこと。

出典:四字熟語辞典(学研)「甲論乙駁」

「甲論乙駁」の「甲」と「乙」は、ある人とまたある人ということ、「論」は論じることです。また、「駁」は反論することで「反駁」ということもありますが、もとは「不順なものが入り交じる」という意味から来ています。

ある人が論ずると別の人がそれに反対したり、一つにまとまらずに議論がいろいろと出てくることを表していますよ。さらには、いろいろと議論が出てくるせいで、いつまでも決着がつかないというニュアンスも含まれた表現です。

「甲論乙駁」の使い方・例文

「甲論乙駁」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。…などと文章を始めてください。

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