今回の記事では「足が重い」という慣用句について解説する。

端的に言えば「足が重い」の意味は「気が進まない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「足が重い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「足が重い」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「足が重い」の意味や使い方を見ていきましょう。この慣用句には、いったいどのような意味があるのでしょうか。

「足が重い」の意味は?

まずは、国語辞典での定義から。「足が重い」には、次のような意味があります。

1.足がだるい。
2.出かけたりする気がおきない。気がすすまない。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「足が重い」

「足が重い」という表現には、大きく分けて二つの意味があります。ひとつめは、ケガや病気をしたり運動で疲労を感じたりして、物理的に足が動きにくくなっている状況を表すものです。

もうひとつは、何らかの精神的な原因で物事を積極的に行う気になれないでいる状況を表します。ですから、こちらはいわば「たとえ」としての用法だということを理解してください。

いずれにしても、フィジカル的な意味で足が前に進みにくいのか、それともメンタル的な意味で行動を起こす気になれないのかをきちんと判別することが重要です。

「足が重い」の使い方・例文

次に「足が重い」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「足が重い」の類義語は?違いは?」を解説!/

立ち仕事による疲労が原因で足首やふくらはぎに老廃物質がたまり、実に足が重く感じられるため早めにマッサージを受けたいよ。

循環器内科を専門とする医師の問診を受けても叱られるだけだから、病院や医院といった医療機関に出かけるのは正直足が重い

女性に交じって男が自分ひとりだけのヨガ教室に出かけるのだから、初期で経験不足のころは本当に足が重いとしかいえなかった。

上に挙げた三つの例文のうち、どれがフィジカル的なことで、どれがメンタル的なことなのか分かるでしょうか。これらの中でフィジカル的な意味で用いられているのは最初の例文だけです。

疲労により物理的に足が動きにくくなっているだけで、精神的なことは何も言及されていません。それに対し、二つめと最後の例文では、精神的な理由で積極的に動きたくない様子がうかがえます。

二つめの例文では、はっきりと「叱られる」との記述があることから「出かけたくない」へとつながっているのが分かるはずです。また、最後の例文では女性の中で男性が一人しかいないという状況に居心地の悪さを感じていることが読み取れるでしょう。

#2 「足が重い」の類義語は?違いは?

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ところで、「足が重い」と意味のよく似た表現にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、その中でも代表的なものを二つほど紹介していきます。

「腰が重い」

「腰が重い」は、「足が重い」の類義語としてよく用いられるもののひとつです。この慣用句は、なかなか行動を起こさない、またはその気にならないことを意味します。

座ったままなかなか立ち上がって行動を起こさない様子を「腰が重い」とたとえたわけですね。この慣用に関連した表現に「重い腰を上げる」というものがありますが、こちらは消極的だった人がようやく行動に出ることを意味します。

「気乗りしない」

「気乗りしない」もまた、「足が重い」の類義語として十分に通用するものです。こちらの慣用句には、積極的にやろうという気持ちにならないという意味があります。

似たような表現に「気持ちが乗らない」というのがありますので、あわせて覚えておくとよいでしょう。では、これらの類義語を用いた例文をチェックしていきます。

\次のページで「「足が重い」の対義語は?」を解説!/

ストレスが解消されず蓄積されてくると、睡眠不足に陥り何をするにも腰が重くなってしまいがちなので心療内科での治療をおすすめします。

長時間にわたりお客様に神経を使う仕事に対して気乗りしないのは分かるが、だからといってこのまま放置しておくわけにもいかないだろう。

#3 「足が重い」の対義語は?

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では、「足が重い」対義語は、いったいどのようにとらえればよいのでしょうか。気が進まないの反対は、積極的に取り組むことです。

ここでは、そのような意味を持つ表現を二つ見ていきます。

「足取りも軽く」

「足取りも軽く」または「足取り軽やかに」は、「足が重い」の対義語の中でももっとも代表的なもののひとつです。足が「重い」に対して「軽い」わけですから、当然といえば当然かもしれませんね。

主に自分の好きなことや待ち望んでいたことに用いる表現で、それだけに言われなくても積極的に取り組んでいるという明けです。ちょうどスキップでもしながら現地に向かっている様子を思い浮かべるとよいでしょう。

「乗り気」

「乗り気」もまた、「足が重い」の対義語として十分に通用するものです。こちらの言葉は、進んでやってみようという気持ちであることを表します。

あるいは、相手のオファーに乗ってみようとする場合にも使われますので、覚えておくとよいでしょう。では、これらの対義語を用いた例文も忘れずにチェックしておきましょう。

検査の結果、当面のところ脳卒中(脳梗塞)の心配はないと分かってから足取りも軽くクリニックをあとにして繁華街へと向かった。

症状を緩和させるには下肢の筋力アップを図るのがよいと聞きつけ、彼女は栄養管理とともにさまざまな運動に乗り気で取り組んでいる。

#4 「足が重い」の英訳は?

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最後に「足が重い」の英語表現についても押さえておきましょう。果たしてこの慣用句は、英語でいったいどのように表現するのでしょうか。

\次のページで「「be unwilling to ~」」を解説!/

「be unwilling to ~」

「be unwilling to ~」は、「足が重い」の表す意味をシンプルかつ正確に英語で言い表したものです。このフレーズを直訳すると「~することに気が進まない」となります。

これは、まさに「足が重い」の意味とぴったりであることが確認できたことでしょう。ちなみに「unwilling」を「willing」とすれば、「すすんで~しようとする」と反対の意味を表すフレーズになります。

「not feel like ~ing」

「not feel like ~ing」もまた、「足が重い」の英語訳として用いることができます。こちらの直訳は、「~する気にならない」です。

このフレーズのベースになった「feel like ~ing」は英語学習ではおなじみのもので、「~したい気がする」という訳で知られています。

「足が重い」を使いこなそう

この記事では「足が重い」の意味・使い方・類語などを説明しました。この慣用句には、文字通りの意味のほかに気が進まないという意味がありましたね。

日頃学校に通ったり仕事をしていたりすると「足が重く」なってしまうことだってあるでしょう。そのようなときであっても、最低限やるべきことはこなしておきたいものです。

足が重ければ重いなりにできることだってきっとあるはずではないでしょうか。みなさんも、この慣用句を使う場面に遭遇したら、臆せずにどんどん使ってみてくださいね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「足が重い」の意味や使い方は?例文や類語も含めて現役文系講師が詳しくわかりやすく解説!

今回の記事では「足が重い」という慣用句について解説する。

端的に言えば「足が重い」の意味は「気が進まない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「足が重い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「足が重い」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「足が重い」の意味や使い方を見ていきましょう。この慣用句には、いったいどのような意味があるのでしょうか。

「足が重い」の意味は?

まずは、国語辞典での定義から。「足が重い」には、次のような意味があります。

1.足がだるい。
2.出かけたりする気がおきない。気がすすまない。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「足が重い」

「足が重い」という表現には、大きく分けて二つの意味があります。ひとつめは、ケガや病気をしたり運動で疲労を感じたりして、物理的に足が動きにくくなっている状況を表すものです。

もうひとつは、何らかの精神的な原因で物事を積極的に行う気になれないでいる状況を表します。ですから、こちらはいわば「たとえ」としての用法だということを理解してください。

いずれにしても、フィジカル的な意味で足が前に進みにくいのか、それともメンタル的な意味で行動を起こす気になれないのかをきちんと判別することが重要です。

「足が重い」の使い方・例文

次に「足が重い」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「足が重い」の類義語は?違いは?」を解説!/

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