この記事では「汗をかく」について解説する。

端的に言えば、汗をかくの意味は「一生懸命努力する」ことです。もちろん暑くて汗をかくという意味もありますが、それ以外にもいくつかの意味があるぞ。

日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んです。一緒に「汗をかく」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/ユーリ

日本放送作家協会会員。シナリオ、エッセイをたしなむWebライター。時代によって変化する言葉の面白さ、奥深さをやさしく解説する。

「汗をかく」の意味・例文と使い方

image by iStockphoto

「汗をかく」という言葉には、複数の意味があります。さっそく意味を調べ、例文で使い方を見てみましょう。

「汗をかく」の意味

まずは辞書で「汗をかく」を調べてみましょう。

1 汗が出る。
2冷や汗が出る。はらはらする。
3 自分から進んで行動する。一生懸命努力する。
4 物の表面に水滴が生じてぬれる。
5食物などが腐りかけたために表面がべとつく。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「汗をかく」

意外とたくさんの意味がありますね。汗とは、汗腺から分泌される液体のこと。人間の体は、気温が高くなったり、運動したり、病気で発熱して体温が高くなったときに、汗が出ることで体温が一定範囲内になるように調節しています。1は汗の本来の機能のことです。

しかし、気温や運動に関係なく、緊張や痛み、恐怖や怒りなどで、冷や汗が出たり手に汗をかいたりしますね。2は「精神的なストレスで出る汗」のことです。3は懸命に働いて汗をかいたことから、「一生懸命努力する」という意味合いで使われるようになりました。

辞書で「汗」という言葉を調べてみると、人間の汗以外に「モノの表面に内部からにじみ出たり、空気中の水蒸気が結露したりしてついた水滴」という意味も載っています。4は結露した状態のことですね。5は、ハムやかまぼこなどの食品が腐敗して表面がべとつくことです。

「汗をかく」の例文と使い方

次に「汗をかく」の例文を見てみましょう。

1.長寿と健康を目標としている後期高齢者の母は、ネットでの機能性食品の情報集めに余念がなく、毎日ウオーキングなどの運動で汗をかいている。
2.ヤマダさんは極度の注射嫌いだが、新型コロナウイルスの感染からご家族を守るため、手に汗をかきながら、ワクチン接種を受けた。
3.感染症予防についての研究成果を、メールマガジンの記事にして定期的に配信していたのが関係者の目に留まり、科学振興財団から助成金を受けられるようになった。彼女が本来業務の傍らで、慣れないネット配信に汗をかいてがんばったかいがあった。

\次のページで「「汗をかく」の類義語」を解説!/

最初の例文は、運動で「汗をかく」という本来の意味で使った例文です。2番目の例文は、痛みや怖さへのストレスで冷や汗が出るという意味で使っています。3番目は一生懸命努力したという意味ですね。

「汗をかく」の類義語

image by iStockphoto

次に「汗をかく」の類義語を見てみましょう。

「汗水たらす」「額に汗する」:一生懸命働く

「汗水たらす」は、大量の汗を垂らすことから、一生懸命働くことを表す言葉になりました。「汗水たらして働く」という使い方をします。「汗水流す」という言い方もありますね。「額に汗する」も同じ意味合いです。

「粟一粒は汗一粒」「粒粒辛苦」:努力を続ける

「粟一粒は汗一粒」は「あわひとつぶは、あせひとつぶ」と読みます。意味は粟一粒の収穫を得るのに、農民は汗を一粒流しているということ。つまり農民の苦労を意味する言葉ですね。「粒粒辛苦(りゅうりゅうしんく)」も、米の一粒一粒が、農民の辛苦の結晶であるという意味から、何かを成し遂げるためにコツコツと努力を続けることを表現する言葉になりました。

「冷や汗をかく」「手に汗を握る」「汗顔の至り」:精神的発汗

「冷や汗をかく」緊張や不安など精神的な理由でハラハラドキドキすること。また自律神経の乱れなどで冷や汗をかくこともあるようですね。「手に汗を握る」は、何かを見たり聞いたりして、興奮したり、緊張したりすること。スポーツの実況を聞いたりホラー映画を見たりしたとき、手に汗を握る経験をした人も多いのではないでしょうか。

「汗顔の至り」恥ずかしくて顔に汗をかくこと。「至り」は物事の行きつく結果という意味です。何かとんでもないミスをして、恥ずかしさのあまり汗が止まらないという場合に使います。

\次のページで「「汗をかく」の反対語」を解説!/

「汗をかく」の反対語

次に「汗をかく」の反対語を見てみましょう。

「骨を惜しむ」:怠ける

「骨」は体の骨という意味のほかに「骨が折れること」「苦労」の意味もあります。また「惜しむ」は「出し惜しむ」という意味があるので、「骨を惜しむ」は、「苦労することを嫌がる」「怠ける」という意味になりますよ。「骨惜しみする」という言い方もありますね。

「怠ける」

「怠ける」は、労力を惜しんで一生懸命やらないこと。課せられた仕事や勉強を真面目にやらないことです。

「汗をかく」の英訳は?

image by iStockphoto

次に「汗をかく」の英訳を見てみましょう。

「sweat」

まずは「sweat」を辞書で見てみましょう。

名詞
1a 不可算名詞 汗.
  b [a sweat] 汗をかくこと,ひと汗かくこと.
2  不可算名詞 (ガラスなどの表面につく)水蒸気,水滴.
3  [a sweat] 《口語》 冷や汗,不安,心配.
4  [a sweat] 苦役,骨の折れる仕事.

動詞 自動詞
1  汗をかく,汗ばむ.
2〈壁など表面が〉汗をかく,露を結ぶ.
3〔動詞(+away) (+at+(代)名詞)〕〔仕事を〕汗を流して働く.
4〔+for+(代)名詞〕〔…で〕(冷や汗をかくような)ひどい目にあう.

動詞 他動詞
1a〈…に〉汗をかかせる,発汗させる.
  b〔+目的語+副〕発汗して〈かぜなどを〉治す 〈out〉; 発汗して〈体重を〉減らす 〈off〉.
2〈人を〉酷使する.
3〔+目的語+out of+(代)名詞〕《口語》 (尋問して)〔人から〕〈自白を〉強要する.

出典:新英和中辞典(研究社)「sweat」

\次のページで「「work hard」」を解説!/

「sweat」には、日本語と同じように「汗をかく」という意味のほかに、「骨の折れる仕事」「汗を流して働く」という意味がありますし、「壁などの表面が結露する」という意味もあります。

「sweat with effort」は「一生懸命努力する」、「sweat with fear」は「怖くて冷や汗をかく」、「sweat with nervousness」は「緊張して汗をかく」という意味です。「a sweat」「骨の折れる仕事」という意味であるのに対して、「no-sweat」は口語的な表現で「たやすい」「楽勝」という意味になりますよ。

「work hard」

「work」は「働く」「勉強する」という意味で、「hard」は、「熱心に」「一生懸命に」という意味です。work hard一生懸命努力するという意味になりますね。シンプルで、伝わる言葉ですね。

「汗をかく」を使いこなそう!

この記事では「汗をかく」の意味・使い方・類義語などを説明しました。

本来は「発汗する」という意味ですが、緊張などの「精神的なストレスで汗が出る」という意味もあります。また、汗をかいて働いたことから「一生懸命努力する」という意味でも使われるようになりました。また、人間だけでなく、「モノの表面が結露する」ことや、「食品が腐敗して表面がべとつく」という意味もあります。

「一生懸命努力する」という意味は、覚えるだけでなく、ぜひ使いこなせるようになってくださいね。

" /> 意味がたくさんある?「汗をかく」の例文・類義語など日本放送作家協会会員がわかりやすく解説 – Study-Z
国語言葉の意味

意味がたくさんある?「汗をかく」の例文・類義語など日本放送作家協会会員がわかりやすく解説

この記事では「汗をかく」について解説する。

端的に言えば、汗をかくの意味は「一生懸命努力する」ことです。もちろん暑くて汗をかくという意味もありますが、それ以外にもいくつかの意味があるぞ。

日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んです。一緒に「汗をかく」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/ユーリ

日本放送作家協会会員。シナリオ、エッセイをたしなむWebライター。時代によって変化する言葉の面白さ、奥深さをやさしく解説する。

「汗をかく」の意味・例文と使い方

image by iStockphoto

「汗をかく」という言葉には、複数の意味があります。さっそく意味を調べ、例文で使い方を見てみましょう。

「汗をかく」の意味

まずは辞書で「汗をかく」を調べてみましょう。

1 汗が出る。
2冷や汗が出る。はらはらする。
3 自分から進んで行動する。一生懸命努力する。
4 物の表面に水滴が生じてぬれる。
5食物などが腐りかけたために表面がべとつく。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「汗をかく」

意外とたくさんの意味がありますね。汗とは、汗腺から分泌される液体のこと。人間の体は、気温が高くなったり、運動したり、病気で発熱して体温が高くなったときに、汗が出ることで体温が一定範囲内になるように調節しています。1は汗の本来の機能のことです。

しかし、気温や運動に関係なく、緊張や痛み、恐怖や怒りなどで、冷や汗が出たり手に汗をかいたりしますね。2は「精神的なストレスで出る汗」のことです。3は懸命に働いて汗をかいたことから、「一生懸命努力する」という意味合いで使われるようになりました。

辞書で「汗」という言葉を調べてみると、人間の汗以外に「モノの表面に内部からにじみ出たり、空気中の水蒸気が結露したりしてついた水滴」という意味も載っています。4は結露した状態のことですね。5は、ハムやかまぼこなどの食品が腐敗して表面がべとつくことです。

「汗をかく」の例文と使い方

次に「汗をかく」の例文を見てみましょう。

1.長寿と健康を目標としている後期高齢者の母は、ネットでの機能性食品の情報集めに余念がなく、毎日ウオーキングなどの運動で汗をかいている。
2.ヤマダさんは極度の注射嫌いだが、新型コロナウイルスの感染からご家族を守るため、手に汗をかきながら、ワクチン接種を受けた。
3.感染症予防についての研究成果を、メールマガジンの記事にして定期的に配信していたのが関係者の目に留まり、科学振興財団から助成金を受けられるようになった。彼女が本来業務の傍らで、慣れないネット配信に汗をかいてがんばったかいがあった。

\次のページで「「汗をかく」の類義語」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: