「生き馬の目を抜く」って、聞くだに物騒な言葉です。文字通りの状況から『とんでもない早技』って意味を想像しますが、実際はそこからもう一段ひねったニュアンスがあるらしいぞ。
今回はマイペースで単純なライターである、ぷーやんを呼んです。本人の性質とは対極にある「生き馬の目を抜く」について、意味や使われ方を説明してもらおう。
- 「生き馬の目を抜く」の意味から押さえよう!
- 辞書にみる「生き馬の目を抜く」
- 「生き馬の目を抜く」の使い方を例文でみてみよう
- 「生き馬の目を抜く」に類義語はある?
- 生き牛の目を抜く
- 老獪(ろうかい):経験豊富でずる賢いこと
- 「生き馬の目を抜く」に対義語はある?
- 愚鈍(ぐどん):頭の回転が遅く、間抜けである
- 純朴(じゅんぼく):素直で飾り気がない
- 「生き馬の目を抜く」の英語訳2選!
- cunning:狡猾・悪賢い
- shrewd:狡猾な
- 「生き馬の目を抜く」日本人は苦手?
- ビジネスにおける「生き馬の目を抜く」ということ
- フォローは役割分担で!
- ビジネスとプライベートは別!
- 「生き馬の目を抜く」を邪険にしない!
この記事の目次
ライター/ぷーやん
webライター歴7年。鍛えられた語彙と文章力は本業でも発揮され、社内ルールの書き換え担当に。基本的にのんびり好きなため生半可な悪巧みでは気づいてあげることもできず、嫌みを言われても肩透かしを食らわせることが多い。
辞書にみる「生き馬の目を抜く」
「生き馬の目を抜く」は、辞書では以下のように説明されています。
生きている馬の目を抜き取るほど、すばやく物事をする。油断のならないさま。生き馬の目を抉 (くじ) る。生き牛の目を抉る。「―・くせちがらい世の中」
出典:デジタル大辞泉(小学館) 「生き馬の目を抜く」
本当に生きている馬の目を抜き取ることができたとすれば、それはとてつもなく速い動きであるに違いありません。「生き馬の目を抜く」はそんなあり得そうもないことに、人の狡猾さをたとえた慣用句です。
悪だくみは得てして、悪意に気づかれないうちに手早く済ませられるもの。気が緩んでいるといつの間にか、『してやられた』状態にされてしまうようなことを指して「生き馬の目を抜く」というわけですね。
「生き馬の目を抜く」の使い方を例文でみてみよう
辞書で言葉の意味を押さえたら、次は例文で使い方をみていきましょう。
1.ビジネスの世界では、「生き馬の目を抜く」ような姿勢でことに当たることが必要なときもある。
2.彼は人当たりのいいのんびり屋に見えるが、要所を確実に押さえてくる「生き馬の目を抜く」ような一面も持っている。
3.うちの部署は「生き馬の目を抜く」ことが当然という雰囲気がある。切磋琢磨しあえる環境ともいえるが、常に気を張っていないといけないので、精神的に休まることがない。
例文1は所属する組織の発展や防衛のために、ときには冷徹とも取れる判断をしなければならない、ということですね。例文2のように強かな人は、社会的には『デキる人』でしょう。『能ある鷹は爪を隠す』が似合いそうな方ですね。例文3のような職場環境では、仲間内といえども仕事や成果を奪い合っていそうです。
いずれの例文も、社会的な組織には必要な態度かもしれません。しかし身近な人や身内には、思いやりをもって接してもらいたいところです。
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生き牛の目を抜く
馬が牛に変わった慣用句です。役に立たないものを意味する「馬の骨」という言葉も、同じ意味の言い換え表現に「牛の骨」という言葉があります。馬も牛も人の生活に身近にいたため、慣用句に用いられやすかったのかもしれません。
老獪(ろうかい):経験豊富でずる賢いこと
「獪」は「ずるい」という意味の漢字です。「老」はここでは「経験を積んでいる」という意味。これらが合わさった「老獪」のニュアンスとしては、「豊富な経験を背景にしたずる賢さ」となります。
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「生き馬の目を抜く」に対義語はある?
類義語の次は対義語をみていきましょう。
愚鈍(ぐどん):頭の回転が遅く、間抜けである
それぞれの漢字を訓読みすると「愚(おろ)かで鈍(にぶ)い」です。したがって「愚鈍」は、「素早くてずる賢い」ことが含蓄される「生き馬の目を抜く」とは、とても対照的な言葉といえるでしょう。
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