この記事では「悪事千里を走る」について解説する。

端的に言えば「悪事千里を走る」の意味は「悪事はすぐに世間に広まる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教材系のライターを10年経験した梨子なしこ太朗吉を呼んです。一緒に「悪事千里を走る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/梨子なしこ太朗吉

本や雑誌を作り続ける文章職人。参考書から音楽誌まで、娯楽と言葉と実用をむすびつけることを自らも楽しみつつ、分かりやすく伝える。

「悪事千里を走る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「悪事千里を走る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「悪事千里を走る」の意味は?

「悪事千里を走る」には、次のような意味があります。

悪い行いはすぐに世間に知れ渡る。

出典:goo辞書

悪い行いほど世間にすぐに広まるのは、その話を聞いた人がすぐに別の人に話してしまうからですね。

ではなぜ良い話よりも悪い話が伝わりやすいのでしょうか。それは悪い話は人々の生存や危険にかかわる場合が多いからでしょう。人間も動物ですから、誰もがみずからの生存を脅かすものには敏感です。一方で良い話というのは、他人の善行であれば、知ったところで危険の察知にも、獲物のありかなど利益となることについての情報獲得にもなりませんから重要なこととは言えませんし、儲け話のように誰にとっても利益になる話だと、情報を独り占めしようという人は多いのですから、情報は伝達されにくくなります。

ということで危険情報でもある誰かの悪行の方が早く、遠くまで伝わるという説明が可能でしょう。

「悪事千里を走る」の語源は?

次に「悪事千里を走る」の語源を確認しておきましょう。

これは中国の古書にある、「好事門を出でず、悪事千里を行く」から来たもので、良い行いはなかなか世に知られることはなく、悪い行いはすぐに世に広まる、ということを表しています。

日本では後半部分だけを言う場合が多いのですが、中国では今もこの対句の状態で使うことが多いようです。対句にするとまた別の味わいがありますね。

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「悪事千里を走る」の使い方・例文

「悪事千里を走る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.会社内首脳陣の派閥あらそいや全社的な人事の失敗は、様々な原因、理由があるのだろうが、明確な事実であってすぐに、悪事千里を走るだよ、あっという間に噂話として業界に知れ渡ってたいへんなことになるだろう。

2.厳選された珠玉の良書による時代を代表する大学内財政学文庫だと思っていたのに、実はたくさんの偽書がまぎれこんでいて、図書館長自身による著作権侵害行為もあって文庫の意義が厳しく問われる事態となってしまい、悪事千里を走るで、大学全体のブランド価値が低下しつつある。

3.一部に考え方の甘い人たちもいるが、悪事千里を走る、なのだから、政治家は当事者として政策の失敗についてきちんとした言葉で国際的な説明もしなければならない。

悪事は隠しておくことができない、いずれ露呈するというのは、当事者にとって恐怖です。世の中は他人の悪事に飢えているということでしょうか。

この「悪事千里を走る」によって、自分のよくない噂が遠くまで届いているのに驚いた経験を持つ人もいるでしょう。善行を積んでも人に評価されず、一回の悪事でもすぐに世人の知るところとなる、まさにこれ世間の無情なるところです。

「悪事千里を走る」の類義語は?違いは?

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「悪事千里を走る」と似た意味を持つ言葉として、「人の口に戸は立てられぬ」や「お天道様が見てる」があります。

「人の口に戸は立てられぬ」

噂はすぐに広まるという意味です。

特に悪いうわさの場合に早いもの。

ここでは「戸」は壁と同じで、なにかとなにかの間で流通をさえぎるものという意味ですね。戸を閉めてしまえばどんなものでも出入りはできなくなるものですが、こと噂話にかんしては、戸を立てるように人の口をふさぐということができないと言っているわけです。おもしろい話を聞いたら誰かに話したくなるのは自然なことと言えましょう。

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「お天道様が見てる」

誰も見ていないところで悪いことをしても、空のお天道様、つまり太陽が見ているのだから、悪事はしてはならない、という意味です。

「悪事千里を走る」を、悪いうわさはすぐに広まってしまうのだから、悪事はやめなさい、という警告だととると、この「お天道様が見てる」も、こっそりやりおおせたつもりでもすべては天に、そして結局のところ世間様にもばれているのだ、だから悪事はやめなさい、という警告の意味があるので、両者は同じ意味をもつことになります。

「悪事千里を走る」の対義語は?

「悪事千里を走る」と反対の意味を持つ言葉としては、以下のようなものがあります。

「人の噂も七十五日」

噂話というものは七十五日も経てば忘れ去られる、というもの。七十五日は一つの季節ほど、という意味。

七十五日も経てば噂もおさまってしまうがその頃には世間はまた別の噂話でもちきり、というのは現代では、スキャンダルと、それを伝えるテレビのワイドショーでおなじみの光景ですね。むしろ現代では一つの話で七十五日は持たないでしょう。

「悪事千里」が、話の伝達、拡散が早く広いことを嘆くものなのに対して、こちら「人の噂も七十五日」は、噂の消滅を楽観するものですから、対局にある言葉と言えましょう。

「好事門を出でず」

もともと中国では「悪事千里を走る」の前に「好事門を出でず」という句があり、対句となっていました。現代でも中国では対にして使うようです。

善行を積んでも世間に伝わりにくい、悪事の話はすぐに世間に広がる、こういう意味なわけですが、まことに因果なもの。とかく世間は世知辛いということになりましょう。

「悪事千里を走る」の英訳は?

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最後に「悪事千里を走る」を英語で表現するとどうなるのかを確認しておきましょう。

「If you do evil, the news will travel fast.」

「悪事千里を走る」は英語で「If you do evil, the news will travel fast.」と表すことができます。「悪い行いをすれば、その話は早く世間に伝わる」という意味です。

「Bad news travels fast.」とすると、「よくない話は早くに伝わる」で、「悪事」とは意味が少し違ってきます。

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「悪事千里を走る」を使いこなそう

この記事では「悪事千里を走る」の意味・使い方・類語などを説明しました。

中国では「好事門を出でず」が上の句で「悪事千里を走る」が下の句。日本では多くの場合、下の句のみ。対にして対比させるのはいかにも中国的ですが、日本では、「悪事千里を走る」の句こそが大事だということでもっぱらこちらを使っているのでしょう。昔の日本人が、悪事を行なってはいけない、という警告の面を重視して下の句を単独で使うようになったのだと考えることもできます。

筆者は昔、高校生のころですが、人から借りたものを粗末に扱ったことが翌日にはもう周囲に知れていて、「え?どうして知ってるんですか?」と先輩にたずねたところ、「悪事千里を走る、だよ」と諭されました。苦い思い出です。

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国語言葉の意味

【慣用句】「悪事千里を走る」の意味や使い方は?例文や類語を教材系ライターがわかりやすく解説!

この記事では「悪事千里を走る」について解説する。

端的に言えば「悪事千里を走る」の意味は「悪事はすぐに世間に広まる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教材系のライターを10年経験した梨子なしこ太朗吉を呼んです。一緒に「悪事千里を走る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/梨子なしこ太朗吉

本や雑誌を作り続ける文章職人。参考書から音楽誌まで、娯楽と言葉と実用をむすびつけることを自らも楽しみつつ、分かりやすく伝える。

「悪事千里を走る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「悪事千里を走る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「悪事千里を走る」の意味は?

「悪事千里を走る」には、次のような意味があります。

悪い行いはすぐに世間に知れ渡る。

出典:goo辞書

悪い行いほど世間にすぐに広まるのは、その話を聞いた人がすぐに別の人に話してしまうからですね。

ではなぜ良い話よりも悪い話が伝わりやすいのでしょうか。それは悪い話は人々の生存や危険にかかわる場合が多いからでしょう。人間も動物ですから、誰もがみずからの生存を脅かすものには敏感です。一方で良い話というのは、他人の善行であれば、知ったところで危険の察知にも、獲物のありかなど利益となることについての情報獲得にもなりませんから重要なこととは言えませんし、儲け話のように誰にとっても利益になる話だと、情報を独り占めしようという人は多いのですから、情報は伝達されにくくなります。

ということで危険情報でもある誰かの悪行の方が早く、遠くまで伝わるという説明が可能でしょう。

「悪事千里を走る」の語源は?

次に「悪事千里を走る」の語源を確認しておきましょう。

これは中国の古書にある、「好事門を出でず、悪事千里を行く」から来たもので、良い行いはなかなか世に知られることはなく、悪い行いはすぐに世に広まる、ということを表しています。

日本では後半部分だけを言う場合が多いのですが、中国では今もこの対句の状態で使うことが多いようです。対句にするとまた別の味わいがありますね。

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