この記事では「鵜の目鷹の目」について解説する。

端的に言えば「鵜の目鷹の目」の意味は「獲物を探すような鋭い目つきのこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教師や講師としても教えることに関わってきた「やぎしち」を呼んです。一緒に「鵜の目鷹の目」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/やぎしち

雑学からビジネス文章まで手掛ける現役ライター。
国語の中学・高校教諭の資格も持ち、予備校講師の経験も。言葉を大切にした文章を心掛けている。

「鵜の目鷹の目」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「鵜の目鷹の目(うのめ・たかのめ)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「鵜の目鷹の目」の意味は?

「鵜の目鷹の目」には、次のような意味があります。

鵜や鷹が獲物を求めるように、熱心にものを探し出そうとするさま。また、その目つき。「鵜の目鷹の目で掘り出し物を探す」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「鵜の目鷹の目」

この言葉は「鵜(う)が魚を、鷹(たか)が小鳥を探すように、熱心にものを探そうとする様子、目つき」という意味の慣用表現です。「獲物を狙うハンターの目」を表現していると考えて良いでしょう。そのため、その熱心さも「利益を求める貪欲さ」や「欲求を満たそうとする強い思い」などが含まれていることが大切です。

誰かが誰かに対して「鵜の目鷹の目」で見ているとしたら、その熱心さが強すぎて「粗や欠点を探している」意味を帯びてしまうこともあるでしょう。

実際に「鵜」と「鷹」を使った猟法をご存じでしょうか?「鵜飼(うかい)」は岐阜県長良川で行われるとても有名なものがあります。「鷹狩(たかがり)」は世界各地に存在し、紀元前から続いているというのも驚きです。興味があればぜひ調べてみましょう。自分なり調べると、記憶に定着しやすいですよ。

「鵜の目鷹の目」の語源は?

この言葉は、いくつかの文献に見ることが出来ます。江戸時代、平賀源内による『根無草(ねなしぐさ)』。それより以前の室町時代であれば、臨済宗の僧、惟高妙安(いこうみょうあん)による『玉塵抄(ぎょくじんしょう)』などがあります。

『玉塵抄』では「鵜の目鷹の目とことわざに云ふぞ」と、この時代から既に「ことわざに」言われていたそう。鵜も鷹も、現代と比べればもっと多く生息し、身近な存在だったでしょうから、そうした中で自然と生まれた言葉なのかもしれませんね。

\次のページで「「鵜の目鷹の目」の使い方・例文」を解説!/

「鵜の目鷹の目」の使い方・例文

「鵜の目鷹の目」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

・新入社員が何かやらかすのではないかと、古株の社員が鵜の目鷹の目で油断なく見張っては、逐一注意している。

・有名アイドルのスクープを何とかしてゲットしようと、記者たちが鵜の目鷹の目で監視しているため、彼らはまともな日常生活など送れない。

・姉と婚約者の買い物に付き合ったが、周りも気にせず夢中でジュエリーを選ぶ鵜の目鷹の目な姉の姿に、これは旦那は大変だなと僕は冷めた気持ちで思った。

何かを強く欲している様子」というイメージが伝わりますでしょうか。例文一番目のような使い方であれば「粗探しや欠点探し」といったニュアンスも出てきますね。

監視するから逆に失敗してしまうということもありますから、例文二番目のような使い方も含めて、行動する人に対して「やり過ぎだ」とか「度を越している」という非難の気持ちも含まれるかもしれません。

例文三番目のように、「まるで獲物を追う獣のようだ」とコミカルな表現ならばいいのですが、わざわざこの表現が使われる場合は、あまりいい意味にはならないことも多いかもしれません。読解問題で見かけたら、行動する人が誰でどんな意図を持っているのかに注意しましょう。

「鵜の目鷹の目」の類義語は?違いは?

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「鵜の目鷹の目」の類義語には、「血眼になる」「目の色を変える」などが考えられます。

「血眼になる」

「血眼(ちまなこ)になる」は「何かに夢中になって奔走するようす」のこと。そういった様子を「一心不乱(いっしんふらん)」と表現したりもしますね。

「夢中」には「我を忘れる」という意味があり、必ずしも「楽しくて熱中している」など良い意味ではないことがあります。また、この言葉には「怒りで目が血走っている」という恐ろしい意味も。「鵜の目鷹の目」には「怒り」の意味はありません。合わせて押さえておきましょう。

\次のページで「「目の色を変える」」を解説!/

前に買った宝くじが当たっていたはずなんだ、と叔父は机をひっくり返して血眼になって探している。

「目の色を変える」

「目の色を変える」は「怒ったり驚いたり、熱中したりして目つきを変えること」。

急に感情が高ぶって、目つきが鋭くなるイメージでしょうか。この言葉が使われる場合、この「急に」というニュアンスが含まれることが多くあります。状況がどんな変化をしたのか、に注目するといいでしょう。

彼が高学歴高収入独身彼女無し、と聞いた途端、やる気がなかった合コン女子たちが一気に目の色を変えた。

「鵜の目鷹の目」の対義語は?

「鵜の目鷹の目」の対義語は「静観する」「傍観する」などが考えられます。

「静観する」「傍観する」

「静観する」は「静かに見ていること」。「傍観する」は「傍ら(かたわら)で見ていること」。どちらにも「その出来事に積極的に関わらない」というニュアンスがある言葉です。

そうしているのは優しさかもしれませんし、ただ興味がないだけかもしれませんが、「鵜の目鷹の目」で見られているのとではどちらがいいか考えてしまいますね。

・二人の激しい言い争いの横で、彼は静観を決め込んで何も言わない。

・子供が自転車に乗れるようになるには、いつも手を出すのではなく傍観していることも必要だ。

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「鵜の目鷹の目」の英訳は?

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「鵜の目鷹の目」の英語訳は「keep one's eyes open for O」「with sharp eyes」などがいいでしょう。

「keep one's eyes open for O」「with sharp eyes」

「keep one's eyes open for O」は、「Oから目を離さないでいる」。「目をキープ」するため「見張っている」というニュアンスが表現できます。

「with sharp eyes」は、「鋭い目つきで」。こちらは「鋭い視線」であることを強調しています。「監視する(watch)」「睨む(stare)」といった動詞と合わせて使いましょう。

どちらも、なぜその行動を取るのかを推察できる文脈にするとなお良いでしょう。以下の例文なら、「妹が小さいため」「男がとても怪しいため」などになりますね。確認してみてください。

When my parents are out,I have to keep my eyes open for my sister.
両親が外出している時、僕は鵜の目鷹の目で妹を見ていないといけない。

The policeman watch for that strangeman with sharp eyes.
警官はあの怪しい男を、鵜の目鷹の目で監視している。

「鵜の目鷹の目」を使いこなそう

この記事では「鵜の目鷹の目」の意味・使い方・類語などを説明しました。

監視や粗探しのような意味合いが含まれることが多い言葉ですが、純粋に強く求める気持ちでも使える表現です。言葉の由来となった動物たちの狩りのシーンは、動画や写真などでも見ることが出来ます。その姿に、そんな純粋さを見出すこともできるでしょう。

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【慣用句】「鵜の目鷹の目」の意味や使い方は?例文や類語を元予備校講師がわかりやすく解説!

この記事では「鵜の目鷹の目」について解説する。

端的に言えば「鵜の目鷹の目」の意味は「獲物を探すような鋭い目つきのこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教師や講師としても教えることに関わってきた「やぎしち」を呼んです。一緒に「鵜の目鷹の目」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/やぎしち

雑学からビジネス文章まで手掛ける現役ライター。
国語の中学・高校教諭の資格も持ち、予備校講師の経験も。言葉を大切にした文章を心掛けている。

「鵜の目鷹の目」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「鵜の目鷹の目(うのめ・たかのめ)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「鵜の目鷹の目」の意味は?

「鵜の目鷹の目」には、次のような意味があります。

鵜や鷹が獲物を求めるように、熱心にものを探し出そうとするさま。また、その目つき。「鵜の目鷹の目で掘り出し物を探す」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「鵜の目鷹の目」

この言葉は「鵜(う)が魚を、鷹(たか)が小鳥を探すように、熱心にものを探そうとする様子、目つき」という意味の慣用表現です。「獲物を狙うハンターの目」を表現していると考えて良いでしょう。そのため、その熱心さも「利益を求める貪欲さ」や「欲求を満たそうとする強い思い」などが含まれていることが大切です。

誰かが誰かに対して「鵜の目鷹の目」で見ているとしたら、その熱心さが強すぎて「粗や欠点を探している」意味を帯びてしまうこともあるでしょう。

実際に「鵜」と「鷹」を使った猟法をご存じでしょうか?「鵜飼(うかい)」は岐阜県長良川で行われるとても有名なものがあります。「鷹狩(たかがり)」は世界各地に存在し、紀元前から続いているというのも驚きです。興味があればぜひ調べてみましょう。自分なり調べると、記憶に定着しやすいですよ。

「鵜の目鷹の目」の語源は?

この言葉は、いくつかの文献に見ることが出来ます。江戸時代、平賀源内による『根無草(ねなしぐさ)』。それより以前の室町時代であれば、臨済宗の僧、惟高妙安(いこうみょうあん)による『玉塵抄(ぎょくじんしょう)』などがあります。

『玉塵抄』では「鵜の目鷹の目とことわざに云ふぞ」と、この時代から既に「ことわざに」言われていたそう。鵜も鷹も、現代と比べればもっと多く生息し、身近な存在だったでしょうから、そうした中で自然と生まれた言葉なのかもしれませんね。

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