端的に言えば、「白羽の矢が立つ」は「多くの中から選び出される」という意味です。しかし、元々の意味と現在使われている意味では大きな変化がある。語源から意味の変遷やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んです。一緒に「白羽の矢が立つ」の意味、語源、使い方などを見ていきます。
- 「白羽の矢が立つ」真逆の2つの意味があるってホント?
- 「白羽の矢が立つ」の2つの意味
- 白羽の矢が”立つ””当たる”正しいのはどっち?
- 「白羽の矢が立つ」の語源に迫る!
- 元々はいけにえの目印
- 今では「白羽の矢」はラッキーアイテムに!
- 「白羽の矢が立つ」の例文をチェックして使い方を学ぼう!
- 「白羽の矢が立つ」を使ってみよう!
- 良い意味か悪い意味かはケースバイケース?
- 白羽の矢が立つ」の類義語
- 良い意味の類義語:「抜擢」「選抜」
- 悪い意味の類義語:「貧乏くじを引く」「お鉢が回る」
- 「白羽の矢が立つ」の英訳は?
- The choice falls on
- be singled out
- 「白羽の矢が立つ」を自在に使いこなそう!
この記事の目次
ライター/ユーリ
日本放送作家協会会員。シナリオ、エッセイをたしなむWebライター。言葉の美しさ、面白さ、奥深さをやさしく解説していく。
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「白羽の矢が立つ」という言葉には、下記のような2つの意味があります。
(1) 多くのなかから犠牲者として選び出される。
(2) 多くのなかから特に指定して選び出される。また、ねらいをつけられる。
出典:精選版 日本国語大辞典
「多くの中から選び出される」ことは同じですが、(1)は不運なのに対して(2)は幸運に恵まれており、意味はまったく逆です。
白羽の矢が”立つ””当たる”正しいのはどっち?
ところで、「白羽の矢が立つ」ではなく「白羽の矢が当たる」という言い方を使う人がいるかもしれませんね。正しいのはどちらでしょう。矢は的に当てるものだから「当たる」が正しいと思っていませんか?「白羽の矢が刺さる」はどうでしょうか。
文化庁では平成7年度から「国語に関する世論調査」を実施して、結果を公表しています。毎年、慣用句でどちらの言い方を使うかという設問があるのですが、平成29年度の調査では、「白羽の矢が立つ」に白羽の矢が立ち(選ばれ)ました。結果は下記のとおりです。
「白羽の矢が立つ」のほうを使うと答えた人 75.5%
「白羽の矢が当たる」のほうを使うと答えた人 15.1%
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