この記事では「百尺竿頭(ひゃくしゃくかんとう)」について解説する。

端的に言えば「百尺竿頭」の意味は「最高地点」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「百尺竿頭」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「百尺竿頭」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「百尺竿頭」の意味や使い方を見ていきましょう。

「百尺竿頭」の意味は?

まずは、国語辞典での定義から。「百尺竿頭」には、次のような意味があります。

一〇〇尺もある長い竿(さお)の先。ひゃくせきかんとう。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「百尺竿頭」

続いて、この「百尺竿頭」を用いた慣用句も押さえておきます。

すでに頂点に達しているけれども、さらに一歩をすすめる。十分言葉を尽くしている上に、さらに一歩すすめて説く。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「百尺竿頭に一歩を進む」

「百尺竿頭」をしっかりと理解するには、「百尺竿頭」自体の意味とそれを用いた慣用表現の両方を理解しておく必要があります。まずは、前者の「百尺竿頭」から。

これは、文字通り百尺もある竿の先頭の部分というのが本来の意味です。そこから転じて、頂点最高地点という意味が生まれました。

そして、慣用表現にはさらに「一歩を進む」とあります。これは、すでに最高地点にいるのにさらに上を目指す。

ひいては、最高よりもさらに良いものを目指すという意味が含まれています。また、「百尺」を「百丈」としたものも四字熟語として存在していますので、あわせて覚えておくとよいでしょう。

「百尺竿頭」の使い方・例文

「百尺竿頭」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、以下のように多くの場合で慣用表現の一部として用いられます。

私たちが開発した検索ツールは百尺竿頭にあるが、さらにより良いものにしていく努力は当然欠かせないものだ。

百尺竿頭一歩を進むというが、果たしてこれ以上の高みを目指すことにいったいどんな意味があるというのか。

我々は業界でもナンバーワンだと自負しているが、百尺竿頭一歩を進むの精神でさらに邁進したいと考えている。

まず「百尺竿頭(一歩を進む)」を理解する際に外せないのが、最も高い地点にいる(ある)ということです。逆に言うと、ここさえ外さなければ大きく意味を取り違えることはほぼありえません。

また、「百尺竿頭」を用いる際には「竿頭」が「竿灯(竿燈)」になってしまわないよう注意しましょう。特にスマホやPCの変換機能を用いる際には、細心の注意を払いましょう。

「竿灯(竿燈)」も「かんとう」と読むことと、秋田県の「竿灯まつり」でメジャーな存在でもあるからです。

#2 「百尺竿頭」の類義語は?違いは?

「百尺竿頭」のようにもっとも高い地点を表す言葉には、他にどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、中でも代表的なものを二つほど紹介していきます。

\次のページで「「国士無双」」を解説!/

「国士無双」

「国士無双」は、国中でもっとも優れた人物を言い表した言葉です。したがって、「百尺竿頭」の類義語だといっても差し支えないのではないでしょうか。

ただし、この四字熟語が表すのはあくまでも人物に限られます。物事に対しては使えないので、十分に注意をしておきましょう。

「至高無上」

「至高無上」もまた、「百尺竿頭」の類義語だといえる存在です。こちらは「国士無双」とは異なり、人間以外のものにも用いることができます。

この熟語の前半部を占める「至高」は、この上なく高い、つまりはいちばん高いという意味です。一方で後半部の「無上」にはこの上ないという意味があります。

つまり、これらは似た意味を持つ熟語同士だというわけです。それが二つ重なることで意味を強めていることは、いうまでもありませんね。

あなたがこの長沙市でも国士無双と呼ぶにふさわしい優れた武人であることを疑う者は、だれもいませんよ。

これら精選されたものの中でも、こちらの雪舟による掛け軸こそは、至高無上の存在だといってよかろう。

#3 「百尺竿頭」の対義語は?

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では、「百尺竿頭」の対義語は一体どのようにとらえればよいのでしょうか。最上位を示す言葉の反対は、最下位であるはずです。

ここでは、そのような意味を表す表現を二つほど見ていきます。

「乞食飯牛」

「乞食飯牛(きっしょくはんぎゅう)」は、最下層にいる人々を指す言葉です。したがって、「百尺竿頭」の対義語ともえいるのではないでしょうか。

この熟語の前半部を構成する「乞食」は、物乞いを意味します。一方、後半部の「飯牛」が表すのは牛車を引く牛の世話係です。

もちろん人間には限定されますが、もっとも低い位置を表すことばのひとつであることには違いありません。

「匹夫匹婦」

「匹夫匹婦(ひっぷひっぷ)」もまた、「百尺竿頭」の対義語としてとらえることのできるものです。「匹夫」も「匹婦」も、非常に低い身分の人間を意味します。

男性なら「匹夫」で女性ならば「匹婦」を用いるといった具合です。そんなわけで、「百尺竿頭」とは好対照の言葉だといえるのではないでしょうか。

では、これらの四字熟語を含む例文も、忘れずにチェックしておきましょう。

\次のページで「「百尺竿頭」の英訳は?」を解説!/

彼は乞食飯牛と揶揄された身分から自己をたたき上げ、ついには地方の県令にまで登りつめることに成功した。

そのような無知・無学をさらけ出すから、君たちは匹夫匹婦だと馬鹿にされるのがまだ分からないのか。

#4 「百尺竿頭」の英訳は?

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では、最後に「百尺竿頭」の英語訳についても確認しておきましょう。はたして、英語ではどのように言い表すのでしょうか。

「the very best」

「the very best」は、「百尺竿頭」の意味を表現するのにもっともシンプルな英語ではないでしょうか。「the best」だけでも「最良」を意味するところに、強調を表す形容詞の「very」が付いています。

この「very」は「とても、非常に」を表す副詞ではなく、「まさに」の意味を表す形容詞であることに注意してください。

「the highest level one can attain」

「the highest level one can attain」もまた、「百尺竿頭」の英語訳といっても差し支えありません。こちらの表現を直訳すると「人が到達できる最高のレベル」となります。

これは、まさに「百尺竿頭」が表す意味とほぼ同義であるといってもいいのではないでしょうか。

「百尺竿頭」を使いこなそう

この記事では「百尺竿頭」の意味・使い方・類語などを説明しました。この四字熟語が表すのは、という意味でしたね。

この四字熟語の出典は、「景徳伝灯録」という禅宗を代表する燈史です。とはいえ、原典にまであたって読み進めることは容易ではないでしょう。

ですから、みなさんはこの四字熟語とこれを含む慣用表現だけは確実に押さえておきましょう。そして、もしこの四字熟語を使う機会に恵まれたら、臆せずにどんどん使ってみてくださいね。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「百尺竿頭」の意味や使い方は?例文や類語も含めて現役文系講師が詳しくわかりやすく解説!

この記事では「百尺竿頭(ひゃくしゃくかんとう)」について解説する。

端的に言えば「百尺竿頭」の意味は「最高地点」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「百尺竿頭」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「百尺竿頭」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「百尺竿頭」の意味や使い方を見ていきましょう。

「百尺竿頭」の意味は?

まずは、国語辞典での定義から。「百尺竿頭」には、次のような意味があります。

一〇〇尺もある長い竿(さお)の先。ひゃくせきかんとう。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「百尺竿頭」

続いて、この「百尺竿頭」を用いた慣用句も押さえておきます。

すでに頂点に達しているけれども、さらに一歩をすすめる。十分言葉を尽くしている上に、さらに一歩すすめて説く。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「百尺竿頭に一歩を進む」

「百尺竿頭」をしっかりと理解するには、「百尺竿頭」自体の意味とそれを用いた慣用表現の両方を理解しておく必要があります。まずは、前者の「百尺竿頭」から。

これは、文字通り百尺もある竿の先頭の部分というのが本来の意味です。そこから転じて、頂点最高地点という意味が生まれました。

そして、慣用表現にはさらに「一歩を進む」とあります。これは、すでに最高地点にいるのにさらに上を目指す。

ひいては、最高よりもさらに良いものを目指すという意味が含まれています。また、「百尺」を「百丈」としたものも四字熟語として存在していますので、あわせて覚えておくとよいでしょう。

「百尺竿頭」の使い方・例文

「百尺竿頭」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、以下のように多くの場合で慣用表現の一部として用いられます。

私たちが開発した検索ツールは百尺竿頭にあるが、さらにより良いものにしていく努力は当然欠かせないものだ。

百尺竿頭一歩を進むというが、果たしてこれ以上の高みを目指すことにいったいどんな意味があるというのか。

我々は業界でもナンバーワンだと自負しているが、百尺竿頭一歩を進むの精神でさらに邁進したいと考えている。

まず「百尺竿頭(一歩を進む)」を理解する際に外せないのが、最も高い地点にいる(ある)ということです。逆に言うと、ここさえ外さなければ大きく意味を取り違えることはほぼありえません。

また、「百尺竿頭」を用いる際には「竿頭」が「竿灯(竿燈)」になってしまわないよう注意しましょう。特にスマホやPCの変換機能を用いる際には、細心の注意を払いましょう。

「竿灯(竿燈)」も「かんとう」と読むことと、秋田県の「竿灯まつり」でメジャーな存在でもあるからです。

#2 「百尺竿頭」の類義語は?違いは?

「百尺竿頭」のようにもっとも高い地点を表す言葉には、他にどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、中でも代表的なものを二つほど紹介していきます。

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