この記事では「身を粉にする」について解説する。

端的に言えば「身を粉にする」の意味は「苦労をいとわず努力すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「身を粉にする」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で慣用句を解説していく。

「身を粉にする」の意味・使い方まとめ

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それでは早速「身を粉にする」の意味・使い方を見ていきましょう。

「身を粉にする」の意味は?

「身を粉にする」には、次のような意味があります。

労力を惜しまず一心に仕事をする。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「身を粉にする」

「身を粉にする」は「みをこにする」と読みます。こちらの慣用句の場合は、「粉」は「こな」と読みません。読み方を間違えないように注意しましょう。「身を粉にする」の「身」は、あなた自身の「体」であり「心」だと思ってください。体を「粉」にするほど、身を砕いて働く様子から、努力を惜しまず一生懸命働くことを「身を粉にする」と表現するようになりました。

実際に人間が粉になったら大変なことですが、それだけ心身共にすり減るまで働くわけです。「粉」と表現することで、いかに大変で辛い思いをしてきたのか、伝わりやすいのではないでしょうか。会社や家族のために一生懸命尽くしてきた、もしくは頑張って働いてきた過程を表したい時に「身を粉にする」を使ってみてください。

「身を粉にする」の使い方・例文

「身を粉にする」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「身を粉にする」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.家族を支えるために、身を粉にして働き続けた。

2.ライバルに勝てる良い機会だ。身を粉にして戦い抜こう。

3.身を粉にして働くだけでなく、休息をとることも大切だ。

「身を粉にする」まで働く状況は、想像を絶するほど大変だといってよいでしょう。休む時間もなく、体は疲れ切っており、それでも出社して結果を出そうと働く。このような状況こそが「身を粉にする」といえます。だからこそ、自身のことを差すだけでなく、家族や同僚、友人の様子を表す場合に使ってもよいでしょう。なぜなら、本当に一生懸命働いている人ほど、「身を粉にしている」自覚がないからです。「父は身を粉にするまで働きました」と説明すれば、精根尽きるまで働いた姿が周囲に伝わるはずですよ。

ただし、近年では「身を粉にする」まで働くことは、あまりお勧めしません。とくに、体が疲れ切ることはあっても、心がすり減り続けるような職場は健全とはいえないからです。無自覚に「身を粉にして」働いている友人がいたら、「少し休んだら?」と声をかけてあげてください。

「身を粉にする」の類義語は?違いは?

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では、「身を粉にする」の類義語や違いをみていきましょう。

「身を砕く」

「身を粉にする」は、「身を砕く」と表現しても問題ありません、意味は、大変な苦労をすること。もしくは、ひどく悩み苦しむ姿を差す場合にも使われます。「身を粉にする」に比べたら、どちらかというとネガティブな状況を表す場合に用いられるといってよいでしょう。身が「粉」になるためには、「砕く」という作業が必要です。「身を粉にする」が「事後」ならば、「身を砕く」は「努力している最中」といえるのではないでしょうか。

「粉骨砕身」

「粉骨砕身(ふんこつさいしん)」の意味は、骨を粉にして身を砕くほどに、力の限り努力すること。すなわち、一生懸命働く様子を表しているといえるでしょう。使い方としては、「身を粉にする」と同じで構いません。たとえば、倒産寸前の会社を「粉骨砕身して働き立て直した」と表すことができますね。

ちなみに、よくある誤りで「粉骨砕心」や「粉骨細身」などがあります。「砕身」は、身を砕くほど苦労するという意味。「砕心」や「細身」にしてしまうと、意味が全く変わってしまいます。間違えないように注意してください。

\次のページで「「水火も辞さない」」を解説!/

「水火も辞さない」

「水火(すいか)も辞さない」の意味は、どのような苦難や危険もいとわず、物事に力を尽くすこと。近年ではあまり使われないことわざですが、覚悟を表すには良い慣用句ではないでしょうか。「水火」とは、たとえ水に溺れようが、火に焼かれるような苦しみがあろうが恐れない、という意味になります。「水火を辞さず」といっても問題ありません。「水火も辞さない覚悟です」といえば、相当な決意で挑もうとしているのだと相手に伝わるはずですよ。

「身を粉にする」の対義語は?

「身を粉にする」の意味は、「労力を惜しまず働くこと」でした。反対の意味となると「適当に働く」となるはずです。そこで今回は、「努力をしない」や「楽に暮らす」といった意味合いで、「身を粉にする」の対義語をみていきましょう。

「左団扇」

「左団扇」は「ひだりうちわ」と読みます。意味は、利き手でない左手で団扇(うちわ)を使うこと。その様子から「安楽に暮らす」という意味で使われるようになりました。優雅に左手で団扇をあおいでいるわけです。生活の心配をすることなく、のんびりと暮らしている様子を表しているといえるでしょう。そのため「左団扇の生活」などと表現します。忙しく仕事に追われている人からすれば、羨ましい生活といえますね。

「無為徒食」

「無為徒食(むいとしょく)」の意味は、何の仕事もせずに、ただ遊び暮らすこと。すなわち、何も努力をしていない、楽をしている状況といえますね。「無為」とは、何もしないでぶらぶらしているという意味。「徒食」は、働かず遊び暮らすという意味になります。身を粉にして働いている人からすれば羨ましい状況。ただし、生活していくためには働かなくてはいけません。「無為徒食」な日々は、ほどほどにしておきましょう。

「身を粉にする」の英訳は?

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では、「身を粉にする」を英語訳すると、どのような表現があるのでしょうか。

「work oneself to the bone」

「身を粉にする」だけでは難しいので、「身を粉にして働く」を英訳してみましょう。「oneself」は、対象人物によって「my」や「her」で構いません。「to the bone」は「骨の髄まで」や「徹底的に」という意味。「work oneself to the bone」は直訳すると「骨まで自分で働く」となり、「身を粉にして働く」として使えるでしょう。

\次のページで「「hard work」」を解説!/

「hard work」

大変さが弱まってしまうかもしれませんが、気軽に使うなら「hard work」はいかがでしょうか。「hard work」は、「一生懸命働く」や「骨が折れる仕事」という意味。「It's hard work」と言えば「身を粉にする仕事だ」と伝えることができるでしょう。「hard work」が「重労働」ならば、反対は「楽な仕事」となるので「easy work」と英訳することができますね。

「身を粉にする」を使いこなそう

この記事では「身を粉にする」の意味・使い方・類語などを説明しました。「身を粉にする」は、「大変」や「辛い」といった言葉を一切使っていないにも関わらず、懸命に働く様子を伝えることができます。「粉」というくらいですから、原型すら残していない身も心もサラサラになった状態。いかに無理をして頑張り続けたか、上手く表現された慣用句といえるのではないでしょうか。

「身を粉にする」は、物事に取り組む様子を表すだけでなく、決意表明として気持ちを表す場合にも使うことができます。必ず成し遂げたいことがあるならば、ぜひ「身を粉にする」を使って意志の強さをアピールしてみてください。

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国語言葉の意味

【慣用句】「身を粉にする」の意味や使い方は?例文や類語を本の虫ライターがわかりやすく解説!

この記事では「身を粉にする」について解説する。

端的に言えば「身を粉にする」の意味は「苦労をいとわず努力すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「身を粉にする」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で慣用句を解説していく。

「身を粉にする」の意味・使い方まとめ

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それでは早速「身を粉にする」の意味・使い方を見ていきましょう。

「身を粉にする」の意味は?

「身を粉にする」には、次のような意味があります。

労力を惜しまず一心に仕事をする。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「身を粉にする」

「身を粉にする」は「みをこにする」と読みます。こちらの慣用句の場合は、「粉」は「こな」と読みません。読み方を間違えないように注意しましょう。「身を粉にする」の「身」は、あなた自身の「体」であり「心」だと思ってください。体を「粉」にするほど、身を砕いて働く様子から、努力を惜しまず一生懸命働くことを「身を粉にする」と表現するようになりました。

実際に人間が粉になったら大変なことですが、それだけ心身共にすり減るまで働くわけです。「粉」と表現することで、いかに大変で辛い思いをしてきたのか、伝わりやすいのではないでしょうか。会社や家族のために一生懸命尽くしてきた、もしくは頑張って働いてきた過程を表したい時に「身を粉にする」を使ってみてください。

「身を粉にする」の使い方・例文

「身を粉にする」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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