この記事では「朱を入れる」について解説する。

端的に言えば「朱を入れる」の意味は「原稿を修正する」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教材系のライターを10年経験した梨子なしこ太朗吉を呼んです。一緒に「朱を入れる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/梨子なしこ太朗吉

本や雑誌を作り続ける文章職人。参考書から音楽誌まで、娯楽と言葉と実用をむすびつけることを自らも楽しみつつ、分かりやすく伝える。

「朱を入れる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「朱を入れる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「朱を入れる」の意味は?

「朱を入れる」には、次のような意味があります。

朱筆で、訂正・書き入れ・添削などをする。

出典:goo辞書

朱は、赤と同じ意味と考えてよいでしょう。「朱を入れる」は、文字等の書かれた原稿について、赤ペンなどで修正のための文字を書き込み、修正が必要な部分をわかりやすくしておくことです。

「朱筆」は赤字を入れるときに使う筆、または赤色の墨をつけた筆ですが、現代では、赤色のペンや赤鉛筆を使ったり、またパソコンなどの画面に赤字で修正を入れたりして「朱を入れる」ことが多いですね。

「朱を入れる」の語源は?

次に「朱を入れる」の語源を確認しておきましょう。

「朱」は、赤と同じ意味で、ここでは赤い文字のこと、また「入れる」は原稿に対して修正の文言などを書き込むこと。

本を作るときには、例えば紙の原稿に対して赤ペンで修正を書き加えていきます。言葉づかいの間違いを赤ペンで訂正したり、また印刷所が印刷するときのための指示を書き込んだりもしますね。

原稿の文字は黒にしておいて、修正の文字を赤で書き込めば、どこをどのように修正すればよいかがわかりやすくなるので、赤色を使うのです。

本を作るときだけでなく、通信教育で添削を行なうときにも、生徒の答案に対して赤いペンで添削の文字を書き入れることがあります。これも朱を入れる、ということになるわけです。

\次のページで「「朱を入れる」の使い方・例文」を解説!/

「朱を入れる」の使い方・例文

「朱を入れる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.情報学講座で研究論文を出版するというので、いま朱を入れているが、ソフトウェア、インストール、バックアップなどの基本用語以外に、難解なコンピュータ用語も多いので文章の訂正もなかなかできずに、添削どころではない状態だ。

2.辞典に収録する用語解説について各所に依頼したが、そのうち彼の原稿は、誤字がたくさんあって、また、表示精度の向上のため使用を制限した語句についての設定ルールも遵守されていないので、ページ当たりの修正や訂正の箇所が50以下にならず、誤植リスクが大きくてスケジュールの統制もとれず朱を入れるのに困っている。

3.経営関連の書籍編集にあたって、添付された会社法など適用法令や紛争事例の記録、とくに保証法関連について朱を入れているが、校閲はもっと質を向上させたいところだ。

原稿に対して赤字を入れて、試し刷りをして、また必要に応じて赤字を入れて試し刷り、というように、これを繰り返して本をつくっていきますが、的確で迅速な朱入れができないと、スケジュールも実現困難となってしまいます。

「朱を入れる」必要のない原稿を最初から作れるライターばかりだと出版も楽ですが、そうもいかないところが出版業界の大変なところでもあり、また楽しいところでもあるようです。一方で優秀な編集者はやたらと朱を入れない、というのも一面真理なようにも思えます。

原稿を作る人と本を出す人、この関係はいつも微妙な緊張感があるのが好ましい、と言えましょうか。

「朱を入れる」の類義語は?違いは?

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「朱を入れる」と似た意味を持つ言葉として、「校閲をする」や「加除訂正する」があります。

「校閲をする」

原稿について、内容や表現面での誤りがないか確認することが「校閲」で、校閲によって、原稿に修正が必要となれば、原稿に対して朱を入れることになります。

校閲を経て朱を入れられた原稿と、その原稿をもとに試し刷りをして作った原稿とが互いに整合しているかどうかを確かめるのが「校正」で、校正は校閲の一部を構成する、ということもできますね。

「朱を入れる」は校閲の結果として必要となる行為ですが、校閲そのものを指して「朱を入れる」という場合もあります。

\次のページで「「加除訂正する」」を解説!/

「加除訂正する」

原稿に対して、表現を加えたり、削ったり、修正をしたりすることです。

通常は校閲の結果、必要となってくる行為で、「朱を入れる」ことと同義と言えるでしょう。

「朱を入れる」の対義語は?

「朱を入れる」と反対の意味を持つ言葉としては、以下のようなものがあります。

「校了」

原稿や試し刷りについて、修正の必要な部分があれば、「朱を入れる」ことになりますし、修正の必要な部分がなければ、または、なくなれば、校正が終わったこととして「校了」となります。

校了となれば修正の必要な部分はないということなので、その後「朱を入れる」ことは原則としてなくなり、印刷の段階に進むわけです。

「朱を入れる」の英訳は?

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最後に「朱を入れる」を英語で表現するとどうなるのかを確認しておきましょう。

「correct a manuscript」

「朱を入れる」は英語で「correct a manuscript」と表すことができます。原稿を修正する、という意味です。例文も示しておきましょう。

The editor corrected manuscripts.

編集者が原稿に朱を入れた。

\次のページで「「朱を入れる」を使いこなそう」を解説!/

「朱を入れる」を使いこなそう

この記事では「朱を入れる」の意味・使い方・類語などを説明しました。

現代では文章は紙媒体だけでなくウェブも使うものです。ですから朱を入れるというのは古い言い方になるかもしれません。

それでも原稿をきちんと確認して、世の中に公開をするために必要な修正を施さなければならないのは、紙でもウェブでも同じです。

ブログの記事などは、自分で書いて即公開ということも多いですから、書く人と朱を入れる人が同一となってしまいますが、ぜひとも自分の書いた文章に朱を入れるつもりで点検するくせはつけておいたほうがよいでしょう。

ウェブ上の文章は、いつでも文章の中身を変えられるから、そこまで表現や内容に気をつける必要はないだろうと思う方もいるかもしれませんが、ごく短時間でも「公開がされている」ということに違いはありません。ブログやツイッターでは、公開に伴う責任を書き手が一手に引き受けなくてはならないわけですが、書き手と編集者が同一であり、また印刷の費用などもかからない、安価、迅速な表現手段だからこそ、公開には一層気をつけなければならない、そのためには「自分で自分の文章に朱を入れる」ということを覚えておく必要があるでしょう。

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国語言葉の意味

【慣用句】「朱を入れる」の意味や使い方は?例文や類語を教材系ライターがわかりやすく解説!

この記事では「朱を入れる」について解説する。

端的に言えば「朱を入れる」の意味は「原稿を修正する」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教材系のライターを10年経験した梨子なしこ太朗吉を呼んです。一緒に「朱を入れる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/梨子なしこ太朗吉

本や雑誌を作り続ける文章職人。参考書から音楽誌まで、娯楽と言葉と実用をむすびつけることを自らも楽しみつつ、分かりやすく伝える。

「朱を入れる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「朱を入れる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「朱を入れる」の意味は?

「朱を入れる」には、次のような意味があります。

朱筆で、訂正・書き入れ・添削などをする。

出典:goo辞書

朱は、赤と同じ意味と考えてよいでしょう。「朱を入れる」は、文字等の書かれた原稿について、赤ペンなどで修正のための文字を書き込み、修正が必要な部分をわかりやすくしておくことです。

「朱筆」は赤字を入れるときに使う筆、または赤色の墨をつけた筆ですが、現代では、赤色のペンや赤鉛筆を使ったり、またパソコンなどの画面に赤字で修正を入れたりして「朱を入れる」ことが多いですね。

「朱を入れる」の語源は?

次に「朱を入れる」の語源を確認しておきましょう。

「朱」は、赤と同じ意味で、ここでは赤い文字のこと、また「入れる」は原稿に対して修正の文言などを書き込むこと。

本を作るときには、例えば紙の原稿に対して赤ペンで修正を書き加えていきます。言葉づかいの間違いを赤ペンで訂正したり、また印刷所が印刷するときのための指示を書き込んだりもしますね。

原稿の文字は黒にしておいて、修正の文字を赤で書き込めば、どこをどのように修正すればよいかがわかりやすくなるので、赤色を使うのです。

本を作るときだけでなく、通信教育で添削を行なうときにも、生徒の答案に対して赤いペンで添削の文字を書き入れることがあります。これも朱を入れる、ということになるわけです。

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