この記事では「腕を振るう」について解説する。

端的に言えば「腕を振るう」の意味は「力を充分に出す」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教材系のライターを10年経験した梨子なしこ太朗吉を呼んです。一緒に「腕を振るう」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/梨子なしこ太朗吉

本や雑誌を作り続ける文章職人。参考書から音楽誌まで、娯楽と言葉と実用をむすびつけることを自らも楽しみつつ、分かりやすく伝える。

「腕を振るう」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「腕を振るう」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「腕を振るう」の意味は?

「腕を振るう」には、次のような意味があります。

自分の腕前・技能を存分に人に見せる。

出典:goo辞書

「腕を振るう」というと、どうも料理の場合に使うことが多いような気がしますが、辞書では、たんに「腕前」「技能」とありますので、もっと幅広く用いられてもよい言葉のように思えます。

なにかを一生懸命に作るという場合には、広く使えそうですね。

「腕を振るう」の語源は?

次に「腕を振るう」の語源を確認しておきましょう。

」は、「腕を上げる」などの場合と同様に、技芸の能力を指します。

振るう」は、大きく、振るように動かすことです。

そこで「腕を振るう」で、「技芸の能力を大きく動かす」つまり、能力を存分に発揮することとなります。

\次のページで「「腕を振るう」の使い方・例文」を解説!/

「腕を振るう」の使い方・例文

「腕を振るう」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.今日は彼女が来たので、料理の腕を振るってそれぞれの品の意味や素材の使い方まで説明して、自分の能力を明確に誇示してしまった。

2.株式投資の腕を振るって所属団体の収入、資産を増やし、利益を上げて営業にまでつなげることで個人でも記事や本が書けるようになり、ライターとして人気が出て記者クラブ会員にもなった。

3.あの人は帰属組織の自己業務範囲を越えてデザイン画像作成にまで腕を振るい、会社の売上高に貢献して年度の増収を実現させ、経営環境の厳しい中、当社の会計、業績が改善した。

誰かが腕を振るうと、たいてい良いことが起こるようですね。頑張ったけどあまりよい結果ではなかった場合、腕を振るったとは言いにくいようです。

たとえば、張り切って料理作りに頑張ったが思うような結果が得られなかった、誰からもおいしいとは言ってもらえなかった、ということはあっても、「料理の腕を振るったが、あまり客人の受けはよくなかった」とはならないもの。ある程度、良い結果を見越して使うべき言葉ですね。

「腕を振るう」の類義語は?違いは?

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「腕を振るう」と似た意味を持つ言葉として、「腕に縒りを掛ける」や「丹精込めて」があります。

「腕に縒りを掛ける」

自分の技量を存分に発揮しようと意気込むこと。「腕を振るう」というのが実際に力を出している状態だとすれば、「腕に縒(よ)りを掛ける」のは、振るう前に準備をしている状態です。

「縒る」は、糸をより合わせて強くし、これからする作業に備えること、一方「振るう」は、実際に動かしている状態ということですね。二つの言葉は時間的に近い場面で、つながりをもって使うことのできるものかもしれません。

\次のページで「「丹精込めて」」を解説!/

「丹精込めて」

「丹精込めて~する」というふうに使います。「丹精」は真心という意味で、「丹精込めて料理をつくる」となると、「料理に腕を振るう」と近い意味になりますね。

「丹」は赤い、という意味をもち、「丹精」は赤心(セキシン)、真心という意味になります。赤に「本当のもの」という意味があるわけです。

「腕を振るう」の対義語は?

「腕を振るう」と反対の意味を持つ言葉としては、以下のようなものがあります。

「手を抜く」

「手を抜く」は、もっている力を出し切らずに、ほどほどの力でことを行なうことを意味します。「力を抜く」というのも似た言葉ですね。

「抜く」は、なにかの中に入っているものを取り外すということで、力を抜けば、そこは「力のない状態」となり、手を抜けば、やはり「手」という管理する主体がなくなるので、そこからは力がなくなります。もっと言えば、集中力がなくなった状態になるということです。

腕を振るうときには、ある種、集中の状態がありますから、手を抜くのは腕を振るうことの反対の意味ということになるわけですね。

「投げやり」

ものごとをあまり熱心にやらずに、きちんと制御せず、ことの成り行きにまかせてしまうことです。事態を管理する、集中する、といったことを放棄している状態で、心がこもっていないことになります。

「腕を振るう」には、心をこめるという意味はありませんが、腕を振るうときには心の集中状態があるものです。ですから、投げやりは、腕を振るうとは反対の状態をあらわす言葉だと言えましょう。

「腕を振るう」の英訳は?

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最後に「腕を振るう」を英語で表現するとどうなるのかを確認しておきましょう。

「use one's skill」

「腕を振るう」は英語で「use one‘s skill」と表すことができます。例文も示しておきましょう。

\次のページで「「腕を振るう」を使いこなそう」を解説!/

He used his skill for cooking.

彼は料理の腕を振るった。

「腕を振るう」を使いこなそう

この記事では「腕を振るう」の意味・使い方・類語などを説明しました。

腕を思いきり振るここちよさ。これがこの言葉の原点でしょう。肩をぐるぐる回して腕を大きく振る、振り切る、力を出し切る、この感覚ですね。日々の精進で技量に磨きをかけて「腕を上げ」、その技量を発揮する機会が来たら「腕に縒りを掛けて」準備をし、準備を終えたら大いに「腕を振るって」人に喜んでもらうものを作る、これは人生の醍醐味。気持ちの良い言葉ですね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「腕を振るう」の意味や使い方は?例文や類語を教材系ライターがわかりやすく解説!

この記事では「腕を振るう」について解説する。

端的に言えば「腕を振るう」の意味は「力を充分に出す」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教材系のライターを10年経験した梨子なしこ太朗吉を呼んです。一緒に「腕を振るう」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/梨子なしこ太朗吉

本や雑誌を作り続ける文章職人。参考書から音楽誌まで、娯楽と言葉と実用をむすびつけることを自らも楽しみつつ、分かりやすく伝える。

「腕を振るう」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「腕を振るう」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「腕を振るう」の意味は?

「腕を振るう」には、次のような意味があります。

自分の腕前・技能を存分に人に見せる。

出典:goo辞書

「腕を振るう」というと、どうも料理の場合に使うことが多いような気がしますが、辞書では、たんに「腕前」「技能」とありますので、もっと幅広く用いられてもよい言葉のように思えます。

なにかを一生懸命に作るという場合には、広く使えそうですね。

「腕を振るう」の語源は?

次に「腕を振るう」の語源を確認しておきましょう。

」は、「腕を上げる」などの場合と同様に、技芸の能力を指します。

振るう」は、大きく、振るように動かすことです。

そこで「腕を振るう」で、「技芸の能力を大きく動かす」つまり、能力を存分に発揮することとなります。

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