この記事では「足が出る」について解説する。
端的に言えば、足が出るの意味は「赤字になること、ぼろが出ること」です。なぜ「足」という言葉を使っているか考えてみたことはあるか。
日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んです。「足が出る」の意味や語源をチェックし、例文や類義語などを見ていきます。

ライター/ユーリ

日本放送作家協会会員。シナリオ、エッセイをたしなむWebライター。時代によって変化する言葉の面白さ、奥深さをやさしく解説する。

「足が出る」の意味・語源・使い方

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さっそく「足が出る」の意味と語源をチェックし、例文で使い方を見ていきましょう。

「足が出る」の意味

まず、国語辞典で「足が出る」の意味をチェックしましょう。

1予算または収入よりも出費が多くなる。赤字になる。
2 隠しごとが現れる。ぼろがでる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「足が出る」

「足が出る」という言葉にはふたつの意味があります。一つは「予算や収入より出費のほうが多い」、つまり「赤字になる」ということです。二つめは「隠していたことがあらわになる」「ぼろが出る」という意味ですよ。意味がまったく異なっていますね。どうして「足」という言葉を使うのかも不思議です。

「足が出る」の語源は?

「足が出る」の語源は諸説あります。一つは予算が足りないのに着物を仕立てようとした説。着物は着る人の背丈にあわせて仕立てるものですが、予算にあわせた生地の長さで作ったら寸足らずになり、着たら足が出てしまったという話です。「赤字になる」という意味の語源ですね。

もう一つは、芝居で馬の足を演じていたのに、何かの拍子につい人間の姿を見せてしまったという説です。こちらは「ぼろが出る」という意味の語源ですよ。

ところで「足」には人間や動物の足以外にどんな意味があるのでしょうか。「足」の意味を国語辞典で調べてみましょう。

1
㋐動物の、胴体から分かれ、からだを支えたり歩行に使ったりする部分。
㋑くるぶしから先の部分。
2 物の下・末にあたる部分。
3
㋐歩くこと。走ること。また、その能力。
㋑雨・雲・風などの動くようすを足に見立てていう語。
4 行くこと。また、来ること。
5 移動の手段としての交通機関。乗りもの。
6 《「晋書」魯褒伝の「足無くして走る」から》金銭。ぜに。多く「おあし」の形で用いる。
7 餅などの粘り。
8 損失。欠損。また、借金。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「足」より抜粋

\次のページで「「足が出る」の使い方」を解説!/

6に「金銭」という意味がありますね。「お金には足がないのに足があるかのように世間を渡っていくこと」から、金銭のことを「足」といいます。『晋書』の「足無くして走る」に由来していますよ。

女房言葉(宮中に仕える女房が使っていた言葉)では丁寧語の「お」をつけて「御足(おあし)」といいます。たとえば「おあしがない」は「お金がない」という意味です。ずいぶん昔から「足」をお金の意味で使っていたのですね。

「足が出る」の使い方

例文で「足が出る」の使い方を見ていきましょう。

1.会長は「みんなが満足できる店を予約して」と言ったが、会計担当は「会費はひとり3000円で足が出ないようにして」と言った。
2.これまで何とか足が出ないように家計をやりくりしてきたが、食品も日用品も何もかも値上がりしていて、今月は赤字になりそうだ。
3.姑がわが家を訪れると急に連絡があったので、大急ぎでリビングだけ片づけた。何とか体裁を整えたと思ったのに、荷物を詰め込んだ和室を見られて足が出た。

最初の例文は、会長には良い店を予約するように頼まれ、会計には予算内で赤字が出ないように頼まれたということです。これを両立するのはなかなか大変ですね。2番目の例文は、家計が赤字にならないように頑張ってきたが、支出が多いので足が出そうだという意味です。3番目の例文は、リビングはきれいにしたのに、見られては困る和室を見られてボロが出てしまったということですよ。

「足が出る」の類義語

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「足が出る」と同じような意味あいの言葉には、どのような言葉があるのでしょうか。

「採算割れ」:採算がとれない

「採算」とは「利益があるかどうか、収入と支出を計算してみること」です。収支がひきあい利益があることを「採算が合う」「採算がとれる」といいます。「採算割れ」「原価より商品の市価のほうが下落するなどして採算がとれないこと」「利益がでないこと」という意味です。

「間尺(ましゃく)に合わない」:損になる

「間尺」とは「建築物の寸法」のほかに「損得の計算」「利害の割合」という意味があります。「間尺に合わない」は損得の計算が合わないことなので「損になる」「割に合わない」という意味です。

「馬脚(ばきゃく)を露(あらわ)す」:化けの皮がはがれる

「馬脚」は「馬の足」ですが、この場合は「芝居で馬の足を演じている役者」のことを指しています。「馬脚を露す」は「馬の足を演じている役者がうっかりその姿を見せてしまう」ことから「隠していたことがあらわれる」「化けの皮がはがれる」という意味になりました。

「露」には「むきだしにあらわす」「あらわれる」という意味があります。「露出(ろしゅつ)」「暴露(ばくろ)」という言葉がありますね。「現す」ではありませんので注意しましょう。

「尻尾を出す」:ぼろを出す

「尻尾」には「動物の尾」「尾に似たもの」「隠していたことが現れる端緒」という意味があります。「尻尾を出す」は、人間などに化けていた狐や狸が尻尾を出して正体を見破られることから「隠していたことが露見する」「ぼろを出す」という意味になりました。「尻尾をつかむ」は「他人の悪事の証拠を押さえる」という意味ですね。

\次のページで「「足が出る」の反対語」を解説!/

「足が出る」の反対語

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「足が出る」と反対の意味あいの言葉には、どのような言葉があるのでしょうか。

「お釣りが来る」:十分すぎてあまりが出る

「お釣りが来る」「十分すぎるくらい十分だ」「十分すぎてあまりが出る」という意味です。損得を比べてみて、ひきあう以上の得があったり効果があったりする、というニュアンスで使われることが多いですね。「赤字になる」という意味の反対語です。

「足が出る」の英訳

英語で「足が出る」をどのように表現するか見ておきましょう。

「exceed the budget」:予算をオーバーする

「exceed」は「超える」、「budget」は「予算」「経費」「生活費」などの意味があります。「a low budget movie」は「低予算の映画」、「on budget」は「予算通りに」ですね。exceed the budget「予算から足が出る」です。go over the budgetとも言いますよ。

「足が出る」を使いこなそう!

この記事では、「足が出る」の意味や語源を調べ、使い方や類義語などを解説しました。

「足が出る」にはふたつの意味があります。一つは「予算や収入より出費のほうが多い」「赤字になる」こと。二つめは「隠していたことがあらわになる」「ぼろが出る」ことです。語源については諸説ありますが、ずいぶん昔から「足」を「金銭」という意味で使っていたことがおわかりいただけたでしょうか。

実生活で「足が出る」ことは避けたいですが、言葉の「足が出る」は使いこなせるようになってくださいね。

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国語言葉の意味

「足が出る」の「足」ってなに?意味・語源・類義語などを日本放送作家協会会員がわかりやすく解説

この記事では「足が出る」について解説する。
端的に言えば、足が出るの意味は「赤字になること、ぼろが出ること」です。なぜ「足」という言葉を使っているか考えてみたことはあるか。
日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んです。「足が出る」の意味や語源をチェックし、例文や類義語などを見ていきます。

ライター/ユーリ

日本放送作家協会会員。シナリオ、エッセイをたしなむWebライター。時代によって変化する言葉の面白さ、奥深さをやさしく解説する。

「足が出る」の意味・語源・使い方

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さっそく「足が出る」の意味と語源をチェックし、例文で使い方を見ていきましょう。

「足が出る」の意味

まず、国語辞典で「足が出る」の意味をチェックしましょう。

1予算または収入よりも出費が多くなる。赤字になる。
2 隠しごとが現れる。ぼろがでる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「足が出る」

「足が出る」という言葉にはふたつの意味があります。一つは「予算や収入より出費のほうが多い」、つまり「赤字になる」ということです。二つめは「隠していたことがあらわになる」「ぼろが出る」という意味ですよ。意味がまったく異なっていますね。どうして「足」という言葉を使うのかも不思議です。

「足が出る」の語源は?

「足が出る」の語源は諸説あります。一つは予算が足りないのに着物を仕立てようとした説。着物は着る人の背丈にあわせて仕立てるものですが、予算にあわせた生地の長さで作ったら寸足らずになり、着たら足が出てしまったという話です。「赤字になる」という意味の語源ですね。

もう一つは、芝居で馬の足を演じていたのに、何かの拍子につい人間の姿を見せてしまったという説です。こちらは「ぼろが出る」という意味の語源ですよ。

ところで「足」には人間や動物の足以外にどんな意味があるのでしょうか。「足」の意味を国語辞典で調べてみましょう。

1
㋐動物の、胴体から分かれ、からだを支えたり歩行に使ったりする部分。
㋑くるぶしから先の部分。
2 物の下・末にあたる部分。
3
㋐歩くこと。走ること。また、その能力。
㋑雨・雲・風などの動くようすを足に見立てていう語。
4 行くこと。また、来ること。
5 移動の手段としての交通機関。乗りもの。
6 《「晋書」魯褒伝の「足無くして走る」から》金銭。ぜに。多く「おあし」の形で用いる。
7 餅などの粘り。
8 損失。欠損。また、借金。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「足」より抜粋

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