化学

3分で簡単「理想気体」実在気体との違いは?元研究員がわかりやすく解説

1-4.気体定数と理想気体の状態方程式

ボイル・シャルルの法則の K(一定)の部分を特定したいので、1 mol の理想気体は 0 ℃、 1 atm のとき 22.4 L という決まっている値を代入しましょう。

P(圧力・atm)× V(体積・L)/ T(絶対温度・K)= K(一定)

P は 1 atm、V は 22.4 L、T は 0 ℃= 273 K なので

K = 1 × 22.4 / 273 = 0.082051

これは 1 mol の時の K であり、この定数は n(mol)× R(気体定数 = 約 0.082)と言い換えることができます。つまり、

P(圧力・atm)× V(体積・L)= n(mol)× R(気体定数=約 0.082)× T(絶対温度・K)

圧力、体積、モル、温度のうちの 3 つの要素が決まれば、残りの 1 つがわかるというとても便利な公式です。

2.理想気体と実在気体

ここまでおさらいしてきた、ボイル・シャルルの法則と気体の状態方程式は理想気体で成り立つ方程式です。逆に言ってしまえば、実在気体(現実にある気体)ではこの方程式は成り立たないということになります。

しかし理想気体の状態方程式はとても便利で、できるだけ使いたいのです。実在する気体は、なぜ理想気体と同じ値をとらないのでしょうか?

2-1.理想気体と実在気体の違いとは

理想気体の状態方程式に従う理想気体というのは低温や高圧でも液体になったり固体になったりしません。実在する気体は、温度下がったら液体になったり固体になったりしますよね。

しかしボイル・シャルルの法則と理想気体の状態方程式は、気体の時に限り使える公式なので状態変化はしないと考えなければ使えなくなってしまいます。

ここで、理想気体と実在気体の違いについてまとめておきましょう。

理想気体は気体の状態方程式に厳密に従い分子自身の体積はゼロ分子間力もゼロ、温度や圧力がどのような値でも気体の状態を保ちます

対して実在気体は気体の状態方程式に厳密には従わず分子自身の体積を持っており分子間力もあり、温度や圧力によって液体になったり固体になったり状態が変化するのです。

2-2.理想気体と実在気体をグラフで比べる

2-2.理想気体と実在気体をグラフで比べる

image by Study-Z編集部

上のグラフは、理想気体と実在気体の P(圧力)による PV / RT を表したものです。理想気体の PV / RT は一定値をとるので、圧力が高くなっても同じ値を示しています。

しかし、青色で示した分子間力が小さい気体(例えば水素分子、窒素分子、メタンなど)は圧力が増加するほど PV / RT の値は大きくなっていき、理想気体から離れていくのです。

そして、紺色で示した分子間力が大きい気体(例えばアンモニア、二酸化炭素など)は一度 PV / RT の値が小さくなり底まで落ちた後は、こちらもどんどん大きくなっていって理想気体から離れていってしまいます。

なぜこのような挙動になってしまうかというと、温度が低い場合熱による動き回り(熱運動)が小さくなりますね。このため、分子間に働く引き付け合う力(分子間力)による相互作用の影響が大きく出て理想気体から離れてしまうのです。

そして、圧力が高くなると気体の体積は小さくなり、分子同士の距離が近くなる分子間力による影響が大きく出て理想気体から離れていきます。また、圧力が高くなると気体の体積が小さくなることで、分子自身の体積による影響が大きくなりさらに理想気体から離れる結果になるのです。

2-3.理想気体に近づけるにはどうしたらよいか

理想気体と実在気体を比べることで、実在気体を理想気体に近づけるには、温度を高くして圧力を低くすることが必要という事が分かりました。

温度を高くすれば、気体分子の熱運動が大きくなることで分子間力が無視できるようになります。

そして圧力を低くすれば、気体の体積が大きくなることで気体分子自身の体積による影響が無視できるようになり、さらに気体分子同士の距離が離れることにより分子間力も無視できるようになるということですね。

\次のページで「理想気体とはボイル・シャルルの法則と気体の状態方程式を厳密に成り立たせる気体のこと」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: