この記事では「腹を割る」について解説する。

端的に言えば「腹を割る」の意味は「本心をさらけ出すこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「腹を割る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で四字熟語を解説していく。

「腹を割る」の意味・使い方まとめ

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それでは早速「腹を割る」の意味・使い方を見ていきましょう。

「腹を割る」の意味は?

「腹を割る」には、次のような意味があります。

本心を打ち明ける。隠さずに心の中をさらけ出す。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「腹を割る」

「腹を割る」というと、筋肉を鍛える姿を想像するかもしれませんが、慣用句の意味は全く違います。「腹」は、体の部位を差しているのではなく、「心中」や「本心」といった「心」を差しているといえるでしょう。「腹を割る」の「割る」は、打ちあけるといった意味合いで「開く」だと思ってください。「腹を割る」は、心を開く様子から、心の内を包み隠さず話したい時に用いられる慣用句になります。

「腹を割る」の使い方・例文

「腹を割る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「腹を割る」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.腹を割って話せば、より意義のある議論ができるはずだ。

2.今回のプロジェクトに関しては、腹を割って話し合おうじゃないか。

3.腹を割って話せる友人なので、気軽に相談することができた。

「腹を割る」は、そのまま使うというよりは「腹を割って~」といった言い回しで使われることが多いです。「腹を割る」というと、どうしても腹筋を割るといったトレーニングを想像してしまいがち。「腹を割って話す」と覚えてしまったほうが、日常会話としても使いやすいでしょう。

やはり、仕事やプライベート関係なく、社会人になると無意識に建前で会話をする機会が増えるのではないでしょうか。立場や状況を考慮すると、なかなか本音で話すことができません。本当は言いたいことがあっても、本音を胸にしまってしまうことでしょう。しかし、真剣に物事に取り組みたい、もしくはもっと親しくなりたい場合には、建前など必要ないはずです。自分が相手と本心で話し合いたいと思った時、「腹を割って話そう」と提案してみてください。

「腹を割る」の類義語は?違いは?

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では、「腹を割る」の類義語や違いをみていきましょう。

「底を割る」

「底を割る」の意味は、「腹を割る」と全く同じ。本心を打ち明けることを「底を割る」と表現します。「底」は「奥深いところ」といった意味もあるので、「底」を「本心」だと思うとよいでしょう。使い方も「腹を割る」と同様に、「底を割って話し合おう」と使ってみてください。

「腹心を布く」

「腹心(ふくしん)を布(し)く」の意味は、思っていることを残らず打ち明けること。「腹底」とは「心の奥底」という意味。もしくは、心から信頼していることを「腹心」ということもあります。「布く」は「しく」と読みますが、「敷く」と書かないように注意してください。「布く」は、広くゆきわたらせるという意味。心の奥底をゆきわたらせるのですから、包み隠さず話す様子が想像できるのではないでしょうか。

\次のページで「「胸襟を開く」」を解説!/

「胸襟を開く」

「胸襟(きょうきん)を開く」の意味は、思っていることを隠すことなく打ち明けること。「胸襟」は「胸の内」という意味。「襟(えり)」という言葉に「心」という意味が含まれています。そのため「胸襟」でなくとも「襟を開く」という表現でも問題ありません。「胸襟を開いて語り合っていた」と言えば「本音で語り合っていた」のだと捉えることができますね。

「腹を割る」の対義語は?

「腹を割る」は「本心を打ち明ける」という意味でした。反対となると「本心を隠す」ということになるはずです。そこで今回は、本心を「見せない」や「隠す」といった意味合いで「腹を割る」の対義語をみていきましょう。

「胸に納める」

「胸に納める」の「胸」は「心の中」だと思ってください。意味は、心の中にしまい込んで、口に出さないこと。同じ意味で「腹に納める」や「胸に畳む」と表現することもできます。「納める」自体にも様々な意味がありますが、「胸に納める」の場合は、しまって表に出さないという意味。考えていることや、分かっていることでも、他人に言わないことがありますよね。そのような時に「胸に納めておこう」と表現するとよいでしょう。

「韜晦」

難しい漢字を使っていますが「韜晦」は「とうかい」と読みます。意味は、自分の本心や才能をつつみ隠すこと。「韜(とう)」は、訓読みをすると「つつむ」や「隠す」と読むことができます。さらに「晦」という言葉自体が「くらます」という意味であるため、「本心を隠す」や「身を隠す」などを「韜晦」と一言で表現するようになりました。

ただし、現代では「韜晦」が使われることは少なくなってきています。日常会話で使うと、相手がキョトンとしてしまうかもしれません。「韜晦」は、文章で使う程度にとどめておくとよいでしょう。

「爪を隠す」

「爪を隠す」の意味は、才能を人に見せないようにすること。「本心」ではなく「才能」を隠している場合に「爪を隠す」と表現するとよいでしょう。なぜ「爪」なのかと思われるかもしれませんが、「能ある鷹は爪を隠す」ということわざが由来だといわれています。実力のある人は、自分の能力をひけらかすようなことはしません。鋭い爪で獲物を狙う鷹も、普段は爪をしまっておき、いざという時に本領発揮するはずです。自分自身に才能があると思うならば、「爪を隠す」ことも大事なのではないでしょうか。

「腹を割る」の英訳は?

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では、「腹を割る」を英訳すると、どのような表現があるのでしょうか。

\次のページで「「heart to heart」」を解説!/

「heart to heart」

「heart」は「心」という意味。「heart to heart」と同じ単語を続けることによって、「腹を割って」として使うことができます。たとえば「彼と腹を割って話がしたい」を英訳するならば「I want to have a heart to heart with him」と表現できるでしょう。

「frankly」

フランクに「腹を割って話そう」と話しかけるなら、「frankly」はいかがでしょうか。「frankly」は「垂直に」や「あからさまに」という意味。「frankly」を使って「腹を割って話そう」を英訳するならば「Let's talk frankly」と表現するとよいでしょう。

「腹を割る」を使いこなそう

この記事では「腹を割る」の意味・使い方・類語などを説明しました。「腹を割る」は、文字の並びだけでは意味が伝わりにくい印象ですが、だからこそ気軽に使いやすい慣用句ではないでしょうか。「本心」や「本音」を聞きたいと言われてしまうと、不思議と肩に力が入り、むしろ本音が言いづらくなってしまうかと思います。「腹を割って話そう」と言い換えるだけで、柔らかい表現へと変わり、笑顔で話し合いやすくなるといえるでしょう。

頻繁に本音で話す必要はありませんが、腹を割って話せる相手がいるだけで、自分自身も気持ちが安定するものです。心が疲れている時こそ、「腹を割る」を使って話しかけてみてはいかがでしょうか。

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【慣用句】「腹を割る」の意味や使い方は?例文や類語を本の虫ライターがわかりやすく解説!

この記事では「腹を割る」について解説する。

端的に言えば「腹を割る」の意味は「本心をさらけ出すこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「腹を割る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で四字熟語を解説していく。

「腹を割る」の意味・使い方まとめ

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それでは早速「腹を割る」の意味・使い方を見ていきましょう。

「腹を割る」の意味は?

「腹を割る」には、次のような意味があります。

本心を打ち明ける。隠さずに心の中をさらけ出す。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「腹を割る」

「腹を割る」というと、筋肉を鍛える姿を想像するかもしれませんが、慣用句の意味は全く違います。「腹」は、体の部位を差しているのではなく、「心中」や「本心」といった「心」を差しているといえるでしょう。「腹を割る」の「割る」は、打ちあけるといった意味合いで「開く」だと思ってください。「腹を割る」は、心を開く様子から、心の内を包み隠さず話したい時に用いられる慣用句になります。

「腹を割る」の使い方・例文

「腹を割る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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