最後に、冷暖房の仕組みを説明します。今や、身近な存在となった冷暖房ですが、実は潜熱の放出や吸収を活かした技術なのです。冷暖房は、室内の熱を外気に運び出したり、室外の熱エネルギーを屋内に運び込むことで、室内を快適な温度に保ちます。このとき、熱エネルギーを運ぶ役割を果たすのが冷媒です。この冷媒には、かつてフロンガスが使用されていました。ですが、フロンガスはオゾン層破壊などの環境破壊を引き起こすことから、現在は代替フロンを使用しています。
では、冷媒はどのようにして熱エネルギーを室内と室外の間で輸送するのでしょうか?まずは、冷房の場合を考えてみましょう。冷房の場合、まず液体の冷媒を気化させて、室内から気化熱に相当する熱エネルギーを奪います。その後、室外において、気体となった冷媒を凝結させて熱エネルギーを外気に捨てるのです。そして、液体となった冷媒を再び室内に送り込みます。これを繰り返すと、室内を冷却することができますよね。
次に、暖房の場合を考えましょう。暖房の場合、まず室外にて液体の冷媒を気化させて、外気のもつ熱エネルギーを冷媒に取り込みます。そして、室内において、気体となった冷媒を液体に変化させるのです。このとき、冷媒から熱エネルギーが放出されるので、これを温風として室内に供給しますよ。室内で液体となった冷媒は、再び屋外に運び出されます。以上が冷暖房の仕組みです。
ただし、ここで示したような状態変化をスムーズに行うためには、冷媒の圧力などをコントロールする必要があります。冷媒の圧力の制御は、ピストンや膨張弁などを使用して行いますよ。このとき、電気エネルギーが必要になるのです。