この記事では「烏兎匆匆」について解説する。

端的に言えば烏兎匆匆の意味は「歳月が慌ただしく過ぎ去っていくこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「烏兎匆匆」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「烏兎匆匆」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「烏兎匆匆」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「うとそうそう」です。漢字を見ただけではつかみづらい四字熟語でもあるので、意味だけでなく語源や使い方まで詳しくチェックしておくといいですね。

「烏兎匆匆」の意味は?

「烏兎匆匆」には、次のような意味があります。まずは、「烏兎匆匆」の基本的な意味や漢字それぞれの表す意味合いなどから見ていきましょう。

1.歳月のあわただしく過ぎ去るたとえ。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「烏兎匆匆」

「烏兎」は烏(からす)と兎(うさぎ)のことで歳月や月日のこと、「匆匆」は急ぐようすやあわただしいさまのことを表しています。

歳月や月日があわただしく過ぎ去っていくということなので、一日や二日のような短い期間ではなく月単位や年単位で過ぎ去っていくことについての表現です。もちろん、時は誰にとっても同じように過ぎ去っていくのですが、そのように感じるとのことであり、そのように感じるようなあわただしい生活をしているということが意味に含まれていることもあります。

「烏兎匆匆」の語源は?

次に「烏兎匆匆」の語源を確認しておきましょう。

「烏兎匆匆」の「烏」と「兎」は古代中国の伝説に由来します。その伝説とは、太陽には金烏(きんう)と呼ばれる三本足のカラスが棲んでおり、月には玉兎(ぎょくと)というウサギが棲んでいるというものです。このようにカラスとウサギが太陽と月を表す象徴であることから、歳月のことを表すようになっています。

\次のページで「「烏兎匆匆」の使い方・例文」を解説!/

「烏兎匆匆」の使い方・例文

「烏兎匆匆」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。意味合いの関しての使い方のほか、文法的な使い方も意識してチェックしていきますよ。

1.烏兎匆匆という通り、子供の頃に過ごした街の建物や住宅はほとんど様変わりしていた。
2.教材や辞書に囲まれての受験勉強の一年間は、あっという間で烏兎匆匆たるものだった。

例文1.では、子供の頃に過ごした場所が様変わりしていたことに対して過ぎ去った時間を実感しているようすです。例文2.のほうは、受験勉強に集中していた期間はとても短く感じられたことを表しています。

また、使い方としては、例文1.の「烏兎匆匆の…」、例文2.の「烏兎匆匆たる…」となっていますね。いずれの使い方も一般的によく使われる表現です。

「烏兎匆匆」の類義語は?違いは?

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それでは、「烏兎匆匆」の類義語についての説明です。歳月があわただしく過ぎ去っていくという意味の四字熟語について、一緒に詳しく見ていきましょう。

「光陰如箭」

「烏兎匆匆」の類義語には、「光陰如箭(こういんじょせん)」があります。「光陰(こういん)箭(や)の如し」と読み下し、意味は「月日が立つのは早い」ということです。「光陰」は太陽と月のことで月日や年月など長い時間のこと、「箭」は矢のことを表しています。

長い時間が矢のように通り過ぎてしまうという意味になることから、「烏兎匆匆」とはちょうど同じような意味合いです。

\次のページで「「露往霜来」」を解説!/

「露往霜来」

もう一つの類義語には、「露往霜来(ろおうそうらい)」があります。季節の移り変わりは早く、月日は早く過ぎ去るものだという意味です。「露往」は露が降りる秋が過ぎ去ってしまうこと、「霜来」は霜が降りる冬がやってくるということを表しています。

もともとは、獣や鳥などの肉付きがよくなる季節が早く過ぎ去っていくということを指していたようです。現在でも、狩猟期間は秋が深まる頃から初冬までとなっていますよ。

「烏兎匆匆」の対義語は?

次に、「烏兎匆匆」の対義語についての説明です。「烏兎匆匆」は特徴のある表現でしたが、対義語にも独特の表現がいくつかあります。詳しく見ていきましょう。

「一日千秋」

「烏兎匆匆」の対義語には、「一日千秋(いちじつせんしゅう)」があります。意味は、一日が千年に思えるほど待ち遠しいことです。「一日」はそのまま一日のこと、「千秋」は千回の秋を迎えることから千年のことを表しています。一日が千年に感じるほど時間がたつのが遅く感じることから転じた意味です。

また、「一日千秋」のもととなっているとされる「一日三秋(いちじつさんしゅう)」があり、一日会わないだけで三年もたったかのように感じるという四字熟語があります。

さらには、「一刻千秋(いっこくせんしゅう)」という表現もありますよ。こちらは、ほんのわずかの時間が千年にも思えるほどであるということから転じて、強く待ち焦がれる気持ちを表す四字熟語です。

「一日千秋」「一日三秋」「一刻千秋」とも、意味合いとしては同じく使うことができます

「烏兎匆匆」の英訳は?

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最後に、「烏兎匆匆」の英訳についての説明です。英訳にはカラスやウサギという単語は入りませんが、似た意味を表す表現があるので、一緒に見ていきましょう。

「days and nights passing by quickly」

「烏兎匆匆」の英訳には、「days and nights passing by quickly」があります。直訳すると「日中も夜も次々に過ぎていく」です。日が出ている「day」と日が出ていない「night」が複数になっているので、一日のサイクルの繰り返しで「日夜、日々」という意味でとらえられます。

別の同じような意味の表現が「months and years flying by」です。「months and years」で流れる歳月を表し、flyで早く流れ行くようすを表現しています。

\次のページで「「烏兎匆匆」を使いこなそう」を解説!/

「烏兎匆匆」を使いこなそう

今回の記事では「烏兎匆匆」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「烏兎匆匆」の意味の基本は、歳月があわただしく過ぎ去っていくということです。カラスとウサギという動物が含まれる表現ですが、太陽と月を意味する表現でした。

また、時がたつが早いという意味では、類義語での「光陰如箭」の読み下しの表現である「光陰矢の如し」が最もよく使われる表現です。「烏兎匆匆」など同意表現を身に着けておくと表現の幅が広がりますね。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「烏兎匆匆」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「烏兎匆匆」について解説する。

端的に言えば烏兎匆匆の意味は「歳月が慌ただしく過ぎ去っていくこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「烏兎匆匆」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「烏兎匆匆」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「烏兎匆匆」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「うとそうそう」です。漢字を見ただけではつかみづらい四字熟語でもあるので、意味だけでなく語源や使い方まで詳しくチェックしておくといいですね。

「烏兎匆匆」の意味は?

「烏兎匆匆」には、次のような意味があります。まずは、「烏兎匆匆」の基本的な意味や漢字それぞれの表す意味合いなどから見ていきましょう。

1.歳月のあわただしく過ぎ去るたとえ。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「烏兎匆匆」

「烏兎」は烏(からす)と兎(うさぎ)のことで歳月や月日のこと、「匆匆」は急ぐようすやあわただしいさまのことを表しています。

歳月や月日があわただしく過ぎ去っていくということなので、一日や二日のような短い期間ではなく月単位や年単位で過ぎ去っていくことについての表現です。もちろん、時は誰にとっても同じように過ぎ去っていくのですが、そのように感じるとのことであり、そのように感じるようなあわただしい生活をしているということが意味に含まれていることもあります。

「烏兎匆匆」の語源は?

次に「烏兎匆匆」の語源を確認しておきましょう。

「烏兎匆匆」の「烏」と「兎」は古代中国の伝説に由来します。その伝説とは、太陽には金烏(きんう)と呼ばれる三本足のカラスが棲んでおり、月には玉兎(ぎょくと)というウサギが棲んでいるというものです。このようにカラスとウサギが太陽と月を表す象徴であることから、歳月のことを表すようになっています。

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