端的に言えば、君子は豹変す、の意味は「徳の高い人は過ちがあれば速やかに正す」です。もともとは良い意味の言葉ですが、現在では悪い意味で使われることが多い。両方の表現を知っておくと、様々なシーンで使いこなせるぞ。
日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んです。一緒に「君子は豹変す」の意味や例文、類語などを見ていきます。
- 「君子は豹変す」には良い意味と悪い意味がある!
- もとはポジティブな意味だったのに…
- 現在ではネガティブな意味に!
- 「君子は豹変す」の使い方を例文で見てみよう!
- ポジティブな使い方
- ネガティブな使い方
- 「君子は豹変す」の語源は故事成語!
- 「君子は豹変す」の類義語は?
- 「大人虎変」「大賢虎変」賢者は変化に対応する
- 「朝令暮改」命令がコロコロ変わる
- 「君子は豹変す」の反対語は?
- 「初志貫徹」最後までやり通す
- 「首尾一貫」筋が通っている
- 「君子は豹変す」の英訳は?
- A wise man changes his mind, a fool never.
- The wise man adapts himself to any conditions.
- 語源と意味を知って「君子は豹変す」を使いこなそう!
この記事の目次
ライター/ユーリ
日本放送作家協会会員。シナリオ、エッセイをたしなむWebライター。言葉の美しさ、面白さ、奥深さをやさしく解説する。
「君子は豹変す」には良い意味と悪い意味がある!
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「君子は豹変す」という言葉にどんな印象を持っていますか?態度が急に変化してしまったという、あまり良くないイメージを持っている方のほうが多いのではないでしょうか。
もとはポジティブな意味だったのに…
まずは、辞書で意味をチェックしてみましょう。
《「易経」革卦から》君子は過ちを改め、善に移ることが際だってはっきりしている。俗に、態度や考えが急変するたとえにもいう。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「君子は豹変す」
「君子」は人格者、徳の高い人のこと。「徳の高い人は過ちがあればすぐに改め、正しい道に戻る」という意味になります。つまり、間違いに気づいたらすぐに良い方に修正できるという良い意味が本来の解釈なのです。後半に「俗に、態度や考えが急変するたとえにもいう」と記載されていることに注目してください。
現在ではネガティブな意味に!
もう一つ別の辞書も見てみましょう。
(「易経‐革卦」の「君子豹変、小人革レ面、征凶」による) 君子はあやまちを改めて善に移るのがきわめてはっきりしている。君子はすぐにあやまちを改める。今日では、節操なく変わり身の早いことについてもいう。君子豹変。
出典:精選版 日本国語大辞典「君子は豹変す」
こちらも、はじめに本来の意味が書かれていますが、後半に「今日では、節操なく変わり身の早いことについてもいう。」とありますね。古くから使われている慣用句は、長く使われている間に間違った使い方をする人のほうが多くなり、意味が変わってしまう場合がよくあります。本来、ネガティブな意味は誤用でしたが、現在では辞書にも掲載されており、もう誤用とは言えないですね。
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