物理学

5分でわかる「パラレルワールド」本当に存在する?理系ライターがわかりやすく解説

よぉ、桜木建二だ。SF映画や小説でよく登場するパラレルワールドという単語。漢字で書くと「並行(平行)宇宙」。俺たちが住む宇宙と同じ時間軸で別の宇宙が存在するという考え方だ。

SF作品設定上の空想の理論かと思われがちだが実はそうでもない。物質について、粒子性と波動性の2面から考察していくと意外とパラレルワールドの存在にうなずけてしまう。続きは理系ライターのR175と解説していこう。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

R175

ライター/R175

関西のとある国立大学の理系出身。学生時代は物理が得意で理科の教員免許も持っている。技術者の経験があり、教科書の内容では終わらず身近な現象と関連付けての説明を心掛ける。

1.SFでのパラレルワールド世界観

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SFで定番の「タイムトラベル」。過去に行って歴史を変えてしまうというシーンもよく見られます。空想上の設定とはなりますが、そのような設定があった方が映画を製作する上でストーリーほ幅が広がりますね。

タイムトラベル

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少し古い映画ですが、Back to the future(未来へ帰ってくる)という映画でタイムマシンの実験をしていた主人公Mは両親が出会った頃にタイムスリップしました。舞台は1985年で、タイムスリップした世界はその30年前の1955年。主人公の父Jは臆病で主人公の母Lを中々ダンスパーティーに誘えずにいました。すると主人公の姿が消えかかり元気がなくなって倒れてしまいます。両親が結婚していなければ自分も生まれていないことになるため、「姿が消える」描写によって歴史的辻褄が合わされているです。その後何とか勇気を振り絞って主人公の父親が母親をダンスに誘うと主人公の姿は復活。

しかしその後、競馬やスポーツの結果など未来の情報が書かれた雑誌が1955年の世界に持ち込まれました。主人公一家のライバル的存在の人物Bの手に渡ってしまいます。Bは競馬やスポーツクジで勝ちまくり大金持ちになりました。結果を全て知っているから当然ですね。大金待ちになったBは主人公の母親Lと結婚。主人公が生まれてからの結婚なので姿こそ消えないものの、1985年に戻ってみるとBが父親になっていました。タイムトラベルのせいで歴史を変えてしまったのです。


元通り1985年戻ったのになぜ違うことになっているのか?作中で主人公が問いかけると科学者Dは「パラレルワールドという言葉を出して説明をしています。歴史を変えてしまった結果、本来あるべき現在ではなく「別の現在」が出来てしまったとのことです。

2.パラレルワールドの定義

SFの世界で想定しているパラレルワールドは、時代は同じだけど「違うことが起きている現実同時並行にて存在する状態を言っています。並行しているので「パラレル(parallel)」というネーミング。

某アニメのコンセプト通り「真実はいつも一つ」であるはず。しかし、考え方によっては別の現実も同時に起きている(パラレルワールドが存在する)とも言えてしまうのです。空想上の考え方ではなく、物理学・量子力学に基づく科学的な考え方によってパラレルワールドの存在が予測されています。その考え方を理解するためには世の中にある物質を「波」と捉える必要があるでしょう。

3.粒子が波動性がも併せ持つ

世の中に存在する物質は何で出来ていますか?分子、原子、あるいはもっと細かくして電子、原子核。いずれにせよ「粒子という言葉にまとめられそうですね。実はこれら粒子を「波」と捉えることが出来るのです。まずは、波の性質について述べた後、粒子である「電子」が波の性質を示すことを確認していきます。

波の強め合いと弱め合い

波の強め合いと弱め合い

image by Study-Z編集部

イラストをご覧ください。2つの波を同位相(横軸のズレなし)で重ね合わせれば振幅が2倍の波が出来上がり(強め合う)、逆位相で重ね合わせれば打ち消しあうもの。ここで言う位相とは波長=2πを基準に設定した角度、波は1波長サイクルで同じ形状を繰り返しますが、位相とは1サイクル中のどのあたりにいるかを表す数値を角度で表したものです。1サイクルのうちのちょうど真ん中ならπ、1周したら2π。

なぜ角度で表すかというとは正弦関数(sinで表される関数)で出来ているから、引数に角度を使うと便利だから。全ての波は正弦関数(sinで表される関数)の重ね合わせで出来ていると言われます。一見ランダムに波打っているだけのように見える波形であっても実はいくつかのsin関数を重ね合わせた結果そうなっているに過ぎません。

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さて、同じ波がある壁に当たった時半分は最表面で反射(こちらをAグループ)、もう半分は最表面からdだけ進んだ地点で反射する(こちらをBグループ)としましょう。BグループはAグループより2dだけ余分に進まなければなりませんね。つまり反射した後Bグループの波は2dだけ遅れることになります。この2dが波長と同じであればBグループはAグループよりちょうど1サイクル分(位相で言うと2π)だけ遅れるため反射波はAグループとBグループが強め合った波形になり、2dが波長の半分であればBグループは0.5サイクル(位相で言うとπ)だけ遅れるため弱めあった波形に。

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次に、斜めに波が入射した場合はどうでしょうか。イラストのように正面からΘだけズレた角度で入射すると、Bグループが余計に進まないといけない距離はCDE分の距離。作図によるとこれは2dcosΘ。つまり、入射角度ΘによってAグループとBグループの経路差が変わってくるわけです。例えばΘ=Θ1の時の経路差2dcosΘ=波長であれば角度Θ1で反射させたときは反射波が強め合い、Θ=Θ2の時の経路差2dcosΘ2=波長/2であれば反射波は弱め合うことになります。

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ここで言いたいことは、波の性質を持つものは角度によって反射後に強め合ったり弱め合ったりするということ。細かい導出は気にしなくてもよい。とりあえず、入射・反射の角度によって強め合ったり弱め合ったりすれば「波」であることだけおさえておこう。

電子の波動性

電子は微小な粒(粒子)ですが以下の実験から波の性質も持つことが確認されています。ニッケルに斜めから電子を当て(上述イラストのうようなイメージ)、角度別に反射してくる電子の強さを計測。するとある角度の時だけ反射電子の強度のピークが見られました。これは電子が波の性質を持つことを示しています。ニッケルに当たった電子のうち最表面で反射したグループと1つ奥の結晶面で反射したものがお互いに強め合ったり弱め合ったりする結果、角度によって反射してくる電子の強度の差が出てくるわけです。

何が言いたいか。粒子であるはずの電子が反射する角度によって強め合ったり弱め合ったりして強度の差は出てくる「」の性質を持っているということ。

4.世の中の物質が波であれば?

先述の実験に加え、大きな物質でも同様波の性質が確認されています。これらの事実から世の中のすべての物質(粒子)を波と捉えることが出来ますね。一方、波は正弦関数(sin関数)の重ね合わせで出来ていますから物質(波)も何かしらの波の重ね合わせと考えられます。これら物質を構成する波の振幅は時間と場所で決まると考えましょう。波の関数はf(x,y,z,t)の形、3次元空間の座標と時間tの関数。この関数fは様々な波の関数が重ね合わされたもの。

 

物質を構成する波はランダム

物質を構成する波はランダム

image by Study-Z編集部

ある地点の波は様々な波の関数を重ね合わせたものですが、そもそも重ね合わせている波1つ1つはランダムであると認識しておきましょう。よって、波形は場所や時刻によって規則性があるわけではありません。たまたまやってきた波の組み合わせによりその地点、その時刻での物質が構成されていると考えましょう。

よって場合によっては同じ地点同じ時刻であっても波の組み合わせは異なり、それは「違う宇宙(パラレルワールド)」として存在していると言えます。しかし、現代の技術を使っても時間を戻すことが出来な以上波の組み合わせを変えることが出来ず、「違う宇宙」を観察しその真理を検証することも出来ません。

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