3分で簡単「圧電効果」力から電気を生み出す方法を理系ライターがわかりやすく解説
5.圧電素子の条件
基本的には電荷の配置をずらすことが出来ればどんな物質でも電気を流すことは理論上は可能。しかし、向き不向きはあります。どんなに変形させてもうまい具合に電荷の配置がズレてくれなければ圧電素子としての役目を発揮しません。どのような物質で圧電効果が起きるのか見ていきましょう。
圧電素子の結晶構造
ポイントになるのは「結晶構造」。圧電素子に代表される「水晶」は二酸化ケイ素(SiO2)の固体がきれいに結晶して出来た鉱物。何がすごいかというここで強調したいのは「きれいに結晶している」点。
SiO2のはケイ素Siと酸素Oが結合してできていて、Si、Oが規則正しく並んでいます。これらの結合、狭い範囲ではどのような物質でも規則正しく繰り返されますが、なんと水晶はこの規則正しい配列を肉眼で見える大きさまで保っているのです。二酸化ケイ素の分子SiO2の大きさは1nm以下のスケールで、それが肉眼で見える大きさ1mmくらいまで配列を崩すことなくつながっていることを意味します。
結晶構造と圧電効果
image by Study-Z編集部
話を戻して、物質に圧力を加えると変形して電荷に偏りが出ますね。仮に、原子の配列が規則正しくなくランダムに配列していたとしましょう。圧力をかけると随所随所で電荷の偏りが発生しますが、その偏り方はランダム。所々電気が流れる道があるけれど方向はぞれぞれバラバラで、1本につながっておらず物質全体で見るとうまく電気が流れる状態ではありません(イラスト参照)。
しかし、規則正しく配列していれば、ミクロに見てもマクロに見ても少しずつ電荷がズレてくれます。電気が流れやすい道が1本につながるイメージです。このような配列を取るのは主にセラミックスと呼ばれる材料で、SiやCなどが結像した無機化合物。
力を即電気に変換
全ての物質はいわば電荷(原子核と電子)の集合体であり、これらの電荷を上手くずらしてやれば理論上は電気を流すことが可能。しかし、原子の配列が乱れていると電荷の配置がランダムにズレるだけであり、電気の通り道が寸断されてしまうためうまく電気が流れません。
水晶のように原子が規則正しく配列している結晶体と呼ばれる物質に圧力を加えて電荷の配置をずらすと、電気の通り道が1本につながり電気が流れてくれます。圧電効果を使うと電源装置がなくても力を加えれば電気を流すことが可能。