この記事では「雲蒸竜変」について解説する。

端的に言えば「雲蒸竜変」の意味は「英雄が機会を得て活躍すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教師や講師としても教えることに関わってきた「やぎしち」を呼んです。一緒に「雲蒸竜変」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/やぎしち

雑学からビジネス文章まで手掛ける現役ライター。
国語の中学・高校教諭の資格も持ち、予備校講師の経験も。言葉を大切にした文章を心掛けている。

「雲蒸竜変」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「雲蒸竜変(うんじょうりょうへん)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「雲蒸竜変」の意味は?

「雲蒸竜変」には、次のような意味があります。

雲が群がり昇るにつれ、蛇が竜となって天に昇る意。時流に乗じて、英雄・豪傑が大活躍するたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「雲蒸竜変」

この言葉は、「英雄や豪傑が、機会を得ることで世の中で活躍する」ことを意味する四字熟語です。「雲蒸」は「雲のごとく蒸し(立ち昇る)」、「竜変」は「竜のごとく変化する」=それくらいの活躍をする、という意味になります。

この言葉のポイントは「機会を得て、時流に乗じて」という意味を含んでいるところ。ただ英雄が活躍することを表現しているのではないことを押さえましょう。中国の故事がもとになってできた言葉で、ストーリーを理解するとその理由も納得出来ると思います。詳しくは次の語源の項でご紹介しますので、確認してみてくださいね。

「竜変」は「りゅうへん」ではなく「りょうへん」と読むことにも注意が必要です。難しい漢字は使われていないため、読みまではしっかりと押さえておいたほうがいいでしょう。

「雲蒸竜変」の語源は?

次に「雲蒸竜変」の語源を確認しておきましょう。この言葉は中国の歴史書『史記』のなか、魏豹(ぎひょう)と彭越(ほうえつ)という人物について述べられた文章に見ることが出来ます。

彼らは戦争で功績を挙げ有名になった人物たちでしたが、反逆に失敗して捕まった際、自決することはなく刑を受けることを選びました。その理由は、生きていてさえいれば「(機会を得て、)雲のごとく立ち昇り、竜のごとく変化して」また思いのままに活躍することが出来ると考えたからなのだ、という記述です。

普通の人間は当然のこと、王者であればなおさら、生き恥をさらすくらいならば死んだ方がましという考え方があったのですね。そのような時代に甘んじて刑を受けた彼らはむしろ、冷静かつ貪欲に生きるための選択ができる人物であったのかもしれません。「雲蒸竜変」とは、このような背景のある言葉なのです。

\次のページで「「雲蒸竜変」の使い方・例文」を解説!/

「雲蒸竜変」の使い方・例文

「雲蒸竜変」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

・ずっと日の目が当たらないまま地道に努力を続けていた彼が、その能力を認められて結果を出したことに、みんなは雲蒸竜変だととても喜んだ。

・独自のネットサービスで今や大人気となったあの書店だが、オープン当時は試行錯誤の連続で、雲蒸竜変の活躍が出来るなんて思っていなかった、とは社長の談である。

・あのベンチャー企業は雲蒸竜変ともてはやされているが、時運に恵まれただけでなく、社長の冷静な判断力も重要だったことはあまり理解されていない。

実力者が、機会を得て活躍すること」のイメージがつきますでしょうか。先にも述べたように、大切なのはこの「機会を得る」ことです。ただ活躍しただけではなく、下積み期間があったり、素晴らしいタイミングに恵まれたというニュアンスが必要になるでしょう。

また同様に「英雄や豪傑が活躍する」の意味もありましたね。現代的に言えば、英雄=実力のある人、などと言い換えてもいいでしょうか。普通の人がタイミングよく活躍できたということでもありません。もともとの才能や実力のある人でなければ、と考えるとなかなか厳しい言葉かもしれませんね。

しかし、努力や行動は誰にでもできるもの。語源で紹介した人物達が評価されたポイントも「生きてさえいればまた活躍できるだろう」という考え方です。希望を捨てず、常日頃からの努力を忘れないことが重要だという想いが込められている言葉なのかもしれませんね。

例文ではあえて人物以外にも使っていますが、その背後には、やはり英雄的に活躍した人物がいるという意味合いにもなるでしょう。

「雲蒸竜変」の類義語は?違いは?

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「雲蒸竜変」の類義語には、「飛竜乗雲」「蛟竜雲雨」などが考えられます。

「飛竜乗雲」「蛟竜雲雨」

「飛竜乗雲(ひりゅうじょううん)」も「蛟竜雲雨(こうりゅううんう)」も、「英雄たちが、機会を得て大きな活躍をする」という意味の四字熟語です。前者は『韓非子』、後者は『三国志』をそれぞれ由来としています。

「飛竜」が「雲に乗る」はわかりやすいですね。一方「蛟竜」とは「水の中に棲む伝説上の生き物」のことで「実力を発揮できない英雄」を指すことも。それが雲や雨に乗って天に昇り、竜になるという流れなのです。

「竜」を使った言葉のバリエーションが豊富なのも面白いところ。当時の人々が英雄を竜に例え、その活躍を称えていたということがよくわかります。もし知らない四字熟語で「竜」という漢字が使われていたら、英雄についての記述ではないかと推測してみるのもいいでしょう。

\次のページで「「雲蒸竜変」の対義語は?」を解説!/

「雲蒸竜変」の対義語は?

「雲蒸竜変」の明確な対義語は見つかりませんでした。「英雄がチャンスを得て活躍する」という言葉ですから、その逆は敢えて言う必要はなかったからかもしれません。

「雲蒸竜変」の英訳は?

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「雲蒸竜変」の英語訳は「get the chance and succeed」などが考えられます。

「get the chance and succeed」

直訳すれば、「チャンスを得て成功する」となります。ただ、ここには「英雄や実力者」という言葉が含まれていませんので、主語を文脈に応じて変えてください。

たとえば「実力者」なら「influential person」や「powerful person」、「才能がある人」としたければ「talented person」がいいでしょう。英作文をする場合は、どのような人物を表現したいのか、考えてみてくださいね。

That talented person will get the chance and succeed after a long underlay.
あの才能のある人は、長い下積みのあと、雲蒸竜変するだろう。

「雲蒸竜変」を使いこなそう

この記事では「雲蒸竜変」の意味・使い方・類語などを説明しました。

同義語の項でも述べましたが、「竜」という単語を使った熟語はとてもたくさんあります。そこに含まれているのは、力強い存在へのあこがれや、恐れかもしれません。武力や戦争で国が動いていた時代、そこには色々な想いが込められていたのでしょうね。

「雲蒸竜変」には、どんな英雄たちもチャンスを得る必要があるという、天の采配を想う気持ちがみてとれるようです。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「雲蒸竜変」の意味や使い方は?例文や類語を元予備校講師がわかりやすく解説!

「雲蒸竜変」の使い方・例文

「雲蒸竜変」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

・ずっと日の目が当たらないまま地道に努力を続けていた彼が、その能力を認められて結果を出したことに、みんなは雲蒸竜変だととても喜んだ。

・独自のネットサービスで今や大人気となったあの書店だが、オープン当時は試行錯誤の連続で、雲蒸竜変の活躍が出来るなんて思っていなかった、とは社長の談である。

・あのベンチャー企業は雲蒸竜変ともてはやされているが、時運に恵まれただけでなく、社長の冷静な判断力も重要だったことはあまり理解されていない。

実力者が、機会を得て活躍すること」のイメージがつきますでしょうか。先にも述べたように、大切なのはこの「機会を得る」ことです。ただ活躍しただけではなく、下積み期間があったり、素晴らしいタイミングに恵まれたというニュアンスが必要になるでしょう。

また同様に「英雄や豪傑が活躍する」の意味もありましたね。現代的に言えば、英雄=実力のある人、などと言い換えてもいいでしょうか。普通の人がタイミングよく活躍できたということでもありません。もともとの才能や実力のある人でなければ、と考えるとなかなか厳しい言葉かもしれませんね。

しかし、努力や行動は誰にでもできるもの。語源で紹介した人物達が評価されたポイントも「生きてさえいればまた活躍できるだろう」という考え方です。希望を捨てず、常日頃からの努力を忘れないことが重要だという想いが込められている言葉なのかもしれませんね。

例文ではあえて人物以外にも使っていますが、その背後には、やはり英雄的に活躍した人物がいるという意味合いにもなるでしょう。

「雲蒸竜変」の類義語は?違いは?

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「雲蒸竜変」の類義語には、「飛竜乗雲」「蛟竜雲雨」などが考えられます。

「飛竜乗雲」「蛟竜雲雨」

「飛竜乗雲(ひりゅうじょううん)」も「蛟竜雲雨(こうりゅううんう)」も、「英雄たちが、機会を得て大きな活躍をする」という意味の四字熟語です。前者は『韓非子』、後者は『三国志』をそれぞれ由来としています。

「飛竜」が「雲に乗る」はわかりやすいですね。一方「蛟竜」とは「水の中に棲む伝説上の生き物」のことで「実力を発揮できない英雄」を指すことも。それが雲や雨に乗って天に昇り、竜になるという流れなのです。

「竜」を使った言葉のバリエーションが豊富なのも面白いところ。当時の人々が英雄を竜に例え、その活躍を称えていたということがよくわかります。もし知らない四字熟語で「竜」という漢字が使われていたら、英雄についての記述ではないかと推測してみるのもいいでしょう。

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