「万事休す」は単に危機的状況に陥るという意味と認識されがちですが、正確に言えばさらに追いつめられた状況を指す言葉です。正確な意味を理解すれば誤用されがちな「休す」の漢字も間違えることがなくなるぞ。
文学部卒Webライターのリカを呼んです。一緒に「万事休す」の意味や使い方、類語などを見ていきます。
- 「万事休す」の意味・語源・使い方は?
- 「万事休す」は「もはや何をしても駄目だという状況」
- 休す?窮す?誤用に注意!
- 「万事休す」の語源は?
- 「万事休す」の例文・使い方
- 「万事休す」の類義語は?
- 「絶体絶命」:どうしても逃れられない追い詰められた状況
- 「八方塞がり」:どのようにしても不吉な結果が予想される状況
- 「万事休す」の反対ってどういう状況?
- 「起死回生」:瀕死の危機から立て直すことができた状況
- 「順風満帆」:物事がすべて順調に進んでいる状況
- 「万事」が使われている故事成語
- 「人間万事塞翁が馬」:人生における幸運・不運は容易に判断できないこと
- 「一事が万事」:一つの行動、結果で物事のすべてが推測できること
- 「万事休す」を使いこなそう!
この記事の目次
ライター/リカ
文学部卒のwebライター。在学中、様々な言葉について論文を執筆し、卒業後も日常で疑問を持った言葉についてすぐに調べることを習慣付けている。
「万事休す」は「もはや何をしても駄目だという状況」
「万事休す」を辞典で調べてみると次のように記載されています。
1.もう施すべき手段がなく、すべて終わりである。何事も全く見込みがない。
2.俗世間のことからすべて退く。
出典 精選版 日本国語大辞典(小学館) 「万事休す」
辞典では「万事休す」には2つの意味が記載されています。
1つ目は現代でもよく使われている1の「もう施すべき手段がなく、すべて終わりである」という意味です。「万事」は「すべてのこと」を意味し、「休す」は「休む」ではなく、ここでは「休止する・終わる」ことを意味してます。「万事休す」というと単に危機に陥っている状況を指して使用されることもありますが、正確な意味では追いつめられて一通り対処したが全て効果がなく、もはやどうすることもできない状況を指しているんですね。
2つ目は1の意味から転じて、どうにもできない状況から世の中の事をすべて捨て去り隠居してしまうことを指しており、こちらの意味での用例は主に中国の古書で見られますが現代では使われなくなった表現と考えていいでしょう。
休す?窮す?誤用に注意!
「万事休す」はしばしば「万事窮す」と誤用される例が見受けられます。皆さんも文字で書く際にどちらが正しいか迷うことはありませんか?
「窮」という字には「窮鼠猫を噛む」や「窮地に陥る」のように行きづまって身うごきができない・追いつめられるという意味を持つ漢字のため間違えてしまいがちですが、「万事休す」の意味は「もう施すべき手段がなく、すべて終わりである」のため「休止する・終わる」という意味を持つ「休」が正しいです。意味を正しく理解することで誤用しないように注意しましょう。
\次のページで「「万事休す」の語源は?」を解説!/