3分で簡単「モル濃度」!溶液1L中に溶質が何モル溶けている?元研究員がわかりやすく解説
実はモル濃度は理解しやすく、順番に一つ一つ考えていけば、必ず自信をもって解くことができるようになるはずなんです。
今回は「濃度」と「モル」、そしてモル濃度を求める「計算」について、化学実験を生業にしてきたライターwingと一緒に解説していきます。
ライター/wing
元製薬会社研究員。小さい頃から化学が好きで、実験を仕事にしたいと大学で化学を専攻した。卒業後は化学分析・研究開発を生業にしてきた。化学のおもしろさを沢山の人に伝えたい!
1.濃度ってなんだろう?
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「濃度」って日常生活でも使われる言葉だと思います。コーヒーが薄かったり、お味噌汁が濃かったり、濃度の濃い薄いを感じる場面は意外と多いですよね。
そんな身近な濃度でも、計算問題を解かなければならなくなると、途端に訳が分からなくなり、化学って苦手と拒否反応を示す方が実は少なくありません。
それはとてももったいない事だと思います。濃度は順序だてて考えていけば、必ず簡単な計算で答えを導くことができるからです。
ではまず、濃度とは何なのか?から紐解いていきましょう。
1-1.濃度を理解する
では、濃度とは何かを言葉で説明してみましょう。
例えば、ここに食塩を水に溶かした食塩水があるとします。大雑把にいうと、この食塩水には食塩がどのくらい溶けているのか?を示すものが濃度です。
これを化学の言葉で表現すると、この溶液には溶質がどのくらい溶けているのか?というふうに言い換えることができます。
ここで「溶質」「溶媒」「溶液」という言葉を覚えておきましょう。溶かされている物質が溶質、溶かしている物質が溶媒、溶質と溶媒全体のことを溶液といいます。食塩水で例えると、溶質とは食塩、溶媒とは水、溶液とは食塩水のことです。
濃度を表す単位にはいくつか種類があり、それぞれ何を何で割るのかが違います。では、小中学校で一番最初に学習する濃度である、質量パーセント濃度から解説していきましょう。
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1-2.質量パーセント濃度
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理科の授業で「食塩何グラムを水何グラムに溶かしました。濃度を計算して求めましょう。」という問題を解いたことがあると思います。この時の濃度というのが質量パーセント濃度です。
質量パーセント濃度(%)= 溶質の質量(g)÷ 溶液(溶質+溶媒)の質量(g)× 100
という計算式で導かれ、溶液中に溶質が何パーセント含まれているかを表しています。食塩水を例にとると、食塩水中に食塩が何パーセント含まれているかを示す基本的な濃度です。
1-3.モル濃度(体積モル濃度)
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化学で一番よく使われるのがモル濃度です。モル濃度は溶液1リットル中に溶けている溶質の物質量(mol)を表した濃度で、計算式は
モル濃度(mol/L)= 溶質の物質量(mol)÷ 溶液の体積(L)
で表します。また溶液の体積は次のように変換することもできるのです。
溶液の体積(L)= 溶液の体積(mL)÷ 1000
モル濃度を求めれば、水溶液の体積を量るだけでその中に溶けている溶質の物質量(mol)を簡単に求めることができるので、大変便利な濃度と言えます。
1-4.質量モル濃度
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モル濃度と名前はよく似ていますが、全然違う濃度なので注意が必要です。
実は使う機会の少ない質量モル濃度ですが、沸点上昇や凝固点降下の分野を勉強する際には重要ですし、テストなどで問われることも多いので覚えておきましょう。
質量モル濃度は溶媒1キログラム中(分母は溶媒なので注意が必要です)に溶けている溶質の物質量(mol)を表した濃度になります。計算式は
質量モル濃度(mol/kg)= 溶質の物質量(mol)÷ 溶媒の体積(kg)
です。
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