この記事では「一牛鳴地」について解説する。

端的に言えば一牛鳴地の意味は「牛の鳴き声が聞こえるほど近い距離」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

営業マネージャーとして勤務し、カナダでの留学を経てライターとして活動中のナガタナミキを呼んです。一緒に「一牛鳴地」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ナガタ ナミキ

外資企業の営業マネージャーとして勤務し、相手に伝わる会話表現やコーチングスキルについて学ぶ。カナダでの留学を経て、言葉の持つニュアンスや響きを大切にするライターとして現在活動中。

「一牛鳴地」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「一牛鳴地(いちぎゅうめいち)」の意味や語源・使い方を確認していきましょう。

「一牛鳴地」の意味は?

「一牛鳴地」には、次のような意味があります。

1頭の牛の鳴き声が聞こえるほどの近い距離。
一牛吼地 (いちぎゅうこうち) 。いちごみょうち。

出典:大辞泉(小学館)「一牛鳴地」

一頭の牛の鳴く声が聞こえる土地の意から、非常に近い距離のたとえ。また、のどかな田園風景の表現。

出典:四字熟語辞典(学研)「一牛鳴地」

「一牛鳴地」とは、牛の鳴き声が聞こえるほどの近距離を表す四字熟語です。

転じて、一頭の牛の鳴き声が聞こえるほどに「狭く小さな範囲・のどかな田舎」を意味します。牛の鳴き声を遮るものが何もないほど穏やかな様子が想像できますね。また「一牛」とあることから、どの牛が鳴いたのかを判別できるほど、狭く近いことが伺えます。

※読み方は「いちぎゅうめいち」「いちごみょうち」の二通りです。

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「一牛鳴地」の語源は?

次に「一牛鳴地」の語源についてです。とてもシンプルですが、簡単に確認しておきましょう。

「牛鳴」
・牛が鳴くこと

「地」
・土地、地方のこと

単語ごとに分解すると、上記の意味をもつことが確認できました。これらに数字の「一」が付いた「一牛鳴地」は、「一頭の牛の鳴き声がする土地」を表すことが分かります。

「一牛鳴地」の使い方・例文

「一牛鳴地」の使い方を例文を通して確認しましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.会社の都合により、一牛鳴地の土地に生活の拠点を移すこととなった。

2.自然が豊かな環境に憧れていたので、引っ越し先は一牛鳴地の範囲から選んだ。

3.一牛鳴地の土地で生まれ育ったため、都会の喧噪に慣れるのに時間がかかった。

4.かつては一牛鳴地だった故郷だが、都会からの移住者が増加した影響ですっかり姿を変えてしまった。

5.出歩けば会う人は皆顔見知りで、噂も瞬く間に広まるこの田舎はまさに一牛鳴地である。

「一牛鳴地」を実際に用いる場合には、必ずしも牛が鳴いている必要はありません。というのも、最も重要なのは牛の鳴き声が聞こえるほどの「狭さ」や「近さ」・「のどかさ」であって、「一牛鳴地」はこれらを表す比喩として使われることがほとんどであるためです。

例文3のように、のどかな田園風景に対する都会の賑やかさを引き合いに出せば、より両者の違いを強調することができます。「一牛鳴地」な環境をどのように受け取るかは人それぞれなので、文章などで使われる際には前後の文脈から判断する必要があるでしょう。

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「一牛鳴地」の類義語は?違いは?

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それでは「一牛鳴地」の類義語を確認しましょう。ここでのキーワードは「距離」です。「一牛鳴地」は牛の鳴き声が聞こえるほどの近さを表していましたが、その他の類義語はどのように距離を示しているのでしょうか?

「一牛吼地」

一牛吼地(いちぎゅうこうち)」とは、牛の鳴き声が聞こえるほどの範囲・土地・近距離のことを表す四字熟語です。
「一牛鳴地」の同義語として使うことができます。違いを挙げるとすれば、牛が「鳴く」か「吼える」かの差でしょう。

「一衣帯水」

「一衣帯水(いちいたいすい)」とは、一筋の帯のように細長い川のことです。転じて、二つの存在が非常に近接していることのたとえとしても使われます。

「衣帯」とは衣服の細長い帯のこと、「水」は川・水流のことです。帯のように細長い一筋の水流を思い浮かべてみましょう。するとその川を隔てる土地どうしは、とても近距離にあることがわかりますね。両者の間には、一筋の細く狭い隔たりがあるのみです。つまり「一衣帯水」とは細長い川のことであり、比喩として「二つのものがとても近い距離にあること」を示す言葉となりました。

「寸歩不離」

「寸歩不離(すんぽふり)」とは、物理的な距離を置かず、すぐ傍にいることです。また、精神的な距離が近いという意味で、人との関係が密接であることを表します。

たとえば夫婦仲が寸歩不離である場合には、二人の仲がとても良く、一歩も離れないほど近い距離にいることを意味しますよ。「寸歩」とは、僅かな歩みのことです。つまり、ほんの少しの距離すら離れない関係性を示しています。

「一牛鳴地」の対義語は?

続いて「一牛鳴地」の対義語を確認しましょう。ここでは「遠さ」がどのように表現されているのかに注目してみてください。自然の風景などが比喩として使われていますよ。

\次のページで「「雲煙万里」」を解説!/

「雲煙万里」

「雲煙万里(うんえんばんり)」とは、非常に遠く離れていることのたとえとして使われる四字熟語です。

本来は、遥か彼方に漂う雲や霞(かすみ)のことを表しますが、目には見えても決して触れられないほど遠距離にあることから、「遠く離れていること」のたとえとして使われるようになりました。「雲煙」とは雲と霞、あるいは雲と煙を表し、「万里」とは遥か彼方のことを意味します。

「天涯海角」

「天涯海角(てんがいかいかく)」とは、非常に離れていること・不便な場所のたとえとして使われる四字熟語です。

本来は天の果てと海の角(隅)を示しますが、それぞれが互いに遠く離れていることから上記の意味が定着しました。熟語の順番を入れ替えた「海角天涯」は同義語です。

「一牛鳴地」の英訳は?

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最後に「一牛鳴地」の英語表現を確認しましょう。

「Very close distance that we can hear crying of a cow.」

Very close distance that we can hear crying of a cow. とは、直訳すると「一頭の牛の鳴き声が聞こえるほどの、とても近い距離」となります。「一牛鳴地」の意味を的確に表すことができますよ。

「一牛鳴地」を使いこなそう

この記事では「一牛鳴地」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「一牛鳴地」に関して、
一頭の牛の鳴き声が聞こえるほどに近く、狭い土地を意味する
のどかな田舎や田園風景を連想させる
同義語に「一牛吼地」、類義語に「一衣帯水」などがある
ことが確認できましたね。

牛の鳴き声が聞こえるほどのどかな場所は、都心部に暮らす人からすれば非日常な「癒し」の空間となるのかもしれません。一方で「一牛鳴地」が日常の人にとっては、刺激的な都会の生活に憧れを抱くこともあるでしょう。みなさんは「一牛鳴地」からどのような印象を受けますか?

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【四字熟語】「一牛鳴地」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「一牛鳴地」について解説する。

端的に言えば一牛鳴地の意味は「牛の鳴き声が聞こえるほど近い距離」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

営業マネージャーとして勤務し、カナダでの留学を経てライターとして活動中のナガタナミキを呼んです。一緒に「一牛鳴地」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ナガタ ナミキ

外資企業の営業マネージャーとして勤務し、相手に伝わる会話表現やコーチングスキルについて学ぶ。カナダでの留学を経て、言葉の持つニュアンスや響きを大切にするライターとして現在活動中。

「一牛鳴地」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「一牛鳴地(いちぎゅうめいち)」の意味や語源・使い方を確認していきましょう。

「一牛鳴地」の意味は?

「一牛鳴地」には、次のような意味があります。

1頭の牛の鳴き声が聞こえるほどの近い距離。
一牛吼地 (いちぎゅうこうち) 。いちごみょうち。

出典:大辞泉(小学館)「一牛鳴地」

一頭の牛の鳴く声が聞こえる土地の意から、非常に近い距離のたとえ。また、のどかな田園風景の表現。

出典:四字熟語辞典(学研)「一牛鳴地」

「一牛鳴地」とは、牛の鳴き声が聞こえるほどの近距離を表す四字熟語です。

転じて、一頭の牛の鳴き声が聞こえるほどに「狭く小さな範囲・のどかな田舎」を意味します。牛の鳴き声を遮るものが何もないほど穏やかな様子が想像できますね。また「一牛」とあることから、どの牛が鳴いたのかを判別できるほど、狭く近いことが伺えます。

※読み方は「いちぎゅうめいち」「いちごみょうち」の二通りです。

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