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【四字熟語】「虚実皮膜」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

「虚実皮膜」の語源は?

次は「虚実皮膜」の語源について解説します。まずは熟語ごとに分解して、それぞれの意味を確認しましょう。

「虚実」
・嘘と真実
・虚構と現実


「皮膜」
・皮膚と粘膜(薄皮)
・物の表面を覆う皮膚のような薄い膜

熟語ごとの意味を確認できましたが、一体なぜ「虚実皮膜」が芸術の在り方について説くような、奥深い言葉となったのでしょうか?

「虚実皮膜」は、江戸時代の浄瑠璃作者・近松門左衛門(1653〜1725)が説いた芸術論であると伝えられています。近松と親交のあった穂積以貫(ほづみいかん)が彼の言葉を聞き書きしたものが『難波土産(なにわみやげ)』に収録の「虚実皮膜論」です。

「芸といふものは、実と虚の皮膜の間にあるものなり」とは近松の言葉であり、「たとえ事実を模写することが好まれる時代であっても、決してそのまま演じることはなく、真実は虚構と事実の間に生まれるものである」といった内容を述べたとされます。

「虚実皮膜」の使い方・例文

「虚実皮膜」の使い方を例文を通して確認しましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.とある画家の生涯を虚実皮膜に描いた映画が、来月公開されるそうだ。

2.芝居でも美術でも、本物をただ真似るだけならば面白みに欠けるだろう。虚実皮膜と言うように、虚構の混ざるところに芸術の本質があるのだ。

3.
A「最近はどんな本を読んでいるの?」
B「昨日読み終わったのは、あり得ない超能力をもつ主人公が登場する話なんだけど、フィクションって分かっているのに最後は号泣してしまったよ」
A「まさに虚実皮膜だね。作り話って分かっているからこそ、現実を忘れて感動するのかもしれないね」

「虚実皮膜」を日常的に話す機会はそう多くはないかもしれません。しかし芸術分野(芝居・文学・美術・音楽など)において幅広く使うことのできる言葉ですので、正しく理解できれば必ず役に立つでしょう。

ほとんどの「芸術」と呼ばれる類のものは、その100%が真実で構成されているとは限りません。現実世界のモチーフが創作の出発点だとしても、そこに作者の思いや解釈が重ねられ、場合によっては過剰に魅せるための工夫が施されたりもするでしょう。作品の受け手もそれが虚構の混ざったものだと分かっているはずです。それでも感動することができる。つまり絶妙なバランスの上に成り立っているものが芸術といえます。虚構と現実の間にある薄い壁を行来する中に、複雑な感情や美しさがあるのかもしれません。

芸術にまつわるその他の四字熟語

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それでは「虚実皮膜」に関連して、芸術にまつわる四字熟語を二つご紹介します。

「鏡花水月」

鏡花水月(きょうかすいげつ)」とは、儚い幻のたとえとして使われる四字熟語です。

本来は漢字のとおり、鏡に映る花・水面に映る月を表します。目には見えるけれども実際には触れることのできない美しさは、まるで儚い幻のよう。このことを「鏡花水月」とたとえました。また詩や文学における、言葉の生み出す奥深い風情などに対しても使われます。鏡の中の花には手が届かないように、心では確かに感じながらも言語化できない微妙な味わい深さを「鏡花水月」と呼ぶのです。

※「水月鏡花(すいげつきょうか)」ともいいます。

「気韻生動」

気韻生動(きいんせいどう)」とは、芸術作品が高い品格を保ち、生き生きと表現されていることを表す四字熟語です。

たとえば絵画や書画などに迫力や生命感が宿っていると感じられる場合、「気韻生動」であるということができます。「気韻」とは芸術作品における品格や気品のこと、「生動」とは生き生きとして、今にも動き出しそうな状態のことです。

「虚実皮膜」の英訳は?

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最後に「虚実皮膜」の英語表現を確認しましょう。

\次のページで「「Art abides in a realm that is neither truth nor fiction.」」を解説!/

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